5thアルバム『アルトコロニーの定理』収録曲
ジャンルに縛られない無二の音楽性、独創的で情緒的、哲学的でユーモラスな歌詞が魅力のRADWIMPS。“ラッド”の愛称で親しまれる、日本のみならず海外にもその名をとどろかせている大人気バンドです。
今回考察する『七ノ歌』は、2009年3月リリースの5thアルバム『アルトコロニーの定理』に収録された1曲。
タイトルの読み方は「なのか」で、数字が散りばめられた独特なフレーズが展開されます。
ひと癖もふた癖もある『七ノ歌』の歌詞には、果たしてどんな意味が込められているのでしょうか。
さっそく冒頭の歌詞から考察していきましょう。
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Talking to my favorite songs and I'am about to fly
I wish that I'd be there next to closest by your side
'So am I',Well,who am I?
≪七ノ歌 歌詞より抜粋≫
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1行目は「Talking to my favorite songs and I'm about to fly(好きな歌に話しかけている 俺は今にも飛んでいってしまいそう)」。
「Listening to」でなく「Talking to」である点からは、自分から歌に没入していく強い能動性が感じられます。
続く歌詞の和訳は「お前の隣に、いやもっと近くにいられたらいいな」となりそうです。
主人公はラブソングに没頭して好きな人への感情を増幅させているのかもしれません。
そんな彼に「So am I(僕もそばにいたい)」と同調しているのは、もう一人の自分でしょうか。
突如として響いた頭の中の声に「Well, who am I?(ええと、俺って誰だっけ)」と主人公は少しばかり混乱している様子です。
そんな不思議な描写で『七ノ歌』の物語は幕を開けます。
「Cuz I wanna be with you」
続きの歌詞はこちらです。
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Reality knocks on my door and I'm about to cry
I tried to shut down the world but it's time to say good-bye
You and I will live and die,Well so what
Cuz I wanna be with you
Cuz I wanna be with you
Cuz I wanna be with you
Until I die
≪七ノ歌 歌詞より抜粋≫
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1行目は「Reality knocks on my door and I'm about to cry(現実がドアをたたく 俺は今にも泣き叫んでしまいそう)」。
安息の日曜から“現実”の月曜に変わるのを嘆いているようにも読み取れますね。
続く2行目は「I tried to shut down the world but it's time to say good-bye(現実世界を遮断しようとしたけど、さよならを言う時が来た)」。
この部分は、歌に没入して現実から目を背けていた自分(=俺)との別れを決意したように解釈できます。
現実に向き合おうと決めたのは、きっと「You」のおかげなのでしょう。
「You and I will live and die, well so what(お前も俺も生きて死んでいく それがどうした)」には、未来を気にせずに今だけを見ようとする雰囲気が感じられます。
この先どうなろうと死ぬまでお前と一緒にいたいから(Cuz I wanna be with you Until I die)現実世界としっかり向き合う。
自分の生き方を変えようと思うほどのパートナーに、主人公は巡り会えたようですね。
次の歌詞も見てみましょう。
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別にこれと言っていい顔だなんて 思ったことはないんだけど
誓ってそれはないけど まぁ一度ぐらいならあるかもしれないけれど
ただそんなことはどうでもよくて お前がこの顔好きだって
言ってくれるから 褒めてくれるから そこんとこはオトンとオカンに
感謝です ほんと感謝です この俺の好きな人の好みに俺を
作った二人は天才です どうやったらんなことできるんですか?
「まぐれです」 なんて言われちゃったならそれまでだけどもコツがもし
あればこっそり教えてほしい いつか俺にも使わせてほしい
俺の子供もそうあってほしい
Cuz I wanna be with you
Cuz I wanna be with you
Cuz I wanna be with you
Until I die
≪七ノ歌 歌詞より抜粋≫
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特別「いい顔」ではないけれど、そんな自分の顔を好きと言ってくれた「お前」。
それを心から嬉しがる「俺」は、好きな人に好かれる顔を作ってくれた「オトンとオカン」に感謝と尊敬が止まりません。
もちろん顔の作り方にコツなどはなく、ただの「まぐれ」なのは明白です。
そうとわかりながらも、「俺」は「自分の子供も好きな人に好かれる顔であってほしい」と強く願っています。
たとえそれが親の七光であっても、自分の子供にも「死ぬまで一緒にいたいと思える人」と結ばれてほしいようですね。
「七の歌」を「なのか」と読むのはなぜ?
