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まらしぃ×じん×堀江晶太(kemu)「新人類」歌詞の意味を考察!ウッホウッホッホウッホッホ!

ボカロ文化の祭典「ボカコレ -2023 Spring-」のTOP100ランキングで1位を獲得したまらしぃ×じん×堀江晶太 (kemu) feat. 鏡音リン『新人類』。ユニークなフレーズが並ぶ怪作の歌詞には、一体どのような意味があるのでしょうか。

「ボカコレ -2023 Spring- TOP100ランキング」1位の怪作「新人類」

ネット最大級のボカロ楽曲投稿祭「The VOCALOID Collection」。

通称、ボカコレ。

VOCALOIDをはじめ、さまざまな音声合成ソフトを使用した作品が集まるボカロ文化の祭典です。

今回考察する『新人類』は「ボカコレ -2023 Spring- TOP100ランキング」で堂々の1位を獲得した1曲。

まらしぃ、じん (自然の敵P) 、堀江晶太 (kemu) など、名だたる音楽クリエイターが総力を上げて制作した曲で、歌い手にはバーチャル・シンガー「鏡音リン」が起用されています。

▲まらしぃ×じん×堀江晶太(kemu) feat.鏡音リン-新人類【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

『新人類』の人気ぶりは凄まじく、ニコニコ動画、YouTubeともに投稿からわずか半年足らずで再生回数ミリオンを突破しています。

それもそのはず「退化 退化 退化」や「ウッホウッホッホウッホッホ」など、ユニークなワードが繰り返される異次元の歌詞は、中毒性抜群です。

そんな振り切った大人気ボカロ曲『新人類』の歌詞には、果たしてどのような意味が見出せるのでしょうか。

便利な社会に毒された「新人類」


まずは冒頭の歌詞です。

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あぁ
退化退化退化
僕らが目指すはチンパンジー?
どうやらなにやら世の中どんどん
どんどん便利になっちゃって

さぁ
対価対価対価
僕らの未来はコンビーフ?
小さくまとまっちゃって残念ね新人類
≪新人類 歌詞より抜粋≫
----------------

テクノロジーの発展によってどんどん便利になる世の中。

そういった世界では頭を使う機会が少なくなり、自分たちはチンパンジーへの退化まっしぐらなのでは?と主人公は考えているようです。

また、人間が退化する「対価」として「僕らの未来はコンビーフ?」ともあります。

缶詰にぎゅっと詰め込まれた牛肉さながら、似た者同士が狭い世界に凝集する。

そんな面白みのない非冒険的な未来を、主人公は残念に思っているようですね。

以上から、この歌における「新人類」とは、便利すぎる世の中を生き、退屈な未来が予見される「現代人」のことだと解釈できそうです。

次の歌詞も見てみましょう。

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あぁ
解散解散解散
拗らせすぎだぜ 一般人
あーだの こーだの
愛だの 恋だの
なんかの ルールに則って
≪新人類 歌詞より抜粋≫
----------------

何でもすぐに調べられる現代では、愛や恋についてでさえマニュアルがあふれ返っています。

生身で冒険せず、画面の中の情報だけで全てを知った気になり、自分を拗(こじ)らせていく「一般人」。

これについては、世代を問わず多くの人に思い当たる節がありそうです。

そんなルールや枠に縛られた現代人たちへ「解散 解散 解散」と、主人公は飽き飽きしながら呼びかけている様子。

そして次の歌詞がこちらです。

----------------
さぁ
快感快感快感
何年人間やってんの?
窮屈しちゃって 参ったってんならったったったった
≪新人類 歌詞より抜粋≫
----------------

狭い視野でがんじがらめになって生きる人たちへ「さぁ 快感 快感 快感」と、ストレートに快楽を求めるよう誘っているようですね。

主人公は「何年人間やってるの?」とあおりながら、ヒトとして本能的に気持ちいいことを勧めている様子です。

最後の「参ったってんならったったったった」は、現代人を快楽の世界へ誘うと同時に、大昔からある人類の娯楽(=リズムをとること)に自ら興じ、脱「新人類」を身をもって示しているかのように聴こえます。

