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崎山蒼志「燈」歌詞の意味は?後悔と覚悟を歌う「呪術廻戦」2期EDテーマを考察

TVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」のエンディングテーマは、崎山蒼志の書き下ろし楽曲『燈』です。夏油傑を中心に、それぞれが抱える複雑な思いを繊細に描き出した歌詞の意味を考察します。

夏油の心情と周囲の思いを綴るEDテーマ

ドラマ・映画の主題歌やCMソングなどで引っ張りだことなっているシンガーソングライターの崎山蒼志が2023年7月19日にリリースした最新シングル『燈(あかり)』は、TVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」のエンディングテーマとして書き下ろされました。

▲崎山蒼志 - 『燈』【OfficialMusicVideo】

『呪術廻戦「懐玉・玉折」』では特級呪術師の五条悟とその同級生で親友の夏油傑が、まだ自分たちを最強だと思い込んでいた高専生時代の模様が描かれています。

そのエンディングを飾る『燈』は崎山自身の私生活とも照らし合わせつつ「夏油傑というキャラクターの積み重なった経験と苦悩の果てに生まれていく心情の変化、それを取り巻くキャラクターたちの夏油への思い」を形にした楽曲とのこと。

様々な音楽の要素を複合的に組み合わせた静かなサウンドはまるで複雑な人の心を表現しているかのように感じさせ、歌詞に描かれた思いをいっそう引き立てています。

どのような内容となっているのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。

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僕の善意が壊れてゆく前に
君に全部告げるべきだった
夜が降りて解けての生活に
混濁した気持ち掠れる燈
≪燈 歌詞より抜粋≫
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「僕の善意」はおそらく自分自身が元々持っている理性や正の感情のことだと思われます。

そうした自分の中にある善意が壊れていくのを感じた主人公が、もっと早く大切な「君」にありのままを告げるべきだったと後悔している様子が見て取れます。

繰り返す暗い日々の中で複雑な気持ちが入り交じり、それまで自分の心を明るく照らしてくれていた「燈」が今は遠く薄れていってしまっていると感じているようです。

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仕方がないと受け入れるのなら
それまでだってわかっても
なんだか割に合わないの、意義が
ないなんて
≪燈 歌詞より抜粋≫
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自分の意思とは反する状況を「仕方がない」と受け入れてしまっては、それ以上変えられないことは分かっています。

それでも反発して自分の意思を通すのは「なんだか割に合わない」、そうする「意義がない」と思い始めている主人公。

夏油が闇落ちしてしまった原因に通じる描写で、理想と現実との間で揺れ動く気持ちが想像できます。

どんなに暗い気持ちでも前へ進め


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何処にでもあるようなものが
ここにしかないことに気づく
くだらない話でもよくて
赤らめた顔また見せて
≪燈 歌詞より抜粋≫
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日常の中に見られる「何処にでもあるようなもの」がいかに貴重で「ここにしかない」ものであるかに気づくのは、大抵失ってからです。

友と「くだらない話」をした時間「赤らめた顔」を見た出来事のひとつひとつがかけがえのない瞬間だったことを悟り、再びそんな関係に戻りたいと願っています

しかし後戻りできないところまで進んで行ってしまいます。

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故に月は暗い 頭flight
今日は櫂を持って
探し物がない 揺れる愛
隠し持って生きる
故に月は暗い 頭flight
今日は何処も行けず
眠る、眠る 新品の朝へ
孤独 under crying
めんどくさい 線引きのない
記憶は儚い
昨日にまるで用はない
故に月は暗い 歪むLight
明日は何処行こう
≪燈 歌詞より抜粋≫
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サビのラップパートは、周囲のキャラクターたちが夏油に話しかけているイメージで作られたそうです。

