4人が最近ハマっていることは?
──まずは本題前のウォーミングアップを兼ねて、「東京女子流」のグループ名に絡めまして、最近の皆さんのブームを「〇〇流」という形で教えてください。新井ひとみ(以下、新井):〇〇流とは?(笑)
──ちょっと昭和の匂いを感じる質問の仕方でスミマセン…。
中江友梨(以下、中江):私が最近ハマってるのは“ベーグル流”ですね。
新井:あ、そういう感じでいいのね。
中江:最近急にベーグル熱が燃え始めまして。
──ベーグルって、お店によって硬さが全然違いますよね。
中江:そうなんです。中身ぎっしりのハード系と柔らかいモチっと系に分かれますけど、私はモチっとが好きなんです。両手でグーっと引っ張った時にお餅みたいにプチンと切れる感じが大好き。
──普段から“ベーグルめぐり”をしたりするんですか?
中江:一日に何軒も回るようなことはしませんが、最近も大阪の実家に帰った際に人気のお店を調べて朝から一人で行列に並んできました。どのお店に行ってもプレーンを買うのはマストで、そのほか、お店の方におすすめを聞いたりして現実的に食べ切れるだけの数を買って帰ろうと思うのですが、ベーグルファンは本気の方が多いので、周りの熱に感化されて気付けばカゴの中に7つくらい入っていることもあったり…。
──バーゲンセールなどで周りに釣られて必要以上に買ってしまう時の心理ですね(笑)。山邊さんは何流ですか?
山邊未夢(以下、山邊):私は“タマゴサンド流”です。
──お、ベーグルからのパンつながり。
山邊:そうですね(笑)。私、もともとパンが大好きなんですけど、最近、家の近所で人気のパン屋さんのタマゴサンドを食べたら“革命”が起こりまして。そこからタマゴサンドの美味しさに目覚めて、他のお店でも必ずタマゴサンドを買うほどハマっています。ただ、やっぱり最初に食べた、あのタマゴサンドがダントツにおいしくて、なぜだろうと思って家で分解してみたら、中にバターが分厚く塗られていることが分かりました。
──好きなものを分解までしちゃう探究心がすごい。
中江:私たちも差し入れでもらって、感動する味だった。
新井:確かに。
──ベーグルとタマゴサンドの話を聞いて、さっきお昼ご飯を食べたばかりなのにお腹が空いてきました。庄司さんはどうですか?
庄司芽生(以下、庄司):私はプロジェクターで映画を観ることにハマり中です。
中江:“映画流“だね。
庄司:暗い空間が好きなので、その日にやることをすべて終わらせて、夜、暗い部屋で映画を見ながらキャラメルコーンを食べることが、密かなリフレッシュタイムになっています。この頃は洋画を観ることが多くて、最近だと『リッチー・リッチ』と『マイ・インターン』あたりが面白くて、あと、Netflixで配信が始まったばかりの『終わらない週末』は、本当に感動する作品でした。
──おうち映画館なんてロマンチックですね〜。それでは新井さんは?
新井:私は、“ビーズ流”です。
──え、B’zですか?
新井:いや、アーティストじゃなくて、手芸の方のビーズ…。
──あ、そっちのビーズでしたか。お手軽な趣味でいいですね。何を作ることが多いんですか?
新井:ネックレスやブレスレット、最近は指輪も作りますね。ビーズ自体は2、3年前から集めていたんですけど、しばらく何も作っていなくて。そんな中、友だちが「こういうブレスレットが欲しい」と話していた時に「これなら私、作れるよ」という話になって、またのめり込み始めました。前は自分の好みではっきりした色のビーズが多かったんですけど、その友達は淡い色が好きなので、段々と色のレパートリーも増えてきて、少しずつ自分の中でレベルを上げながら楽しんでいます。
新たなアプローチで挑んだ「2:30am」
──さっそく楽しい話をありがとうございます。それでは新曲『2:30am』の話題に入っていきましょう。タイトルの通り「深夜2時半」がテーマになっている本作ですが、この曲は東京女子流にとってどんな一曲になりましたか?庄司:今回の新曲は、昨年リリースした6thアルバム『ノクターナル』の収録曲『Viva La 恋心』と『コーナーカット・メモリーズ』という2曲を提供してくださった、きなみうみさんに私たちが猛アプローチをして書いていただきました。『ノクターナル』の制作を通じて、グループとしていろいろと新しい可能性が見えたところで、きなみさんと何度かセッションを重ねながら、今までにない形で生まれた曲で、いつにない思い入れのある一曲になりました。優しい世界観あふれる曲なので、いろんな方々の日常の中に溶け込んでくれたらうれしいです。
中江:『ノクターナル』を境に、女子流の中に等身大の自分たちに寄り添ってくれる楽曲が増えてきたという印象があって。今回の『2:30am』も、きっと5年前の私たちだったら少し背伸びした曲になっていたと思うんですが、経験を重ねてきた今だからこそ、曲の世界観が自分の中にスッと入ってくるような感触がありました。そのあたりは、私たちと同年代のきなみさんが、女子流のことを見つめながら作ってくださった曲というのも大きいと思います。
新井:『2:30am』はすごく優しい気持ちになれる一曲です。最初にメロディだけ聴いた時は、淡くてふんわりとした雰囲気を感じて、さらに歌詞を読んでみたら冒頭の<ほら、君が笑う。そしてつられて僕も笑うような日々が幸せ>というところからいろいろな幸せが詰まっていて、本当に胸が温かくなる楽曲だと思いました。深夜2時半というのは、起きている人もいれば寝ている人もいて、人それぞれまったく過ごし方が違う時間帯ですし、この曲も聴く人の感じ方によって印象が大きく変わると思います。
山邊:聴いていると自然と大切な人の顔が頭をよぎるので、そういう力のある曲を歌えることがとても幸せだと思いました。ライブでも大切な人のことを思い浮かべながら聴いてほしい一曲です。
──深夜2時でもなく3時でもない「2時半」がテーマである意味をどう捉えていますか?
