Saucy Dogの男性目線の失恋ソングに注目
人気3ピースバンド・Saucy Dog(サウシードッグ)の『film』は、2020年9月2日にリリースされた4枚目のミニアルバム『テイクミー』の収録曲です。ミディアムテンポで進む男性目線の失恋ソングで、優しいギターの音色とボーカルの石原慎也の透き通るような高音が心に響きます。
MVは40組のカップルの日常にフォーカスを当てており、幸せそうなカップルの姿と切ない歌が合わさって泣けると好評となっています。
ではさっそく共感性の高い歌詞の意味を考察していきましょう。
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目が覚めて君がいない部屋 ポツリ
アルバムの中で
八重歯がチラリ 垂れる眉と目尻
笑う君の写真は
今も声が聞こえて来るみたいだよ
ねぇ、戻っておいでよ
≪film 歌詞より抜粋≫
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冒頭から恋人と別れた男性の喪失感が綴られています。
「君のいない部屋」で目覚めた時の孤独や、アルバムに収められた写真の中で笑う彼女を眺めている時の愛しさと寂しさが伝わってくるでしょう。
タイトルの「film」は元々「映画」を意味しますが、日本では写真のフィルムのイメージもありますよね。
この楽曲では2人の写っている写真から、2人の思い出の記憶のことを「film」と表現していると解釈できるのではないでしょうか。
写真の中にいる彼女は生き生きとしていて「今も声が聞こえて来るみたい」に感じられるほどです。
しかし、その想像が決して現実にはならないことが主人公を苦しめています。
もうそこにはいない彼女に「ねぇ、戻っておいでよ」と語りかけている様子が切ないですね。
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足りない物などなかったよ
君がいてくれれば
確かにそこでは僕らが
愛し合っていたのにな
≪film 歌詞より抜粋≫
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サビではさらに交際中を振り返り「足りない物などなかったよ」と語ります。
「君がいてくれれば」それで十分で、一緒にいられるだけで満たされていました。
それは裏を返せば、彼女を失うだけで何もかもを失ったかのように思えるということと言えるかもしれません。
「確かにそこでは僕らが愛し合っていたのにな」と呟き、2人の間にあった愛について思い返しています。
あれはふたりの秘密じゃなかったの?
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新しい彼が出来たってね 風の噂知らんぷり
みっともないから 強がってはいるけど
恋人のひとりやふたりくらいとみんな
気にすんなよ って笑うけどさぁ
どうやら他の子じゃダメみたいなんだよ
ねぇ、そんな風に言えたらな
≪film 歌詞より抜粋≫
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彼女に「新しい彼が出来た」と風の噂で聞いた主人公。
「みっともないから強がって」気にしていない振りをしています。
周囲の人たちは「恋人のひとりやふたりくらい」「気にすんなよ」と彼を励まします。
しかし、彼は「どうやら他の子じゃダメみたいなんだよ」とまだ彼女以外の女性に目を向けることができないようです。
できることなら直接彼女にその気持ちを伝えて、自分の中で彼女の存在がどれほど大きいかを伝えたいとも思っています。
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ふたりの秘密じゃなかったの?
もう 知らない誰かと
確かに僕には関係ないけど
愛し合っているんだね
≪film 歌詞より抜粋≫
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リスナーも恋人との間で「ふたりの秘密」と言って、共有した出来事を持っているかもしれません。
主人公はその「ふたりの秘密」を彼女がもうほかの誰かと共有しているということを知ったのでしょう。
「ふたりの秘密じゃなかったの?」と問いかけているところに切実な想いが感じられます。
次に出てくるのは、もう別れた自分には関係ないことだけど彼女と今の彼氏は「愛し合っているんだね」という言葉。
確かに愛し合っていたはずなのに別れてしまった今の自分たちとの違いを感じ、打ちのめされている様子が読み取れます。
続きのない僕らの日々に想いを馳せて
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"最近リップを変えたの気づいた?
ネイルもチークも髪の毛も切ったの"
連絡来ないかな 今の彼氏の愚痴だっていいよ
気付いた時には もう遅いよ
≪film 歌詞より抜粋≫
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ここでは交際中に彼女から言われた言葉を思い出しています。
おそらく別れるより少し前、彼女は主人公が自分の変化に気づいてくれなくなったことを訴えたのでしょう。
どんなに愛し合っていても、付き合いが長くなればなるほど相手の存在が当たり前になってしまい、相手の変化に気づかなくなったり気づいても褒めることが少なくなったりしがちです。
彼女も彼に褒めてほしくておしゃれをしていても気づかれなくなり、やがて彼女の心は離れてしまったのだと解釈できます。
しかし、主人公がそのことに気づいたのは別れてしまってから。
本当は聞きたくない「今の彼氏の愚痴」を話すためでもいいから連絡してきてほしいと願っています。
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確かな事など 無いんだよ
さよなら僕らの日々
今でもそこでは僕らが
愛し合っていたのかな
愛し合っていたのにな
≪film 歌詞より抜粋≫
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お互いに愛し合っている間は、この愛はずっと変わらない確かなものだと信じていたはずです。
ところが独りになり、やっと「確かな事など無い」と痛感します。
自分の行動が違っていれば今でも「僕らの日々」は続いていて、変わらず愛し合っていたのかもしれません。
そう考えてはみても、すでに彼女はほかの人との日々を過ごしています。
主人公は静かな部屋で2人の思い出の写真を見ながら、確かだと信じられるほど「愛し合っていたのにな」とまだ未練の気持ちをこぼしています。
切ない歌詞に共感できる!
『film』は別れた女性への想いを引きずる主人公が最後まで前を向くことができずに終わってしまいます。それにより失恋で悲しむリスナーは深く共感でき、その心にそっと寄り添ってくれているような温かさを感じられるのではないでしょうか。
ぜひSaucy Dogが奏でる優しい音楽の世界に浸ってください。