月の明るささえ乏しい夜は、ごく身近にあるものも見えないような深い闇です。

「月は暗い」というフレーズは、月の出ない夜のように誰の心も暗く落ち込む時があることを表しているのではないでしょうか。

「櫂」は舟を進めるオールのことなので、そんな暗い気持ちの日も前に進もうとしていることを示していると感じました。

複雑に絡み合う迷いや悩みにうまく思考が働かず、何を手にすれば変われるのかも分からない毎日。

それでも「揺れる愛」だけは誰にも奪われないように隠し持って生きているのが、人の常なのかもしれません。

時には、悪いことなど初めからなかったかのような真っ新な「新品の朝」を期待してただ眠り続ける日もあるでしょう。

泣きながら孤独に耐え、全てが「めんどくさい」と思える日もあるはずです。

しかし過去の儚い記憶にすがっていても何も変わりません。

だから希望の光が涙で歪もうと「明日は何処行こう」と未来に目を向けるべきだと訴えかけているように思えます。

取り戻せない大切なものへの後悔と覚悟


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傷ついてる心がわかるのに
なぜ傷つけてしまうおんなじ跡
エゴといって一括りにしていた
僕とあなたの本当 透明に燃えて
≪燈 歌詞より抜粋≫
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この歌詞では大切な人の心が誰かによって傷ついていることを理解しているのに、自分も同じように傷つけてしまっていることに自己嫌悪する気持ちが見えてきます。

「エゴといって一括りにしていた」思いの中には、それぞれの持つ違う形の「僕とあなたの本当」の気持ちが燃えていました。

誰の心の中にも一言では表せない様々な感情があることを知り、これまで相手の気持ちを大きく誤解してきたことに気づいたのかもしれませんね。

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変わりたくって変わらない気持ち
形だけ崩れてく
希望の手 離さない 君の幽霊と
≪燈 歌詞より抜粋≫
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変わりたいと願っていても自分自身の内面を変えるのは難しいものです。

しかし、変わることができるという希望を捨てたくないとも思っていると考察できます。

「君の幽霊」とあることから、主人公の大切な人は亡くなっているかもうそばにはいないのでしょう。

とはいえ、いつかその人が差し伸べてくれた「希望の手」を離さず、努力し続けたいと決意しているように思えます。

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孤独から日々を数えたら
ひとつの涙に溺れてた
くだらないならいっそ壊して
歌の中で自由に生きるから
≪燈 歌詞より抜粋≫
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孤独になった日から今までの記憶は悲しみであふれているようです。

こんな自分を「くだらない」と思うなら「いっそ壊して」とさえ願っています。

誰かが壊してくれるなら何のしがらみもない「歌の中で自由に生きる」ことができるのにと、苦しい現状を言い表しています。

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何処にでもあるようなものが
ここにしかないことに気づく
くだらない静けさの夜また
記憶に住む僕だけ目覚める
ここにしかない
君に触れたい
くだらない話でもよくて
赤らめた顔また見せて
≪燈 歌詞より抜粋≫
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大切だった日々を振り返り「何処にでもある」と見過ごしてきたものの素晴らしさにようやく気づきました

今はもう得られないものを求めて過去の思い出を辿る主人公は「記憶に住む」かのよう。

幸せな光景から目覚めると、孤独という現実を突きつけられます。

その心に残るのは「ここにしかない君に触れたい」という思いだけです。

どんなくだらない話もどんな表情ももっと大切にして触れていればよかったのにと、後悔する気持ちが伝わってきます。

そして深い後悔があるからこそ、同じ過ちを繰り返さないために“燈”を目指して進もうとする覚悟を決めている曲だと解釈できます。

深い歌詞と優しい歌声に浸ろう

』はアニメの中に描かれている物語と誰しもが心に秘めている後悔を、崎山蒼志らしい独自の言語表現で繊細に綴った楽曲です

各シーンから読み取れるキャラクターそれぞれの思いと照らし合わせると、より作品の世界観に没入することができるでしょう。

涙を誘う優しい歌声が紡ぐ大切なメッセージは、きっと全ての人の悩む心にもそっと寄り添ってくれますよ。

崎山蒼志(さきやまそうし) 2002年生まれ静岡県浜松市出身。 2018年5月インターネット番組の出演をきっかけに世に知られることになる。 現在、テレビドラマや映画主題歌、CM楽曲などを手掛けるだけではなく、独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。 またFUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER···

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