さらに続く歌詞はこちら。

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外の声は 無視して
半端な理屈 脱ぎ捨てて
ボンクラな頭 体 騙しながら
喉を鳴らして

原理的な 感情は拒否して
原始的な 衝動に任せて
無様で ナウな やり方で
≪新人類 歌詞より抜粋≫
----------------

同族の心地いい声を振り切り、ネット由来の半端な知見を捨て去り、ボンクラ上等で本能をむき出しにする。

自分を騙してでも、マニュアル化した感情ではなく原始的な衝動に身を任せる

そんな「無様でナウなやり方」で脱「新人類」を成し遂げるよう、主人公は現代人に呼びかけているように読み取れます。

ちなみに「ナウな」は「今っぽい」という意味で、1970年代に流行した言葉です。

今っぽさを表すためにあえて過去の流行語を使っている点には、原始に帰ることこそ令和的であるという主人公の主張が垣間見えますね。

この勢いのまま、サビの歌詞も見てみましょう。

----------------
ウッホウッホッホウッホッホ
進化も進歩も 放っぽいちゃって
大脳からピースフルで キマっちまいな(はい)

ウッホウッホッホウッホッホ
ギークもニッチも
ボッチもバッチも
お盛んで 踊ろうぜ 新人類
≪新人類 歌詞より抜粋≫
----------------

耳に残る強烈な「ウッホウッホッホウッホッホ」。

誰よりも早くゴリラになり、原始に帰る前例を見せつける主人公。

積極的に退化するその姿勢には、進化や進歩の余地は全くありません。

また「大脳」は思考や記憶など、人間としてのハイレベルな知的機能を担っています。

そんな「大脳」さえお花畑にするほど「キマっちまいな」と、主人公は私たちに語りかけているようですね。

ありふれたオタクだろうと理解されない物好きだろうと、あなたが一人だろうと群れていようと、頭を使わず気持ちいいことだけに集中する。

乱れ交わる発情期のチンパンジーのように踊り狂うことこそ、現代人を悩みから解放する究極の解決策なのかもしれません。

驚異的な退化で魅せる「新人類」


ここからは、2番以降の歌詞を見ていきましょう。

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誰が 誰が 誰が 誰が
上等な面して 座ってんだ
何処だ 何処だ 何処だ 何処だ
劣等種が 何をほざいてんだ
≪新人類 歌詞より抜粋≫
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この部分は、上下関係にある二者が互いになじり合っているさまだと考えられます。

下位の者は「偉そうにして何様だ」と上位の者をなじり、上位の者は「何者でもないくせに」と下位の者をののしる。

よくありそうな上下関係の不和ですね。

そんな争いに、主人公は臆することなく割って入ります。

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やめだ やめだ やめだ やめだ
干支も マスコットも 交代だ
何が 何が 何が 何が
もう辛抱たまりゃしねぇ なぁ!
≪新人類 歌詞より抜粋≫
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「やめだ やめだ やめだ やめだ」は、階級の差によって生じる争い、もしくは階級社会そのものへの反対宣言でしょうか。

「干支もマスコットも交代だ」というフレーズからも、順番や人気を争うことへの不満感が伝わってきます。

何が今年の干支なのか、何が人気のマスコットなのか、何が一番で何が二番で…

そんなわずらわしい社会に我慢ならなくなった主人公は、何もかもサルにしてしまえとばかりに再び頭を空っぽにします。

----------------
ウッホウッホッホ
ウッホウッホッホ
ウッホウッホッホ

ウッホッホ
≪新人類 歌詞より抜粋≫
----------------

ウッホウッホして楽になったところで、次の歌詞です。

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あぁ
怠慢怠慢怠慢
調子はどうだい? 問題児
あることないこと
イイことヤなこと
せいぜいぼっちでヤっちゃって
≪新人類 歌詞より抜粋≫
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社会が望むことをサボっているらしい問題児に「調子はどうだい?」と絡む主人公。

