SIX LOUNGEのレーベル移籍後第1弾アルバムがすごい!
2012年に結成され、デビューから注目を集め続ける大分発のスリーピースロックバンド・SIX LOUNGE(シックス ラウンジ)。ロックンロールの王道とも言える無骨なサウンドが生み出すキャッチーなメロディと、独特な表現で紡がれる歌詞が持ち味です。
流行に乗るのではなく自らがトレンドを作り出していくスタイルで、往年のロックファンはもちろん幅広い層を虜にしています。
そんな彼らが2023年9月20日にソニー・ミュージックレーベルズへの移籍後第1弾となる4thフルアルバム『FANFARE(ファンファーレ)』をリリースしました。
初回限定盤は16曲、通常盤も14曲という大ボリュームのアルバムです。
タイトルの「FANFARE」は華やかで勇ましい短い楽曲を意味します。
まさにこれぞファンファーレといった『アナーキー・イン・ザ・人生』から始まり、壮大に響く『俺たちのファンファーレ』へと続いていく構成がリスナーの気分を大いに盛り上げてくれるでしょう。
さらに「FANFARE」には派手に誇示するという意味があります。
そこから自分たちの音楽を最高の状態でリスナーへ提示するイメージも込められているようです。
その思いを裏づけるように、SIX LOUNGEらしいストレートなロックンロールから爽快なポップロック、ヴォーカルのヤマグチユウモリの歌声が心に沁みるバラードまで、多彩にラインナップされています。
SIX LOUNGEというアーティストを知り、その魅力を深掘りするのにぴったりの作品です。
どのような世界を見せてくれるのか、『FANFARE』収録曲の一部をご紹介します。
SNSで大バズの代表曲「リカ」の歌詞を考察
SIX LOUNGEがさらに多くのリスナーに支持されるきっかけとなった楽曲といえば『リカ』でしょう。『FANFARE』の初回限定盤のボーナストラックとして収録されている『リカ』は、2016年3月リリースの1stフルアルバム『東雲』の収録曲です。
人気の火付け役はシンガーソングライターのaiko。
2023年3月にゲスト出演した音楽番組『Love music』にて「凄い!と思った恋愛ソングの歌詞」のひとつとして『リカ』を紹介したことで、SNSを中心に再注目されることとなりました。
“恋愛ソングの女王”aikoが推す『リカ』の歌詞をピックアップして考察してみましょう。
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100円のホットコーヒー
ひと息ついた君
世界の終わりを待ってる
僕と君はリカ
≪リカ 歌詞より抜粋≫
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冒頭の「100円のホットコーヒー」のフレーズは、これから描かれるカップルの何気ない日常を印象づけます。
高価なものや特別なイベントがなくても、たった100円のホットコーヒーで何となく満足できる穏やかで温かい雰囲気が素敵ですね。
しかし続く「世界の終わりを待ってる」という描写から、2人を取り巻く環境は決して良いものではないことがうかがえます。
そして歌詞が進んでいくほど不穏さが立ち込めていきます。
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リカ、君だけは幸せにさせないよ
一緒に地獄をみよう
2人だけ
≪リカ 歌詞より抜粋≫
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特にインパクトがあるのが、aikoもお気に入りだと語るこのフレーズです。
本来なら愛する人を幸せにしたいと思うのが一般的ですが、ここでは「君だけは幸せにさせないよ」と言っています。
言い換えれば不幸にし続けるつもりだということであり、深く愛しているからこそ募る憎しみの感情が主人公をそのように駆り立てるのでしょう。
また幸せにならなければずっと自分だけを見て、自分だけを求めてくれるのではないかという気持ちもあるのかもしれません。
主人公は自分自身を幸せにはなれない人間だと思っていて、もしリカが幸せになってしまえば自分から遠く離れてしまうのではないかと不安な気持ちを抱えているのではないでしょうか。
それで幸せなんて手の届かないものを求めるのではなく、2人だけの世界で「一緒に地獄をみよう」と願っているように感じました。
そして彼女を自分に依存させようとして、自分の愛の示し方がこの世界の常識かのように教え込んでいきます。
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リカ、アザだらけの顔
すごく愛しているよ
悪魔になった僕を愛してくれるかい?
≪リカ 歌詞より抜粋≫
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リカが「アザだらけの顔」になっているのは、主人公が彼女を傷つけたから、とも取れるでしょう。
それでも悪びれる様子もなく「すごく愛しているよ」と甘く囁きます。
どんな姿であっても愛するという真っ直ぐな愛と、愛する人を自ら傷つけて満足している暗く狂気的な想いが交差する歌詞です。
最後に、愛ゆえに狂った自分を変わらず「愛してくれるかい?」と問いかけています。
愛するよう強制するのではなく問いかけているところに、主人公の心の奥にある繊細さや臆病さが垣間見える気がします。
だからこそ彼の歪な愛が恐ろしいのに繰り返し聴きたくなるのかもしれませんね。
『FANFARE』では『リカ』の再録Ver.が収録されており、基本的なアレンジは原曲のまま残しながらも約10年でさらに磨かれた音楽スキルと表現力が感じられる作品に仕上がっています。
リリースに合わせて公開されたMVはイラストレーターで漫画家のますだみくが監督・イラストを務めており、曲と共に繰り広げられる歌詞にリンクした物語とリカの幸せそうな笑顔に魅入られるでしょう。
ぜひ原曲から変わらない魅力とアップデートされた違いを聴き比べながら楽しんでください。
「エバーグリーン」と「モモコ」のギャップにシビれる!
