THE FIRST TAKEでの披露で話題!Ayase提供曲「みちづれ」
人気Vtuberグループ・ホロライブ所属の星街すいせいが歌う『みちづれ』は、2023年1月25日にリリースされた2ndアルバム『Specter』のリード曲として、ボカロPやYOASOBIのコンポーザーとしても活躍するAyaseが作詞作曲を務めた楽曲提供曲です。様々なアーティストの一発撮りのパフォーマンスを鮮明に切り取るYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」にてVtuber初の出演で史上最大同時視聴数を達成した『Stellar Stellar』に続き二度目の出演で歌唱され、国内外のファンの大きな反響を呼びました。
今作はアルバムのリード曲ということで、活動における苦悩や葛藤などを詰め込んだ楽曲たちを引き連れた「百鬼夜行みたいな曲」を作ってほしいと依頼したそう。
そうして完成した『みちづれ』には、アイドルVtuberとしてリスナーを魅了する星街すいせいの芯の強さと悲哀の両面が感じられると同時に、聴く人も共感できる楽曲となっています。
どのような想いが込められているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
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人の世はいついつまでも
間違い探しばかり
遊び飽きたら終わりよ
鬼が出るか蛇が出るかと
怯えて過ごすばかり
さめざめと一人泣く
こんな旅路をゆくことが
人の条理とでも言うの
憂き身を窶せど
上手く行かずに今夜もまた嘆く
だけどきっと
≪みちづれ 歌詞より抜粋≫
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世間では人の粗探しをするのが当たり前になっていて、心を痛めるような批判に晒されることもあります。
遊び終えたら見向きもされない「間違い探し」のように、好き勝手に言っては去っていく人たちの存在が心に重く圧しかかっていて、今度は何を言われるのだろうかといつも不安を抱え泣き暮れている様子が見えてきます。
続く「条理」とは物事の筋道のことで、そうならなければいけないことを意味する言葉です。
それで、人はみんなこんなにつらく悲しい人生を送らなければいけないのだろうかと苦悩していることが読み取れます。
「憂き身を窶す」という表現は、外見につらさが表れるほど苦労を重ねることを示しています。
つまり、やせ細ってしまうほど頑張っても思うようにできなかったり、望んでいるような評価が得られなかったりして、日々嘆いていることを告白しています。
しかし「だけどきっと」と決して希望を捨てていないところに、どんなに大変でも続けたいと思えるほどこの活動に魅力を感じていることや真剣に取り組む気持ちが表れていますよね。
Vtuberを続けられる理由
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これはパレードさ
足を引きずろうとも
この滲む痛みと引き換えに
有り余る喜びに出会えるの
これは愉快なパレードさ
私が生きた証ばら撒くから
お気に召したなら共にゆこう
道連れにしてあげるわ
≪みちづれ 歌詞より抜粋≫
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活動を続けていられる理由は「この滲む痛みと引き換えに有り余る喜びに出会える」から。
一部の人からの容赦ない批判や悪意を向けられて感じた悲しみや苦しみよりも、自分を愛し認めてくれる数多くのファンの言葉によって感じた喜びの方が何倍も大きいから、また頑張ろうと思えるのです。
アルバム『Specter』のコンセプトである“百鬼夜行”と聞くと、おどろおどろしいイメージがありますが、それは見方を変えれば「愉快なパレード」になります。
苦悩や葛藤といった暗い感情が渦巻くこの人生も、きっと見ている人を楽しませることができるはず。
アイドルVtuber・星街すいせいとして作り上げた作品は全て彼女の「生きた証」です。
そのたくさんの証に触れ魅力を感じたならパレードの「道連れ」、つまり仲間になって一緒に楽しもうと誘っています。
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まやかしか化かしか
知らない噂の一つや二つ
目を瞑ってあげる
でも譲れない大事な想いは
歪むことなくちゃんと伝えたいの
≪みちづれ 歌詞より抜粋≫
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「まやかし」は誤魔化しやにせものという意味で、「化かし」は人の心をだまして迷わすことを意味しています。
これはVtuberへ向けられる誹謗中傷のことを指していると解釈できるでしょう。
そうした悪意ある言葉や事実無根の噂も少しくらいは「目を瞑ってあげる」と寛大な心で受け止めようとしています。
とはいえ、それは自身に関する言葉を何もかも甘んじて受け入れるということではありません。
自分の心の中に持っている「譲れない大事な想いは歪むことなくちゃんと伝えたい」と強く思っています。
だから自身の想いまで勝手に決めつけようとしないでほしいという切なる気持ちが伝わってくるでしょう。
1人の人として訴える心の叫びと覚悟
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私は此処だよ
此処で生きてるんだよ
貴方と同じ心臓で刻む
鼓動に乗せて進むパレード
≪みちづれ 歌詞より抜粋≫
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Vtuberとして活動している人たちは自分の顔や姿を公表せずキャラクターの姿を使用しているため、まるで実在しない存在のようにみなされることがあります。
そして、架空のキャラクターだと思っているために、心ない言葉を平気でぶつける人がいます。
しかし「私は此処だよ 此処で生きてるんだよ」という言葉の通り、そのキャラクターを動かしているのは実在する生身の人間です。
批判する人たちと同じように鼓動を刻む心臓があり、悪意に傷つく心があります。
きっと全てのVtuberたちが持っている、Vtuberであるがゆえに受ける誹謗中傷に対する心の叫びが代弁されています。
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どんな景色を見にゆこう
こんな私のことを
信じてくれるならどこまでもゆける
もう一人で泣いたりしないわ
そしていつの日か私と
貴方の旅が終わり迎えた日には
抱え集めてきた荷物をただ
放り投げて笑い合おう
そんな旅路を共にゆこう
≪みちづれ 歌詞より抜粋≫
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「こんな私のことを信じてくれるならどこまでもゆける」という歌詞から、いかにファンの存在が彼女の力になっているのかを知ることができるでしょう。
つらい経験をしていても、自分を信じてくれる人たちがいるから「もう一人で泣いたりしないわ」とも約束しています。
続く部分に出てくる「私と貴方の旅が終わり迎えた日」とは、星街すいせいとしての活動を終える時のことと考えられます。
いつかその日がやってきたら、これまでの活動を通して得てきたものを惜しんで泣くのではなく、清々しい気持ちでただ笑い合えたらいいと想像しているようです。
一つひとつの活動をこれからも全力で行い続けていくなら、そんな未来もきっと不可能ではありません。
そしてその場には一緒に楽しんでくれるファンの存在が不可欠だから、「そんな旅路を共にゆこう」と促しています。
彼女が率いるパレードがこれからどんな景色へと連れて行ってくれるのか、さらに期待が高まりますね。
星街すいせいの歌声にきっと魅了される!
『みちづれ』はVtuberとして、またアイドルや歌手として活動する多くの人たちが抱える苦しさを星街すいせいが代表して叫び昇華させるような歌詞が心に響きます。決して楽な道ではないと分かっていながらも、自分を応援してくれるファンのために頑張りたいという熱意が、力強くしなやかな歌声から感じ取れるでしょう。
すでにファンの方はもちろん、まだVtuberを知らない方にもぜひ先入観なく聴いてほしい楽曲です!