何であれ「せいぜい一人で頑張っちゃいな」と黙認しているようです。

一方、次の歌詞では、社会のルールに従っている人へ向けて主人公が挑発的に話しているように読み取れます。

----------------
さぁ
開花開花開花
何年先まで待ってんの?
言わなきゃいいじゃん バレなきゃいいじゃん さぁ さぁ さぁ
≪新人類 歌詞より抜粋≫
----------------

先延ばしにして機会を失うより、内職してでもやりたいことをやる。

主人公が推奨するのは、むしろ問題児のような直情的な生き方なのでしょう。

無駄にチャンスを待ち続けないことが才能の開花につながるなら、現代社会に逆行する「退化」もそこまで悪くないのかもしれません。

主人公の生き方が少しカッコよく見えてきたところで、最後のサビに入ります。

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ウッホウッホッホウッホッホ
進化も進歩も 放っぽいちゃって
大脳からピースフルで キマっちまいな(はーい)

ウッホウッホッホウッホッホ
ギークもニッチも
ボッチもバッチも
二の舞を 踊ろうぜ 新人類
≪新人類 歌詞より抜粋≫
----------------

カッコよく見えた目を一瞬で覚ますような「ウッホウッホッホウッホッホ」。

何もかも脱ぎ捨てた主人公の主張は、もはや爽快です。

理性ではなく本能に従って過ちを犯すのは人類の性(さが)。

それなら、誰も彼も古代人の二の舞を踏んで本能のままに踊り狂おう

そう呼びかけることが主人公なりの現代人の救い方なのでしょうか。

続く最後の歌詞はこちらです。

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ウッホウッホッホウッホウッホッホ
ウッホウッホッホウッホッホ
どうやらなにやら世の中どんどん
どんどん便利になっちゃって
ウッホウッホッホウッホウッホッホ
ウッホウッホッホウッホッホ
大きく廻って そんじゃバイバイだ 新人類

新人類
≪新人類 歌詞より抜粋≫
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これまでにない密度でのウッホッホですね。

便利になっていく世の中に全力で逆行する主人公。

最後の「大きく廻(まわ)って」には、何度もヒトとゴリラを行き来する主人公のように「原点回帰を繰り返せ」というメッセージさえくみ取れそうです。

言いたいことを伝えきって軽快にバイバイするその勇姿は、きっとゴリラのようにたくましく見えることでしょう。

ちなみにゴリラは、進化の過程においてチンパンジーよりも古くにヒトと分岐している類人猿です。

古代人はおろかチンパンジーをも超越する「退化」を率先して見せる主人公こそ、もはや現代人をしのぐ「新人類」である気もしてくるラストでした。

プロセカでもウッホウッホッホウッホッホ!

今回は、まらしぃ×じん×堀江晶太 (kemu) feat. 鏡音リン『新人類』の歌詞の意味を考察しました。

現代人が抑制しがちな本能的欲求を全肯定する、ユニークでウッホウッホな歌詞でしたね。

耳に残るキャッチーで不思議なフレーズたちには、一度聴いたら忘れられない魅惑のパワーが秘められているようにも思えます。

なお『新人類』は2023年8月、プロセカの愛称で知られる大人気リズムゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ』にも追加収録されました。

乗りに乗っているボカロ界の怪作『新人類』。

皆さんもぜひ、ウッホウッホ楽しんでみてはいかがでしょうか。

この特集へのレビュー

そのほか

ばか

2024/01/10 15:33

(*‘ω‘ *)ニコニコ

そのほか

加糖裏桜

2023/09/22 05:55

そう考えるとまらしぃ様、じん様、kem様天才すぎますね…

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