注目のガールズバンド「Conton Candy」
「Conton Candy」(コントンキャンディー)は、Vo・Gtの紬衣(つむぎ)、Ba・Choの楓華(ふうか)、Dr・Choの彩楓(さやか)で構成された3ピースガールズバンド。2018年に高校の軽音楽部だったメンバーで結成されており、この当時は4人組のバンドでした。
翌年には「MUSIC DAYS 2019」の東京大会で最優秀賞を受賞し、全国大会ではFACE-ON賞に輝いています。
その後、元ボーカルの活動継続が困難な状態になり、2020年6月からは無期限活動休止を発表していたConton Candy。
約9か月後に活動再開を発表し、現在の3ピースバンドとなりました。
2021年には全国タワーレコード限定で1st EPとなる『PURE』をリリース。
同年10月に配信リリースされた『ロングスカートは靡いて』で人気を博し、新人バンドでありながら各種音楽配信サイトにてロングヒットを記録しています。
今回ご紹介する『ファジーネーブル』は、2023年4月26日に配信リリースされたデジタルシングル。
聴けば聴くほど、この楽曲の奥深さに魅了されること間違いありません。
さっそく歌詞の意味を辿りながら、『ファジーネーブル』に描かれた情景を考察していきましょう。
リアルに描かれた甘酸っぱい恋模様
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真面目すぎるその姿が好き
私には似合わない
それでも横にいられたらと
そう思う、いやそうやって思ってる
≪ファジーネーブル 歌詞より抜粋≫
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好きになったのは、自分とはタイプの違う人なのでしょう。
自分には似合わないと分かっていても、好きな人の傍にいられる事を想像するだけで胸が高鳴ります。
何度も噛み締めるように自分の気持ちを確信していく過程が、恋の甘酸っぱさをより一層引き立てるのでした。
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もう何回も呼んでいる君の名前も
もう何回も夢に見た2人の世界も
もう何回も何回も諦めようとして 戻って
君に酔ってしまう
私になってゆく
≪ファジーネーブル 歌詞より抜粋≫
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何気なく「君の名前」を呼ぶ度、特別な感情が湧き上がってきます。
”当たり前のこと”をたまらなく愛おしく感じてしまう、それが「恋をする」という事ではないでしょうか。
頭の中で、二人っきりの世界を思い描いては掻き消してを繰り返す「私」。
もうこの恋は諦めようとしても、どうしても惹かれてしまいます。
もしかすると「君」と一緒にいる時の「私」は、いつもと違う自分の一面を見出しているのかもしれません。
そうして発見した自分の新しい側面も、「私」は案外気に入っているのではないでしょうか。
「5%の想い」の正体とは
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悲しすぎるその結末はもう
私言わなくても分かってるの
それでも横にいたいなんて
そんなこと思えないよ
≪ファジーネーブル 歌詞より抜粋≫
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ここで言っている「悲しすぎる結末」とは「失恋」のことを指しているのでしょう。
では、なぜ想いを告げる前から「私」はこの恋を諦めているのでしょうか。
楽曲中では明言されていないので、「君」に好きな人もしくは恋人がいるという可能性を除き、歌詞から読み取れる情報から考察してみましょう。
1番の冒頭では「真面目すぎるその姿が好き 私には似合わない」というフレーズが登場していました。
これを読み解いてみると「私」のキャラクターは”真面目”に捉えてもらいづらいのかもしれません。
つまり、陽気な友人であろう「私」が真面目な「君」に告白をしても、本気に受け取ってもらえない可能性を危惧しているのではないでしょうか。
頭の中は「君」のことでいっぱいでありながら、実際はなかなか踏み出せない描写がとてもリアルでいじらしささえ感じさせます。
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オレンジに染まった5%の想いは
私の思い出に溶けてしまう
消えてしまう前に
≪ファジーネーブル 歌詞より抜粋≫
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タイトルの『ファジーネーブル』とは、ピーチリキュールとオレンジジュースを混ぜ合わせた甘いカクテルです。
ここで登場する「オレンジに染まった5%の想い」とは恐らく「ファジーネーブル」のアルコール度数を指しています。
つまり、オレンジジュースが建前だとすると、5%のアルコールは「私」の本音を意味しているのかもしれません。
抜群の浸透率で沁みるサビ
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ファジーネーブルの匂いで
私どこかに行けそう
許すたび 心まで
オレンジ色に染まる
≪ファジーネーブル 歌詞より抜粋≫
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サビには、一度聴けば自然に口ずさみたくなるような魅力があります。
ブルーノートスケールが活かされた独特なメロディーは、親しみやすさの中にほろ苦さや甘酸っぱさも共存させました。
心の奥まで浸透してくるような紬衣の歌声が、ノスタルジックな気持ちを呼び起こさせるのです。
様々な要素を踏まえて考えてみると、『ファジーネーブル』は過去の恋に想いを馳せて慈しんでいる楽曲なのではないでしょうか。
ここで登場する「オレンジ色」とは「ファジーネーブル」の色だけでなく、恋に戸惑っていた「私」がその当時にみた夕焼けのオレンジ色を指しているのかもしれません。
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ファジーネーブルの匂いで
君とどこか飛んでいけそう
甘い苦い切ない想いを
飲み干してしまいたい
≪ファジーネーブル 歌詞より抜粋≫
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「ファジーネーブル」の匂いだけで、遠い過去の記憶まで鮮明に思い出しているのではないでしょうか。
とても甘くて少し切ないかけがえのない想いをお気に入りのお酒と共に飲み干していきます。
まるで叶わなかった恋を飲み込むような健気な描写に思わず共感してしまうこと間違いありません。
五感を呼び起こすラブソング
今回は、Conton Candyの『ファジーネーブル』をとりあげ、歌詞の意味から楽曲の背景を考察してきました。今、最も人気の高い楽曲と言っても過言ではない本作。
その最大の理由は、『ファジーネーブル』を聴くだけで味わいや香り、恋に戸惑い好きな人に焦がれた甘酸っぱい青春を一瞬で思い出すことが出来るからではないでしょうか。
ぜひ五感をフルに活用して聴いていただきたい作品です。
東京を拠点に活動中、高校の同級生で結成された3ピースバンド。 10代から人気の音楽配信サイト「Eggs」の再生アーティストランキングでは約1年前よりTO3を維持。 総再生数は65万回再生を記録。リリース前にも関わらず、JAPAN’S NEXT 渋谷JACK 2021 SUMMERに出演するなど注目を集める。ボーカルの···