合唱曲としても知られる旅立ちの歌
『Lovers Again』や『Rising Sun』など、とくに平成世代にとって思い出深い名曲を数多く世に送り出してきたEXILE。ボーカルとパフォーマー双方を主役に据えた音楽でファンを熱狂させ、今なお進化を続けているダンス&ボーカルユニットです。
今回取り上げるのは、2007年2月14日にリリースされた『道』。
卒業や旅立ちをテーマにしたバラードで、合唱曲としても親しまれています。
ATSUSHIとTAKAHIROがボーカルを担当するオリジナルバージョンのほか、2022年11月にはTAKAHIROがソロで歌うセルフカバーバージョンの『道』も配信リリースされました。
長きにわたって愛され続けている旅立ちの歌。
その歌詞には、はたしてどのような意味が込められているのでしょうか。
当たり前が未来に変わる時
まずは1番の歌詞から見ていきましょう。
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「思い出が 時間を止めた」
今日の日を忘れるなと
見慣れた景色 二度と並べない
思い出の道
この道で 君と出会い
春が僕らを包んでた
愛と優しさ 教えてくれたね
泣かないで歩こう
≪道 歌詞より抜粋≫
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「思い出が 時間を止めた」。
思い出が詰まった道や見慣れた景色を前にして、「今日が最後だ」と、目や足が自然と止まってしまうような状況がイメージできます。
そして主人公「僕」にとって、その道は、春の暖かい空気のなか「君」と初めて出会った場所でもあるようです。
「愛と優しさ」を教えてくれた「君」は、きっと親友や恋人のような特別な存在だったのでしょうね。
そんな「君」のことを考えながら、主人公は「泣かないで歩こう」と意を決して最後の道を行きます。
続くサビの歌詞はこちらです。
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空、今日も青空です
泣き笑いしたあの時
あたりまえが未来に変わる
「希望」「夢」「愛」話したい
動くな時間
空に叫ぶ
キミを忘れない
≪道 歌詞より抜粋≫
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「空、今日も青空です」というフレーズからは、出会ったあの頃も青空だったという含みも読み取れますね。
そんな青空を見上げながら沸々とよみがえる「泣き笑いしたあの時」。
「あたりまえが未来に変わる」というのは、当然のように「君」と過ごした日常が今日から白紙に戻り、新しい人生が始まるといったニュアンスでしょうか。
ガラリと世界が変わる旅立ちの今、「希望」「夢」「愛」など、まだまだ話し足りないことがたくさんある様子です。
「動くな時間」と空に叫ぶ「キミ」は、きっと「僕」と同じように青空を見上げ、思い出が止めた時間を噛み締めていたのでしょう。
「特別な時間をありがとう」
続いて、2番以降の歌詞を見ていきます。
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優しさに出会えたことで
僕は独りじゃなかった
誰も消せない 心のアルバム
笑えるかもね
≪道 歌詞より抜粋≫
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「君」の優しさによって孤独を免れた「僕」。
そのおかげで「心のアルバム」には誰にも消せない記憶がたくさん残っているようです。
これまで積み重ねてきたたくさんの思い出が、いつか酒のさかなにでもなったらいい。
そんな思いが「笑えるかもね」のひと言にはうかがえますね。
続く歌詞はこちら。
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「動き出した 最後の時間」
君に伝えたい言葉
涙 邪魔して 空を見上げたら
春の音 聞こえた
≪道 歌詞より抜粋≫
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このまま止まってほしいとどれだけ願っても、「君」との最後の時間は過ぎ去っていきます。
伝えたいことがあるのに、涙がこぼれそうで主人公は思わず空を見上げてしまいました。
不意に聞こえた「春の音」は、風にそよぐ木々や鳥のさえずりのことでしょうか。
別れの瞬間が刻一刻と迫るなか、サビの歌詞に入ります。
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道、君と歩いた今日まで
かすかに 動くくちびる
特別な時間をありがとう
「心」「勇気」「友」「笑顔」
嬉しすぎて
溢れ出した
涙が とまらない
≪道 歌詞より抜粋≫
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ここでの「道」は、「君」と何度も歩いた道という意味のほか、これまで一緒に歩んできた日々という意味もありそうです。
その道の果てで「特別な時間をありがとう」と伝えたい主人公。
「かすかに動くくちびる」には、伝えたら「あたりまえ」が終わってしまうという憂いや悲しみも読み取れます。
「心」が通じ合ったこと、「勇気」をもらえたこと、大切な「友」ができたこと、毎日「笑顔」で過ごせたこと。
たくさんの「特別」とともにあふれ出す涙は、もはや言葉いらずの「ありがとう」のように思えます。
最後の歌詞はこちらです。
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ゆっくりと歩きだそう
この道 未来へ続く
さよなら 泣かないで
忘れないよ
離れても 愛しています
道、君と歩いた今日まで
かすかに 動くくちびる
特別な時間をありがとう
「心」「勇気」「友」「笑顔」
嬉しすぎて
溢れ出した
涙が とまらない
≪道 歌詞より抜粋≫
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未来へと続く道を、ゆっくりと歩き出す。
別れを前に「泣かないで 忘れないよ 離れても愛しています」と励ましているのは、優しい「君」のほうでしょうか。
いつまでも慕い合える仲間がいる「僕」なら、この先の人生もしっかりと歩んでいけそうです。
そしてその道の途中でまた「君」に会い、希望や夢、愛について時間を忘れて語り合える日が来たら最高ですね。
卒業シーズンに欠かせない名曲
今回は、EXILE『道』の歌詞の意味を解釈しました。多くの時間をともに過ごした大切な仲間の顔が自然と浮かんでくるエモーショナルな歌詞でしたね。
とくに進学や就職を控えた学生たちにとっては心に響く楽曲だったのではないでしょうか。
とはいえ、人生が変わるような大きな節目はいつだって誰にでも訪れるものです。
そんな節目のたびに『道』の歌詞を噛み締め、かつての仲間や友達に思いを馳せる。
そうして特別な時間への「ありがとう」を忘れず、胸を張って新しいステージへと踏み出すことができたら素敵ですね。