中江:私の感覚だと、まだ起きていたい2時ともう寝る支度に入る3時の間にある、その日にやることをすべて終えて、余計なことを考えなくていい、のんびりとした時間ですね。
新井:私の中では、一日の終わりが“惜しくなる”時間です。未夢の言う通り、3時まで進んでしまうと「明日もいい日であるように」って頭を切り替えられるんですが、2時半くらいまでは、まだその日のことがギリギリ頭にあるので、一日が終わってしまうことを寂しく感じてしまったり。
──確かに、何もしなくてもいい時間でもあり、いろんな感情が入り混じる時間でもありますよね。本作は今までの楽曲制作とは少し違ったアプローチで臨まれたそうですね。
庄司:そうです。まず特定の作家さんに自分たちの具体的な思いを伝えて曲が形になったことが初めての体験でした。『ノクターナル』のリリースから1年以上の期間があった中で、きなみさんともいろいろな話をして、どうやって新しい自分たちを見せていくかを模索しながら、何曲かデモを用意していただいた上で、メンバーで話し合って『2:30am』を選びました。最初はダンスナンバーやバラード曲にしようという意見もあったんですが、私たちの中には「夜、誰かを想う時。」がテーマだった『ノクターナル』で掴んだ手応えがあったので、その延長線上で、なおかつ新鮮味も出せるところで勝負したいという思いが強かったんです。
──きなみさんとの出会いが、音楽との向き合い方を変えた?
中江:そうですね。きなみさんは私たちと同年代なんですけど、人生を何周してるんだろう…と思わされるくらい、いろいろなことをご存知の方で、音楽が好きな気持ちや曲に対する愛情に尊敬させられました。女子流の楽曲もすごく聴き込んでくださっていて、好きなポイントを言ってくださったのもとても嬉しかった。
庄司:実は曲全体を打ち込みで構成する予定だったんですけど、急遽きなみさんが演奏してくださって、そういう意味ではメロディも含め一曲丸ごと聴きどころかもしれない。
中江:そうそう。一人でいくつも楽器をひいて、何度もテイクを重ねながら、そういうライブ感の中で曲が出来上がっていく光景がすごいと思ったし、きなみさんのこの曲にかける情熱を見た気がして感動しました。
「2:30am」で印象深い歌詞は?