ここからは後半の歌詞を見ていきます。
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俺は0でも1でも2でも3でも4でも5でも6でもない
だから ほんとはお前といるのは8でも9でも10でない
話なんだけど 分かっているけど こうなったらもう仕方がない
≪七ノ歌 歌詞より抜粋≫
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たくさんの数字が登場しますが、特に注目すべきは最後の数字(6と10)でしょう。
まとめると「俺はろく(6)でもない男だから、お前と一緒にいられるなんてとん(10)でもない話だ」となりそうですね。
自分が相手と釣り合わない自覚がある主人公ですが、いよいよ「こうなったらもう仕方がない」と覚悟を決めた様子です。
ひとたび「お前」を愛してしまった以上、ろくでもない「俺」でも前に進まなければならない。
続く歌詞でも、その決意の固さや愛情の深さがつづられます。
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勿体ないとは言わせない まぁ言われたところで気にしない
何されたって 言われたって どんな眼にさらされたって
明日、明後日、明々後日で俺の人生終わりだって
言われたっていいんだって だって
地球で一番大切な人の地球で一番大切な人になれた俺は地球で一番…
この先は言わなくたっていいんだ 俺が思ってるだけでいいんだ
誰かと張り合うつもりもないし だけど負ける気もさらさらない
から言っちゃおう やっぱ言っちゃおう でもどうしよう やっぱやめとこう
そもそも勝ち負けではないし 判定の仕方も分からないし
≪七ノ歌 歌詞より抜粋≫
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自分には勿体ないとは言わせないし、たとえ言われても気にしない。
「地球で一番大切な人の地球で一番大切な人になれた」主人公には、この先どのような目にあっても構わないという強い気持ちが芽生えているようです。
そんな「俺」は、きっと地球で一番幸運に恵まれている。
そう言いたげな雰囲気ですが、幸せや運は人と比べるものではありません。
あえて明言を避け、彼は話を戻します。
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ところで話は戻るけど 6でもないとか言ってたけども
ならばあなたは何なのよって 残すはもうあと一個でしょ
言わずもがなと思うけども もちろんそれは7ですよ
ご存知の通りこの僕の頭には ラッキーがついてるの
Cuz I wanna be with you
Cuz I wanna be with you
Cuz I wanna be with you
Until I die
≪七ノ歌 歌詞より抜粋≫
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「ろく(6)でもない」自分とは何なのか。
その答えは「7」。
「7」はラッキーセブンとよく言うように頭に「ラッキー」がつきますね。
一人称が「俺」から「僕」に変わったのは、大切な人と一緒に過ごすうちに、忘れかけていた慈愛の心がよみがえったからでしょうか。
ちなみに「7日」は、ユダヤ教において天地創造が終わった安息日とされ、この安息日はキリスト教におけるイエス復活の日曜に通じています。
これを考慮すると「七ノ歌(なのか)」という曲名には「大切な人とずっと一緒にいるために自分自身が変わる」という意味が込められているのかもしれません。
それほど大切に思える人に出会い結ばれた「僕」は、きっとコツを教わらずとも「オトンとオカン」の「まぐれ」さえ受け継いでいる “ラッキーセブン” な男なのでしょうね。
愛とラッキーの「七の歌」
今回は、RADWIMPS『七ノ歌』の歌詞の意味を考察しました。大切な人との恋愛を通して「俺」の人生が大きく変わっていくような、愛と幸運の歌でしたね。
曲名の意味を読み解くカギになる数字も、考察しがいのあるミステリアスな存在感を放っていました。
独特なワーディングが光る “ラッド” らしい歌詞は、考えれば考えるほど深みにハマっていくような魅力でいっぱいですね。
もちろん、ここでの考察は答えではありません。
あくまで参考として、あなたも自分なりに『七の歌』の歌詞のイメージを広げ、その真意にアプローチしてみてください。