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きゃない「バニラ」歌詞の意味は?切ない裏設定を持つラブソングを考察!

2023年3月15日、1stアルバム『星を越えて』をリリースしたシンガーソングライター・きゃない。同アルバム収録曲『バニラ』は、ラブソングにして「自殺」の歌。今回は、そんなセンセーショナルな裏設定を持つ『バニラ』の歌詞の意味を考察します。

1stアルバム「星を越えて」収録曲

90年代のJPOPを思わせる心地よいメロディー、不意を打つような独特な歌詞、エモーショナルにして芯のある歌声。

これらの魅力を併せ持ち、2019年からソロシンガーとして活動を始めた「きゃない」。

路上ライブを軸として急速に人気を集めている今注目のアーティストです。

2023年3月15日、そんな「きゃない」が自身初のアルバム『星を越えて』を配信リリースしました。

今回考察する『バニラ』は、そんな記念すべき1stアルバムに収録された1曲。

美しいメロディーラインとシンプルな歌詞が心地よいラブソングです。
▲きゃない-バニラ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

そんな『バニラ』ですが、実は「亡くなった恋人に会いに行く」という裏設定があることが「きゃない」本人によって明かされています

さらにMVにも、自殺した主人公と亡くなった恋人が再会を果たすような描写があるようです。

「主人公の自殺」というセンセーショナルな設定を持つラブソング『バニラ』。

果たしてその歌詞には、どのような意味が込められているのでしょうか。

「君」の影を見る主人公


まずは1番の歌詞です。

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あぁ 君の事愛してる 心から
いつでもどこでも君を思うだろう
≪バニラ 歌詞より抜粋≫
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冒頭から「君」に対する心からの愛が伝わってきます。

「いつでもどこでも君を思うだろう」というフレーズには、この先も亡き恋人を忘れ去ることができないといったニュアンスが読み取れそうです。

主人公が心の底から愛している「君」。

次の歌詞では、二人の関係性が掘り下げられます。

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描いていた理想じゃなくありふれた
言葉や暮らしで二人は笑い合えた
≪バニラ 歌詞より抜粋≫
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理想的な生活ではなくても「ありふれた言葉や暮らし」を楽しむことができた二人。

ありきたりな毎日を笑い合って過ごせる関係だからこそ、主人公にとっていっそう「君」が特別だったのではと思えてきますね。

続きの歌詞も見てみましょう。

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傷付けて ほどけそうで
それでも今も君は僕のそばに居てくれる
≪バニラ 歌詞より抜粋≫
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飾らない関係だからこそ、不器用に互いを傷付けてしまう。

それによって二人の心が離れそうになっても「今も君は僕のそばに居てくれる」とあります。

「君」がすでに亡くなっていることを考慮すると、主人公は恋人の死を受け入れることができずに「君」の幻影を見ているのかもしれません。

そしてサビの歌詞はこちらです。

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あぁ 君の事愛してる 全てを
遠くで近くで混ざり合いたい
生まれてきた意味はもう君なんだよ
一人で二人で感じ合いたい
≪バニラ 歌詞より抜粋≫
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主人公の中で「君」の存在がとても大きなものであることが伝わってきます。

このサビはラストでも歌われるので、ひとまずここでは主人公の愛と願いをストレートに受け取って後半の考察に進んでいきましょう。

亡くなった恋人の後を追う理由


ここからは2番以降の歌詞を見ていきましょう。

ちなみに、きゃない本人は「主人公の自殺を歌っているストーリーが2番のDメロの歌詞に隠されています」とコメントしています。

まずは、その2番の歌詞の意味を考えてみましょう。

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居心地の良い嘘だらけの世界に
笑ってサヨナラを言えたら良いな
≪バニラ 歌詞より抜粋≫
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「嘘だらけの世界」に「サヨナラ」を言えたら。

確かに主人公が人生を終わらせようとしている雰囲気が読み取れますね。

なかでも気になるのは、この「嘘だらけの世界」が主人公にとって「居心地の良い」ものであるという点。

この点の解釈には、アルバム『星を越えて』収録曲『コインランドリー』の以下の歌詞がヒントになりそうです。

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針で突かれて疲れ果てて
嘘の自分を作った
愛した人に嫌われた僕は
僕じゃないのに
≪コインランドリー 歌詞より抜粋≫
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この歌詞から、主人公は嘘だらけの社会に揉まれて「嘘の自分を作った」ことが推測できます。

そしてその「嘘の自分」は、愛した人に嫌われるような自分であり、かつ本来の「僕」とは異なるもののようです。

これらを踏まえると「嘘だらけの世界」は、偽りの自分にとって「居心地の良い」世界なのだと考えられます。

そんな世界に「笑ってサヨナラ」を言う行為は、現実社会からの晴れやかな離脱であると同時に、恋人を傷付けた「嘘の自分」との決別を表しているのではないでしょうか。

主人公の自殺は、愛する人を傷付けない自分でいるためになされたものなのかもしれませんね。

最後に、サビの歌詞を見ていきます。

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あぁ 君の事愛してる 全てを
遠くで近くで混ざり合いたい
生まれてきた意味はもう君なんだよ
一人で二人で感じ合いたい
≪バニラ 歌詞より抜粋≫
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特にエモーショナルに響くのは「生まれてきた意味はもう君なんだよ」という一言ではないでしょうか。

それほど恋人に強い愛情を抱いているからこそ、主人公はもう「君」なしでは生きていけなくなってしまったのでしょう。

「遠くで近くで混ざり合いたい」というフレーズからは、思いを交わしたり匂いを絡ませたり、かつて現実のものだった甘い時間を恋しく思っていることがうかがえます。

偽りのない自分だけが「君」のもとへ向かうことで、主人公は再び「君」と同じ景色を見、音を聴き、香りを感じたかったのかもしれません。

タイトル「バニラ」に込められた意味

今回は、きゃない『バニラ』の歌詞の意味を考察しました。

ふと体を揺らしたくなる柔らかなメロディーでありながら、いざ言葉に注目するとハッとさせられる。

そんな心地よくも意外性のある楽曲だったのではないでしょうか。

最後に、曲名の『バニラ』は、きゃない自身が使っていた香水のフレーバーに着想を得ているそうです。

「バニラ」は、花としては短命ながら「永久不滅」という花言葉を持っており、「永久不滅の愛を持って命が終わる」という楽曲のテーマにうまく合致したとのこと。

加えて、英語の「バニラ(vanilla)」には口語表現として「ありきたりな」という意味もあります。

壮大な愛を抱いたまま儚く散った主人公。

恋人と笑い合えたありきたりな日常。

この主人公の人生は、まさしく「バニラ」でした。

〜本音に気付かされる、人間のうたを路上から放つシンガーソングライター〜 日常の中で、誰しも一度は経験したことのある出来事や人には言えない本音を、ハッとさせられる言葉で表現し、心を抉られるような後味を感じさせる独特な歌詞を90年代のJPOPを彷彿とさせる聴きやすいメロディーにのせ、···

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