月9ドラマ「真夏のシンデレラ」主題歌
「リョクシャカ」の愛称で知られる緑黄色社会。アニメ『薬屋のひとりごと』のOPテーマ『花になって』、「森永製菓 受験に inゼリー」のCMソング『キャラクター』など、多くのタイアップ曲を手がけています。
ボーカル・長屋晴子の伸びやかな歌声やメンバー全員のポップセンスあふれる作曲が魅力の大人気バンドです。
今回考察するのは、2023年8月7日に配信リリースされた『サマータイムシンデレラ』。
同年夏に放送されたフジテレビ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』の主題歌として制作されました。
MVの再生回数は1300万回を超え、月9と同じように王道を貫いたリョクシャカの音楽は多くの人々の心に響いているようです。
また、夏の終わりには「THE FIRST TAKE」での一発撮りパフォーマンスも公開され、さらに多くの注目を集めました。
ノリに乗っているリョクシャカの楽曲、王道のラブソング『サマータイムシンデレラ』。
果たしてその歌詞には、どのような意味が込められているのでしょうか。
不意を着いて始まるひと夏の恋
まずは1番の歌詞です。
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言葉にできない
想いは溢れてゆくのに
答えなど出せないまま
≪サマータイムシンデレラ 歌詞より抜粋≫
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主人公は「言葉にできない想い」にモヤモヤしている様子です。
「答えなど出せない」という歌詞から、主人公は気になっている人に告白され、その返事をどうしようか迷っている意味なのかもしれません。
『真夏のシンデレラ』でも、主人公・夏海が告白され、恋愛関係として彼とうまくやっていけるのか、自分にとって彼はどのような存在なのかと迷い、考えるシーンがありました。
好意を伝えられて嬉しいものの、次の一歩が踏み出せない主人公。
そんな彼女のラブストーリーは、あふれる想いと出せない答えとの葛藤から始まったようですね。
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波飛沫はぜるような偶然は重なる
こうしてふたりを巡り合わせるの
そして世界は初めての色に染まる
もう誰にも止められないほど
≪サマータイムシンデレラ 歌詞より抜粋≫
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ラブストーリーといえば、まるで運命かのような偶然の連続が王道ですよね。
同じ波が二度と来ないなら、その飛沫(しぶき)の軌跡や交錯はいっそう特別なもの。
二人を巡り合わせる「波飛沫」のような運命は、誰にも邪魔することはできません。
「初めての色」に染まった世界とは、恋をしてキラキラ輝くバラ色の毎日のことを意味しているのではないでしょうか。
希望に満ちた雰囲気のなか、サビの歌詞に入ります。
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始まりは不意を着いた
それでもふたりは恋を取って駆け出した
何度も思い出すような言葉を探して
届けどうか このまま熱さが醒めないように
やがて迷子の夜すら超えてゆく
≪サマータイムシンデレラ 歌詞より抜粋≫
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歌詞の「始まりは不意を着いた」からは、手と手が触れ合ってドキッとするような定番のシチュエーションがイメージできますね。
恋のきっかけは小さな出来事でも、ゆっくりと互いを理解していき、ここぞというときに手を取り合って駆け出す。
恋愛におけるタイミングの重要さも認識させられます。
また、主人公は相手の心に残り続けるような言葉を模索している様子です。
恋に気持ちが熱くなっているうちに、特別な言葉を届けたい。
それを実現できれば、答えを出せずに迷子になった夜も報われるのかもしれません。
魔法をかけられたような運命
続いて、2番の歌詞を見ていきましょう。
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はじけた笑顔も
やさしく流れた涙も
この夏が残してくれたプレゼント
魔法みたいな時間に揺れちゃってどうしよう
明日がこれほどに愛おしいのは
≪サマータイムシンデレラ 歌詞より抜粋≫
