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松任谷由実「翳りゆく部屋」歌詞の意味を考察!切ない失恋ソングの裏に人の強さを見る

“ユーミン”こと松任谷由実が「荒井由実」の名義でリリースした最後のシングル『翳りゆく部屋』。ある一室で起こった男女の別れを切り取る失恋ソングの歌詞の意味を紐解きます。

ユーミンの隠れた名曲を徹底解釈


翳りゆく部屋』は“ユーミン”の愛称で親しまれる松任谷由実が独身だった荒井由美時代に発売した最後のシングル曲です。

1976年リリースのアルバム『YUMING BRAND』に収録されてから1989年にシングルカットされましたが、その後もベストアルバムに度々収録されていることから思い入れのある楽曲であることは間違いないでしょう。

夫の松任谷正隆が演奏するバロック調のパイプオルガンの音色で始まるイントロから楽曲の世界観に引き込まれ、松任谷由実が作詞作曲を務めた哀愁漂うメロディと歌詞に心を掴まれます。

隠れた名曲と名高いこの楽曲にどのような意味が込められているのか、歌詞を考察していきましょう。

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窓辺に置いた
椅子にもたれ
あなたは夕陽見てた
なげやりな別れの気配を
横顔に漂わせ
≪翳りゆく部屋 歌詞より抜粋≫
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歌詞の舞台はある部屋で、そこに住む男女の姿が目に浮かびますね。

「あなた」と呼ばれる男性は窓辺に置いた椅子に座り、窓の向こうの夕陽を眺めています。

主人公の女性は恋人である男性を見つめていて、その横顔に「なげやりな別れの気配」を感じています。

「なげやり」という表現から、男性の無責任でやる気のない態度が垣間見えるでしょう。

普段から彼にぞんざいに扱われているため、彼から別れを切り出されたわけではないもののいつでも別れが訪れそうな雰囲気を感じ取っているようです。

2人の視線が交わらない様子に、ひとつの恋が終わる時の切なく悲しい空気感が伝わってきます。

たとえ死んでも運命は変わらない


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二人の言葉はあてもなく
過ぎた日々をさまよう
ふりむけば
ドアの隙間から
宵闇がしのび込む
≪翳りゆく部屋 歌詞より抜粋≫
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2人が交わす思い出話も途切れがちになり、楽しかった過去をさまようように次の言葉を探しますが出てきません。

「ふりむけばドアの隙間から宵闇が忍び込む」という歌詞から、彼が部屋を出ていったと考察できます。

呼び止める暇もなく、ゆっくりと閉じていくドアの隙間から暗くなった外の景色が見えます。

宵闇が部屋の中へ忍び込んでくるかのように感じるのは、きっと彼が二度と戻って来ないことを悟ったから。

寂しく悲しい雰囲気が部屋を満たしていくのを感じていることが分かります。

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どんな運命が
愛を遠ざけたの
輝きはもどらない
わたしが今死んでも
≪翳りゆく部屋 歌詞より抜粋≫
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サビの「どんな運命が愛を遠ざけたの」という一節が、主人公の悲しい気持ちを物語っています。

愛し合っていたはずの自分たちの愛が離れていったのはなぜなのか、こんな残酷な運命があっていいのかと答えのない問いが頭に浮かんでいるのでしょう。

この楽曲で特に印象的なのは次の「輝きはもどらない わたしが今死んでも」というフレーズです。

この言葉から主人公が死を考えてしまうほど打ちのめされていることが伝わってきますよね。

しかしもし死んで人生をリセットできるとしても、自分たちの恋のあの輝きはもう戻ってきません。

倒置法を用いることにより、何があっても現実が覆ることはないという事実が強調されています。

それと同時に、死んでも意味がないから生きてこの悲しみを乗り越えなくてはいけないという想いも読み取れるのではないでしょうか。

これほどまでに悲しい内容でありながら絶望感よりも人の内面の強さを感じさせるのは、出会いが運命なら別れも運命だと認めて受け入れる歌詞をユーミンの芯のある歌声が紡ぐからなのかもしれません。

タイトル「翳りゆく部屋」の意味とは


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ランプを灯せば街は沈み
窓には部屋が映る
冷たい壁に耳をあてて
靴音を追いかけた
≪翳りゆく部屋 歌詞より抜粋≫
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2番では夜を迎えて部屋が暗くなったため、主人公が部屋のランプを灯しています。

すると窓から見える街が遠く感じられ、余計に独りきりになった現実を突きつけられます。

そして主人公は冷たい壁越しに耳をすませて去っていく彼の靴音を聞いています。

まだ靴音が聞こえるということは追いかければすぐに追いつくはずですが、彼女はそうしません。

彼の別れの意思が強いことが分かっているから諦めているのか、元々彼に対して自己主張をしてこなかったためにすがることができないのでしょう。

ただ遠ざかる靴音を聞いている主人公の健気さが、この別れをより切なくしていますね。

タイトルの「翳りゆく部屋」というフレーズは、夕暮れから夜へと光が翳っていく情景と、2人の恋愛関係が終わる過程を表していると解釈できます。

部屋が暗くなるように、希望と期待に満ちていた恋が終わって部屋も心も暗くなる様子を表現していると思われます。

それでも彼女の部屋にはまた朝日が差し込むはずです。

失恋を乗り越えた先にはきっと明るい日々が待っているという希望を感じさせてくれます。

奥深い歌詞の世界に浸ろう

松任谷由実の『翳りゆく部屋』は誰もが経験する別れを繊細に切り取って描いた楽曲でした。

椎名林檎エレファントカシマシらのカバーもオリジナルとは違った魅力があり、楽曲自体の美しさを際立たせています。

ぜひ歌詞の情景を思い浮かべながらじっくりと聴いてみてください。

1954年生まれ。シンガーソングライター。 1972年、多摩美術大学在学中にシングル「返事はいらない」で荒井由実としてデビュー。 以降、“ユーミン”の愛称で親しまれ、J-POPシーンの女性トップランナーとして、それぞれの時代に、「ひこうき雲」「やさしさに包まれたなら」「あの日にかえりたい···

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