映画の主題歌に起用され話題に!
2008年のメジャーデビュー以降、根強い人気を誇り続ける『凛として時雨』。そんな彼らが2023年5月、『アレキシサイミアスペア』をリリースしました。
同曲は4月にリリースしたアルバム『last aurorally』に収録されていた曲で、今回はアレンジを加えてシングル化。
そのきっかけとなったのが、人気アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」の映画作品「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」の主題歌への起用です。
アニメと絶妙にマッチした世界観が魅力的な楽曲でもありますが、この記事ではアニメを知らない人でも楽しめるように歌詞の意味を紐解きます。
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感情はありますか 心に声はありますか
匿名に溺れている脳内は無限の零だ
お前は誰を愛したい? お前は誰を排したい?
ホログラム突き破って 無味無臭の己を知れ
≪アレキシサイミアスペア 歌詞より抜粋≫
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まずご覧いただいたのは、冒頭の歌詞です。
「感情はありますか」という問いかけから始まっていますが、タイトルでもある「アレキシサイミア」とは失感情症のこと。
感情はあるのにも関わらず、それを認知したり表現できなくなったりする症状のことを指します。
それを踏まえてもう一度冒頭の歌詞を読むと、誰かがアレキシサイミアの人物に問いを投げかけているように解釈できますね。
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皆の想像に飲み込まれて 踏み外せば不安に狩られて
僕の代わりは誰だってなれる
僕の顔色は乾いたトレース
右見て 左見て 現在地はサイボーグ
どうしよう どうしよう 無の感情が吸い取られて
kalastic tac tic show
覗いて 除いて who の感情に操られて
lost in emotion
≪アレキシサイミアスペア 歌詞より抜粋≫
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続いて歌われているのは、「僕」という主人公の感情。
みんなの期待やそれに応えられない自分自身に不安を感じているのでしょうか?
今は人間味のないサイボーグのような状態になっているようですが、そんな「無の感情」が吸い取られ、誰かの感情に操られつつあるようです。
「lost in emotion」というフレーズからも、主人公が感情を失いつつあることがわかりますね。
“自分”に目覚める主人公
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Give it away Give it away
僕が僕になるために
Give it back Give it back
無限の零 emotion よ
君は君だ その無重力 何を描ける?
僕は僕だ この自由力 もはや代わりはいない
≪アレキシサイミアスペア 歌詞より抜粋≫
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こちらはサビの歌詞。
僕が僕になるために、何かを手放し、そして何かを返してもらおうとしている様子がわかります。
「君」というのは、前半部分で主人公の感情を乗っ取ろうとしていた人物でしょうか?
前半部分では「僕の代わりは誰だってなれる」と言っていたのにも関わらず、ここでは「もはや代わりはいない」と言っていることから、主人公は自分自身に目覚めたようです。
自分の意志や感情を大切にしたい、君は君だから乗っ取らないでくれという気持ちが伝わってきますね。
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矛盾だけが見せる朱い意図は強く
目を閉じて見つめてみて
僕の代わりは誰にもなれない
右見て 左見て 芸術的なサイボーグ
危ないノーマルな喜怒哀楽が痺れてる
どうしよう どうしよう ミュートさえ出来ずに侵されそうだ
gestaltic tac tic show
暴いて 足掻いて 負の感情に操られて
lost in emotion
≪アレキシサイミアスペア 歌詞より抜粋≫
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続く2番の歌詞では、感情を乗っ取られまいとする主人公と、引き続き自分自身を侵し続ける何かとの葛藤が歌われています。
このあとはまた錆が繰り返されますが、主人公は一体どうなってしまうのでしょうか?
主人公の運命は?
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1 2 3 匿匿名 心の叫び行方不明
3 2 1 I want I want me 出でよ 出でよ Where am I?
≪アレキシサイミアスペア 歌詞より抜粋≫
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この歌詞からも、主人公が内なる自分、もしくは侵されそうになっている自分を必死に呼び戻していることがわかります。
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感情はありますか 心に声はありますか
誰かに見せたいもの 頭の中に溢れてる
目に見えないものだけが映せる真実の輝きを
抱きしめて 手に入れて
僕を撃ち抜いてくれ
飛び散った僕の無限がホログラムを超えて
Dying to see me Dying to see world
≪アレキシサイミアスペア 歌詞より抜粋≫
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冒頭と同じ問いかけがなされますが、ここでは「誰かに見せたいもの 頭の中に溢れている」と明確な回答がなされています。
主人公自身の感情や意志が蘇ってきたことが感じられる歌詞ですね。
ちなみに、「Dying to see me dying to see world」を直訳すると、「自分自身に会いたい、世界を見たい」という意味。
主人公が自分の人生を生きようとする強い気持ちを感じます。
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もはや代わりはいない
誰にも代われはしない
僕は僕を愛せたかな
≪アレキシサイミアスペア 歌詞より抜粋≫
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最後の言葉からわかるのは、これまでの主人公は自分自身を愛していなかったということ。
自分としっかり向き合うことで自分を愛する一歩を踏み出したこと、そしてそれが自分の意志を持って生きることへと繋がったこともわかりますね。
「自分を嫌い、自分の人生から目を背けて生きるのはもったいないこと」
『アレキシサイミアスペア』は、そんなメッセージを与えてくれる楽曲なのではないでしょうか。
それぞれの考察を楽しもう!
以上、凛として時雨の『アレキシサイミアスペア』の歌詞の意味について解説しました。あくまでこれは一例です。
公開されているMVや映画をみながら、ぜひ自分自身の考察も楽しんでみてくださいね。
それが同曲で歌われていた“自分自身”と向き合うこと、自分の心を大切にすることにつながるかもしれませんよ。