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フレッシュにはじける笑顔や、静かに頬を伝う涙。
ひと夏の恋では、短期間に感情が大きく揺れるものです。
それが喜びであれ悲しみであれ、得られた経験は「この夏が残してくれたプレゼント」。
続く「魔法みたいな時間」からは、シンデレラが王子様と踊った夢のようなひとときが連想されます。
長い目で見れば一瞬のような出来事によって未来が愛おしく感じられるのも、きっと恋の魔法なのでしょう。
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これが恋と知った
ふたりの心をもっともっと近寄せて
なんでも超えられるような気持ちを見つけた
波に乗って このままふたりが溶け合うなら
まるで決められていた運命のよう
≪サマータイムシンデレラ 歌詞より抜粋≫
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主人公も、自分が抱いている感情が「恋」だと気づいたようです。
「ふたりの心をもっともっと近寄せて」。
ぶつかり合ったりすれ違ったりしながらも、互いを深く深く理解していく。
そうして心の距離を近づけた先に「一生一緒にいたい」と思える強い気持ちが見つかるのかもしれません。
偶然が積み重なった波に乗り、違う方向からはじけ飛んできた飛沫同士が溶け合う。
そんな王道のような恋模様は、紛れもない「運命」。
そんな意味が込められているのかもしれませんね。
飾らない二人でハッピーエンドへ
最後に、終盤の歌詞を見ていきます。
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8月のカレンダー
夏の終わりが近付いた
胸が騒ぐ
やめてまだ終わらないでよ
「好き」をまだ伝えていないのに
ああ ようやく答えに会えた
鐘が鳴る
≪サマータイムシンデレラ 歌詞より抜粋≫
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晩夏に差しかかる8月の終わりごろ。
自分が恋をしていると気づいた主人公ですが、まだ「好き」と伝え返すことはできていないようですね。
このまま、なにもせずに終わってしまう夏に「やめてまだ終わらないでよ」と焦りを感じ、胸が騒いでいる様子です。
そんな状況のなか、ついに主人公は「ああ ようやく答えに会えた」と悟ります。
「鐘が鳴る」からは、高鳴る鼓動や高まる感情、ハッピーエンドになりそうな明るい未来が感じ取れますね。
主人公が出した「答え」とは何なのか。
最後のサビの歌詞を見てみましょう。
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始まりの合図がした
たまらずふたりは恋を取って駆け出した
なんてことない飾らない言葉が
届けどうか このまま熱さが醒めないように
やがて迷子の夜すら超えてゆく
≪サマータイムシンデレラ 歌詞より抜粋≫
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1番の「始まり」からは互いを意識する瞬間がイメージできましたが、ここでの「始まり」は二人の恋愛関係の始まりと解釈できそうです。
きっと主人公は相手に「好き」を伝えることができたのでしょう。
「何度も思い出すような言葉」を模索していた主人公ですが、今では「なんてことない飾らない言葉」の尊さを噛み締めているようです。
恋愛関係だからと気構えることなく、ありのままの二人で手を取り合って走り出す。
夏が終わっても熱が醒めない二人の恋は、それこそ『シンデレラ』のような永遠のハッピーエンドを迎えられそうに思えます。
カップリング曲「マジックアワー」も必聴!
今回は、緑黄色社会『サマータイムシンデレラ』の歌詞における意味を考察しました。夏の爽やかさや恋愛のもどかしさなど、王道の恋模様がぎゅっと詰まった歌詞でしたね。
答えに迷っていた主人公が少しずつ決意するストーリー展開にもグッとくるものがあったのではないでしょうか。
なお、シングル『サマータイムシンデレラ』には『真夏のシンデレラ』の挿入歌である『マジックアワー』がカップリングで収録されています。
この記事では『サマータイムシンデレラ』単体の歌詞を主に解釈しましたが、ドラマの詳細や『マジックアワー』の歌詞などを絡めるといっそうイメージが広がるでしょう。
恋に新しい波が来たようなときには、ぜひこれらも合わせて歌詞を味わってみてください。