ひとり暮らしを始めた人にしかわからない、寂しさや不安の「あるある」が歌になっているPerfume「ワンルーム・ディスコ」。
しかしこの曲は聴いていて、元々いた場所に対して懐かしむ気持ちになったりは決してしない。「本当は不安だらけのことなんてわかってる。だけどまあやってみるしかないでしょ。軽く考えようよ!」そんな明るい気持ちになれる1曲だ。
“窓をあけても 見慣れない風景
ちょっとおちつかない けれど
そのうち楽しくなるでしょ”
楽曲も、ダンスも、PVの演出もディスコ。とにかくディスコを使って明るく、かわいく、慣れない場所で思う不安や寂しさを書いている。
一度でも引っ越しをしたことがある人なら絶対共感できるのではないかというちょっと笑える「あるある」も歌になっているのが面白い。
“なんだって 少なめ 半分の生活
だけど荷物はおもい 気分はかるい”
“シャンプーをしながら 目を閉じたまま
シャワーも出せない けれど
そのうち慣れてくるでしょ”
ワンルーム・ディスコと聞くと、ワンルームマンションでひとり暮らしを始める若者のイメージが強い。だが、この曲はディスコ風なので、あのころクラブで楽しく踊ったりなんかしたご年配の方にもきっと響くはず。単身赴任などでひとりで暮らしているお父さん世代にも響くだろう。
Perfumeの3人自身も広島から上京し、東京での生活に対して不安や前向きな気持ち、思ったことがたくさんあっただろう。そんな3人が歌っているからこそ響くものもある。こんなに不安なのは自分だけじゃないんだと。
「引っ越し」という、多くの人が1度は経験したことがあるであろうことのあるあるが歌われており、またディスコサウンドというちょっと懐かしい形式で作られていることによって、「誰にでも届く引っ越しソング」と言っても過言ではないものになっている。
新しい環境に馴染めなくて寂しい、落ち着かない。そんな時はふとこの曲を思い出そう。きっと明るい気持ちになれるに違いない。
TEXT:真田智恵