『FANFARE』では実に多種多様な楽曲が選曲されていて、SIX LOUNGEの様々な顔を見つけることができます。特に注目したいのは、4曲目に登場するリード曲『エバーグリーン』から6曲目のロックナンバー『モモコ』へと続く部分です。
全く対照的なテイストの2曲にどんなストーリーを描いているのか、それぞれの歌詞を簡単に考察してみたいと思います。
まず『エバーグリーン』はリリースに先立ち公式TikTokで先行公開されると、たちまち累計150万回再生を突破。
ストリングスのアレンジが効いた壮大なバラードで、サビの転調と後半の広がりに心を掴まれる楽曲です。
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「じゃあ、あと3分で世界が終わるなら?」
なんて突然つぶやいた君が悲しそうだから
3分間ただ君を抱きしめるよ
≪エバーグリーン 歌詞より抜粋≫
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世界が終わるまでにしておきたいことを考えていた主人公に、「君」は世界が終わるまでたった3分しかないなら何をするのかと問いかけます。
その悲しそうな雰囲気に思うところがあり、主人公は「3分間ただ君を抱きしめるよ」と答えました。
何を置いてもそうしたいと思えるほど好きで、ほかに大切なものは何もないとさえ思っているようです。
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あぁ夕焼けの空、ぎゅっと手をつないで
せーの、さんにいちで
飛び出した
≪エバーグリーン 歌詞より抜粋≫
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最後の部分で、夕焼け空を望む屋上で2人は手をつないで「飛び出した」とあることから、それまでの会話は自らの人生を断つ前振りであったと解釈できるでしょう。
タイトルの「エバーグリーン」とは常緑樹のように通年緑の葉を持つ植物のことで、転じていつまでも新鮮であることを意味します。
自ら世界を終わらせることによって、2人のこの愛にあふれた時間がいつまでも美しいまま記憶に残ることを願ったのかもしれません。
そんな悲しくも美しいラブバラードの後に続くのが、爆音で聴きたい最強のロックンロール『モモコ』。
激しく打ち鳴らされるキックが印象的なサウンドにファルセットの歌声が乗り、少しミスマッチなアンバランスさがとてもクールな楽曲です。
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ねぇモモコ
開発中の
高層ビルとその倍の絶望
ほらモモコ
ふわっふわの
わたがしみたいに消えていく日々に爪を立てて
Oh Yeah! モモコ
死にたい夜をふたりで食べ尽くそうぜ
≪モモコ 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞を見ると、大きな絶望を抱える男女のことを歌っていると考察できます。
「ふわっふわのわたがし」のように中身がなく、すぐに消えていく毎日に辟易していることが伝わってきます。
死にたいとさえ感じるような夜を「ふたりで食べ尽くそう」、そうして自由を得ようと考えているようです。
続く歌詞ではその心にあるのが人に愛されたいという気持ちで、努力しなくても愛される猫への憧れも覗かせています。
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いいの、
君は、
ニャーなんて、鳴いてりゃいいの。
≪モモコ 歌詞より抜粋≫
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ラストの歌詞を見ると、現実は変えられないしきっと来世にも期待できないからモモコのことは自分が愛してあげようと思っているように感じました。
『エバーグリーン』で表現されたのとは少し違う、ポジティブな愛情が『モモコ』では示されているように思えます。
『FANFARE』では全体を通して様々なジャンルの楽曲を楽しめるよう、飽きの来ない構成になっています。
初回はぜひ1曲目から順番に聴いて、驚きと発見に満ちた展開を楽しんでくださいね。
SIX LOUNGE渾身のアルバム「FANFARE」を今すぐチェック!
SIX LOUNGEの通算4枚目のフルアルバム『FANFARE』には、人の持つ喜怒哀楽を多彩な表現で音楽に落とし込んだ中毒性の高い楽曲が詰まっていました。10月から2024年1月にかけて各地で開催されるライブツアーも控えており、これからますます活躍が期待されます。
SIX LOUNGEのこれまでの活動の集大成と新たな門出の第一歩を感じるアルバム『FANFARE』を思う存分味わいましょう!
2012年に結成された大分出身の3ピースバンド。 ストレートなロックサウンドと妖艶さ、荒々しさも持ち合わせており高音域から低音域までしっかり歌いきるVo.ヤマグチユウモリの圧倒的な歌唱力が特徴である。 メンバー全員が大分県立芸術緑丘高校音楽科出身。(卒業生:リリー・フランキー、錦野旦···