コロナ禍が大きなキッカケに、アーティストへ
──UtaTen初登場ということで、ひらめさんのパーソナル部分も少し聞かせてください。とあるインタビューで「もともと、アーティストとしてデビューするつもりはなかった」とお話されていたと思うんですが、もともと考えていた人生設計はどのようなものだったんですか?ひらめ:もともとは、ケーキ屋さんで働いていて、コロナ禍に突入したことをキッカケに自分の時間ができて、TikTokを興味本位で始めたのでコロナ禍というものがなかったから、この活動はスタートしてないと思います。だから、おそらく音楽活動はしていない人生を歩んでいたと思います。
──ケーキ屋さん!? なるほど。もともと音楽はお好きだった?
ひらめ:はい、そうですね。趣味でお家でギターを弾いたりとか、曲は作っていたので音楽はめっちゃ好きですね。とはいえ、趣味の範囲内だったので作った曲をどこかで発表するとかはやっていなかったんですけど。
──そうだったんですね。音楽好きということですが、お好きなアーティストさんはいらっしゃったんですか?
ひらめ:ギターを始めたキッカケは、シンガーソングライターの井上苑子さんです。ラブソングの曲が多くて、共感しやすい部分や声がとても可愛いところに惹かれました。
キュン現象から3年、頼れる友人と共に
──ラブソングというのはひらめさんを語る上でも欠かせないキーワードだと思います。30億回以上再生されるバズソングとなった『ポケットからキュンです!』も恋愛ソングですが、デビューするつもりもない中でここまで注目を浴びたことについては、ご自身の体感的にいかがですか?ひらめ:TikTokに曲を載せて、一気にバズったわけではなくて。1週間くらいかけて徐々に徐々にいいねの数が増えていったりしていたので、少しずつ自分の知っていたインフルエンサーの方たちが自分の曲を使ってくださるのを見て、最初はびっくりでしかないという感じですね。
──『ポケットからキュンです!』はなぜバズったと思いますか? 自己分析すると。
ひらめ:振り付けがしやすかったんだと思いますね。あとは当時は曲が10秒だったので、それも要因なのかなって。
──なるほど。『ポケットからキュンです』が生まれたときは、頭のフレーズを思いついて制作を進めていったんですか?
ひらめ:まずは〈ポケットからキュンです〉のフレーズは思い浮かんで、10秒の曲をTikTokに載せたんですけど、実は、フルコーラスはバズったあとに完成させたんですよ。
──そうだったんですね。でもそういった作り方はこれまでしてこなかった経験だと思います。世の中の反応を見て、フルコーラスを完成させる作業はいかがでしたか?
ひらめ:すごく、難しかったです。いつもはテーマを決めて曲を作るんですけど、この曲は最初の10秒だけが先にバズってしまったので、どういうストーリーの歌詞にしようかなとあとからストーリーを考えるのがすごく難しかったなと思います。
──楽曲を制作するにあたって、ひらめさんはどういうことを考えていますか?
ひらめ:共感しやすい歌詞にすることをいつも心がけているのと、私はサビからいつも制作をスタートするんですけど、もしこの曲を自分が作ってないとして、自分がリスナーとして曲を聴いたときいいなと思えるサビのメロディにしたいといつも思っていますね。
サビのメロディは何パターンか作って、友達にLINEで送ってアンケートを取ったりしています(笑)。
──それは、いいですね。身近にジャッジしてくれる友人もいらっしゃる。
ひらめ:そうですね!
──じゃあ、制作はメロディ先行で進んでいくスタイルですか?
ひらめ:いや、歌詞が先です。
──詞先なんですね! 先ほど、共感しやすい歌詞というお話が出てきましたけど、ひらめさんの歌詞といえば、やはり恋にまつわるもの。これはアイディアソースになるものはあったりするんでしょうか。
ひらめ:友達の恋バナを聞いて参考にしたり、ファンの方がDMで恋愛相談をしてくれたりもするので、それを参考にしたりとかしていますね。
──ファンの方に恋愛相談されるのってすごいですね! きっとそれだけひらめさんの書く恋愛ソングが刺さっていることですもんね。
ひらめ:あはは(笑)。嬉しいです。
──キュン現象から3年の時が経って、コンスタントに曲も出し続けていると思いますが、プレッシャーのようなものを感じることはなかったですか?
ひらめ:最初はあったんですけど、バズろうバズろうと思って制作するとなかなか思いつかなかったりするので、今は自分が歌いたい曲を作ることを心がけています。
──そう思うキッカケはあったんですか?
ひらめ:バズろうと思うと、どうしてもTikTokに載せることを考えてしまい、プラス振り付けを付けやすい曲にしないとと思ってしまうんですね。そうすると歌詞が思い浮かばないんです。それじゃあ、ダメだなと思ったのがキッカケですね。
──でも、この3年間は目まぐるしいものだったと思います。ドラマの主題歌もあり、Hey!Say!JUMPにも楽曲提供をしたりなど、想像していましたか?
ひらめ:全然してなかったです。でもアーティスト活動はすごく楽しいですし、人生でこんな経験ができると思ってなかったので、正直、驚きしかないですよね(笑)。
──先ほど、頼れる友人の存在のお話をされていましたけど、皆さんの反応はいかがですか?
ひらめ:だいたいいつも3パターンくらい送るんですけど、結構、1つに集中してくれるので決めやすいんですよね。だから感覚が似ているのか、キャッチーと思う箇所が似ているのか、その辺りではすごく頼りになりますよね。
夜作業の多い、ひらめ
──先ほどお話していたことと被る部分もあるかと思いますが、日々の制作はどのように進んでいくんですか?ひらめ:基本的に自宅で制作するんですが、夜の方が思いつきやすくて、夜に作業をすることが多いですね。あとは、お散歩しているときとかお風呂に入っているときとかに歌詞を思いついたり、メロディが思いついたりするので、そういうときは携帯にメモするようにしています。
──では、どちらかというと歌詞を考えようと思うのではなく、降りてくるものに対応している感じなんですね。
ひらめ:そうですね!