──『2:30am』の歌詞の中で、お気に入りの部分や、特に印象が強い部分を教えてください。庄司:<繰り返す日常 振り返ると愛情が毎秒大きくなるんだ 今なお>というフレーズが好きです。私は日常の中で気になるものを見つけると、とにかく写真に収めるタイプで、あとからそれを見返して当時の気持ちを振り返ることが多いので、自分に共感できる歌詞でもあるし、幸せの瞬間をまっすぐ表しているところが素敵だと思います。
中江:私は<時にぶつかったり傷つけあって 心にもない言葉ぶつけて>というところが印象深いです。この歌詞を読むと、子どもの頃を思い出すんです。私は反抗期がひどくて、当時は家族にも素直になれない時がたくさんあって、わざとかわいくないことを言ってしまうこともよくありました。本当はそう思っていないのに、母親や大切な人に間違った言葉をぶつけていたなって。きっと多くの人が似たような経験をしていると思うんですけど、そういう時期を越えて今があるというところに、本当に等身大の自分が書かれているような気がします。
新井:全体を通してふんわりとした雰囲気の曲なんですが、<遠く果てしない時間の中、そう遠くない終わりを迎えるその時まで>という詞には、この曲で伝えたい思いがギュッと詰まったような強さを感じます。幸せというのは当たり前のように続くものではなく終わりがあるからこそ、その時間が愛おしく感じられるんだということを改めて教えてくれる大切なフレーズです。
山邊:私はBメロの<間違いばかりの世界で夢を見てるよ 冷たい雨が降る街で愛を歌うよ>という歌詞に最も共感しました。世の中って実際に間違っていることも多いし、いろいろ難しいこともあるけれど、その中でも夢があるからがんばれるし、そこに向かって一歩ずつ進んでいけるという前向きな気持ちが感じ取れて気に入っています。Bメロは他のところと曲調がちょっと違って、聞いていると頭の中に情景がパッと浮かんでくるので全体的に好きなパートです。
──2月18日公開のリリックビデオでは、山邊さんが背景画にチャレンジされているそうですね。
山邊:絵を描くのはずっと好きでした。どちらかというと、絵を描くことが好きというよりも、自分が気になったものをリアルに描写することが好きといった方が正しいかもしれません。
──写実主義なんですね。今回の背景画のこだわりはどんなところでしょうか。
山邊:ペットのワンちゃんを愛でる二人の後ろ姿だったり、二人が寄り添って寝ている姿だったり、人物の絵をいくつか描いているのですが、曲の世界観に合わせて、見る方それぞれの“大切な人”をイメージしてもらえるように、顔はあえて描かないことにしました。それと、これも曲の世界観にマッチするよう風景に淡い色彩を使ってみたり、自分なりにタッチを工夫してみたり、いろいろなこだわりを込めたので、歌詞と一緒に絵の方もじっくり味わってほしいです。
──これを機にアートとの二刀流に挑戦したり?
山邊:いやいや(笑)。また、今回のような機会があれば挑戦してみたいですが、絵画を本業にされている方のような実力はないので…。
──それでは今回見られる“山邊アート”はファン必見ですね。一方で、近日公開予定のダンスビデオの見どころも教えてもらえますか。
中江:まだこれから撮影に入るので、はっきりしたことは言えないのですが、夜更かしをして何となく眠れない時に見てもらうと、すごく優しい気持ちで一日を終えられる出来になると思います。体のラインが見えるような大人っぽい振りもポイントで、今の東京女子流だからこそ表現できるダンスになっているので、公開を楽しみにしていてください!
14周年記念ライブに向けて
──最近はTikTokにも積極的に投稿されていますね。SNSの発信が増えたことでファンの層が変わったみたいな実感はありますか。庄司:去年あたりから、ワンマンライブに足を運んでくれる女の子たちの数が増えたような気がします。
──そうなんですね。ティーンズや20代の女の子たちからすると、10代の頃から今に至るまでずっとキラキラしている女子流メンバーに憧れる子も多いと思うのですが、4人揃ってずっとかわいらしくいられる秘訣って何なんでしょう?
中江:子どもの頃からアイドルをやっているけど、小学生や中学生の頃はファッションのこともメイクのこともよくわからなくて。
山邊:女子流の活動の中で自分の合うものだったり、かわいい見せ方だったりを教えてもらった感じだよね。
新井:そこから大人になって、それぞれ違う系統のビジュアルだと言うことに気づいて、4人とも個々の特徴を伸ばしているみたいな感覚だと思います。
──なるほど、自分のいいところを見つけて磨いているということですね。5月には東京・新宿のZepp Shinjukuで14周年アニバーサリーライブが控えています。同会場では初のワンマンライブということもありますが、昨年100回目を迎えた定期ライブとアニバーサリーライブとでは、やはり心持ちが違うものですか?
中江:ライブは東京女子流の生命線なので、どのライブも毎回大切にしていますが、アニバーサリーライブは普段から応援してくださるファンの方々に私たちの一年の集大成を見せる場所ですし、新たな一年に向けてグループの絆を確かめ合う機会でもあるので、いつも今あるすべてをぶつけていこうという気持ちを持って取り組んでいます。ちょうど今、5月のライブに向けていろいろ企画しているところですが、来年の15周年に向かう一歩目として「いくぞ!」という気持ちを持って、華々しいお祭りにしたいです。
──それでは最後に改めてリーダーの庄司さんから、『2:30am』を聴くファンの方々にメッセージをお願いします!
庄司:今の私たちの魅力を最大限に詰め込んだ一曲になっていますので、ぜひ皆さんの日常の中でたくさん聴いていただきたいです。そして、パフォーマンス込みだとまた違って見える部分もあると思うので、ぜひライブにも足を運んでもらえたら嬉しいです。
TEXT 鈴木翔
PHOTO 井野友樹
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