再び注目を集める名曲
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悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
≪悲しくてやりきれない 歌詞より抜粋≫
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テレビやCM等で、このフレーズを耳にしたことがある人は多いはず。
様々なアーティストによってカバーされているため、「元々は誰の曲なの?」と疑問に思った人もいるのではないでしょうか。
実は、同作品の原曲は『ザ・フォーク・クルセダーズ』というアーティストが1968年にリリースしたもの。
なんと、今から50年以上も前の楽曲なのです!
そしてそんな名曲が今、アニメ映画「この世界の片隅で」のオープニング主題歌に起用されたことで再び注目を集めています。
今回「悲しくてやりきれない」をカバーしているのは、日本の女性アーティスト『コトリンゴ』。
透明感のある優しい歌声が、時代を経て多くの人たちの心を掴んでいます。
一体何を歌っている歌なの?
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胸にしみる 空のかがやき
今日も遠くながめ 涙をながす
悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
このやるせない モヤモヤを
だれかに告げようか
≪悲しくてやりきれない 歌詞より抜粋≫
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こちらは1番の歌詞です。
主人公が胸にモヤモヤを抱え、悲しさに打ちひしがれている様子がわかりますね。
しかし、主人公が一体何にモヤモヤしているのかは歌詞だけではわかりません。
失恋のようにも思えますし、夢が破れた悲しみのようにも感じられます。
捉え方は聞き手の自由ですが、実は同曲のテーマは「戦争」。
作詞を担当したサトウハチローは原爆で実の弟を亡くしており、その時のやるせなさや悲しみが込められていると言われています。
それを踏まえてもう一度歌詞を見てみると、同曲の主人公の悲しみや情景がより深く伝わってくる感じがしますね。
優しいメロディ、しかし悲しみは深い
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白い雲は 流れ流れて
今日も夢はもつれ わびしくゆれる
悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
この限りない むなしさの
救いはないだろうか
≪悲しくてやりきれない 歌詞より抜粋≫
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主人公は今日も空を眺めているのでしょう。
白い雲が流れる様子が見えるということは、空は晴れているのでしょうか?
青空を見れば気持ちが晴れるという人も少なくないとは思いますが、本当に落ち込んでいる時の青空というのは虚しさを助長させたりするもの。
心にぽっかりと穴が空いたような、そんな寂しさや悲しみを感じます。
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深い森の みどりにだかれ
今日も風の唄に しみじみ嘆く
悲しくて 悲しくて
とても やりきれない
このもえたぎる 苦しさは
明日もつづくのか
≪悲しくてやりきれない 歌詞より抜粋≫
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この部分からは、主人公がまだ深い悲しみの底にいることがわかりますね。
「このもえたぎる苦しさは 明日もつづくのか」というつぶやきにも似たフレーズが、決して晴れることのない深い悲しみを連想させます。
メロディはとてもやわらかく優しい印象がある楽曲ですが、歌詞で歌われている悲しみは計り知れません。
主人公の気持ちに思いを馳せつつ、じっくりと聴く機会を設けてみるのもいいかもしれませんね。
受け取り方は自由!思い思いに楽しんで
以上、「悲しくてやりきれない」の歌詞の意味について解説しました。戦争、原爆にまつわる楽曲ですが、本文中でも述べたとおり音楽の受け取り方はリスナーの自由です。
失恋の悲しみにふけながら、大切な人との別れを思いながら、なかなか手の届かない夢に想いを馳せながらなど、ご自身の「今」とリンクさせながら聴いてみてくださいね。
また、同曲は男女問わず様々なアーティストがカバーしています。
楽曲アレンジもそれぞれ異なりますので、お気に入りのバージョンを探すのもおすすめですよ。