──歌詞については、どういう歌詞にしたいと思っていますか?
ひらめ:恋愛はそうなんですけど、比喩表現を使っている歌詞が好きですね。
──なるほど。ちなみに影響を受けたアーティストの歌詞だったり、好きな歌詞はありますか?
ひらめ:最近、聴いている曲だと、フィルフリークというバンドなんですけど、『ドラマ終わりに』という曲があって。カップルの話なんですけど、2番の歌詞にお互いのセリフみたいな歌詞があって、聴いていてリアルな感じが伝わるのですごく好きですね。
──キーワードはやはり恋愛なんですね。でもどうして恋愛の曲に惹かれたり、作りたいと思うんでしょうか?
ひらめ:キッカケは特にないんですけど、みんな好きじゃないですか(笑)。キッカケはないんですけど、好きだと思うから自分でも形にしたいのかなと思います。
可愛らしいメロディと可愛らしい歌詞
──確かにみんな好きですね(笑)。そして、6月1日にリリースされた、『さあ、はじめよう』ですが、この曲はどういった流れで制作されましたか?ひらめ:これは、マッチングアプリとのタイアップだったんですけど、自分ではやったことがなかったのでマッチングアプリがどういうものなのか分からなかったんですけど、想像を膨らませて歌詞は書きました。メロディはこれも何パターンか作って、いちばんアンケートの票が多かったものにしました。
──想像で書くのは難しかったのでは?
ひらめ:そうですね、今回は難しかったです。特に、どういう心境で待ち合わせている人に会うのかなとか、全然想像がつかなかったです。ただ友人にマッチングアプリ経験者がいたので、インタビューしたりしました(笑)。
──なるほど。メロディを3パターン作ったとのことですが、どういうタッチの3パターンだったんですか?
ひらめ:コードも全く違う3パターンだったので、メロディはそれぞれ異なっていたと思うんですけど、世界観みたいなものは同じで、明るくて可愛らしい曲を意識してパターンを作りましたね。
──タイアップとそうではない曲で、制作方法が変わったりはしますか?
ひらめ:タイアップだと入れて欲しいワードがあるので、それをどうピースにはめていくのかがすごく難しいです。その一方で、自分で全部考えるとなると自分の好きなようにやるので、入れたいワードを紙に書いたりとかして作ることが多いです。
──リリースから2ヶ月経ちましたが、周りの反応はいかがですか?
ひらめ:可愛らしい曲って感想が多かったのは、嬉しいです。ファンの方たちからもDMで感想が届きました。
──ひらめさん的、今回作ってみてどういう曲に仕上がったなと思っていますか?
ひらめ:毎回作って言われるのは、「ひらめちゃんらしい曲」と言われることが多くて、それがいちばん嬉しいので、今回もそう言っていただけてすごく嬉しかったです。
──「ひらめちゃんらしい曲」とは、どんな曲だと思いますか?
ひらめ:可愛らしいメロディーと可愛らしい歌詞にいつもしたいと思っているので、それが「ひらめちゃんらしい曲」なのかなって思っていますね。
──可愛らしさが根本にある中で、どういう言葉を選んでいっていますか?
ひらめ:実は、言葉選びがすごく苦手で。恋愛の小説を読んでいいなと思う言葉をメモしたり、ドラマや映画のセリフをメモしたりとか、基本的には日常生活でいいなと思った言葉をメモするようにしています。
今後は、HIPHOP曲にも挑戦?!
──『さあ、はじめよう」の中で好きなフレーズやワードはありますか?ひらめ:2番のサビですかね、〈君と私の恋心マッチングしないかな〉という歌詞。マッチングという言葉を確か入れないといけなくて、どうやって使おうと結構考えて、最終的にはいい感じの歌詞に仕上げることができたかなと思っています。
──ベストな箇所に入れることができたんですね。
ひらめ:そうですね! ベストなところに入れることができました。
──いいですね! どうでしょう、これまで多くの曲を手がけてきたわけですけど、慣れてきましたか、アーティストとしての自分は。
ひらめ:常に難しいと思っていますね。恋愛の曲を作ることはすごく楽しいですけど、恋愛の曲を作る人も多いわけで、そことどうしても比べてしまう部分があったり、なんでこんなにいい曲ができるんだろうと思ったりとか、どういう曲を書けばいいのか分からなくなったりします。
──その悩みの解消法は?
ひらめ:悩んだときは、一度、離れます。書かない! 何もやらない! パッと思い浮かんだときに曲がいちばん書けますね。
──今後やってみたい、書いてみたいことはありますか?
ひらめ:いまは割とシンガーソングライターっぽい曲だと思うんですけど、結構HIPHOP
とかも好きで、そういう曲も興味があるので、作ってみたいなと思います。
──HIPHOPですか!?
ひらめ:はい。普段はアコギで作曲していますけど、今DTMを習い始めたんですよ! だからいま頑張っています!
──楽しみですね! 今後、ハンドマイクで歌唱するひらめさんが見れるかもしれない!
ひらめ:そうですね。自分でも楽しみです!
──最後に今後の展望を教えてください。
ひらめ:まだ、1度もライブをしたことがないので、ライブはしてみたいなと思っています。あとは、もう1度バズりたいという気持ちがあるんですが、バズろうと思って無理して作るのではなく、自分のペースで曲を作っていってまたいつかみんなに知ってもらえる曲ができたらいいなと思います。
TEXT 笹谷淳介
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