ツミキから星街すいせいへの楽曲提供曲を徹底解説！
数々のアーティストに楽曲提供をしているツミキが作詞・作曲・編曲を務め、ホロライブ所属のVtuber・星街すいせいに提供した『ビビデバ』が話題となっています。2024年3月22日よりYouTubeで公開されているMVは、Vtuber歴代最速で1000万回再生を突破。
TOOBOEやずっと真夜中でいいのに。などの映像も手がけている擬態するメタが作品のディレクションをしており、2次元と3次元を行き来するようなユニークな表現が魅力です。
タイトルの「ビビデバ」は、シンデレラの物語に登場する魔法の言葉「ビビディ・バビディ・ブー」から取られています。
そのため、MVでも星街すいせいがシンデレラ役となって登場します。
歌詞にどのような想いが綴られているのか、またシンデレラというモチーフがどのように関わっているのか、歌詞とMVの内容から意味を考察していきましょう。
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つまらないデイズもう散々ね!
奇蹟願っているだけの人生
WATCH ME DO...
呪術秘中トリック無しのマジック
I WANNA BE FREE!だってまだふりだし
(THE PARTY AIN'T STARTED)
HEYタクシー ちょっと宇宙迄
≪ビビデバ 歌詞より抜粋≫
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MVの設定はスタジオでのMVの撮影風景を切り取ったもののようで、シンデレラのドレスを身に纏った星街すいせいに加え、高圧的な様子の監督や忙しく動き回るスタッフたちなどの姿が見えます。
冒頭の歌詞では、つまらない日々への嘆きが歌われています。
シンデレラのストーリーのように劇的な奇蹟を願っていますが、そう簡単には訪れません。
監督に叱られているスタッフの様子からも、誰もが思うように生きられず「WATCH ME DO…(私がすることを見て…)」と自分自身を認めてもらえることを望んでいることが感じ取れるでしょう。
人生はまだ始まったばかりの「振り出し」で、「THE PARTY AIN’T STARTED(パーティーはまだ始まっていない)」。
だから「I WANNA BE FREE！(自由になりたい！)」と強く思います。
「HEY タクシー ちょっと宇宙迄」のフレーズから、宇宙まで飛び出していくような何にも縛られない自由を得たいという気持ちが伝わってきますね。
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秒針は音を立てて夜を急かす魔物のよう
人生は一瞬にして溶ける魔法
それならば駆け抜けて想通り!
≪ビビデバ 歌詞より抜粋≫
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シンデレラにかけられた魔法は時刻が0時を回ると溶けてしまうため、1秒さえ惜しく感じたことでしょう。
現実でも現代人は特に毎日時間に追われるように忙しく生活していて、楽しい時間もあっという間に過ぎ去ってしまうことを感じているはずです。
自分の理想と現実が噛み合わずに苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。
その点がMVの中でも表現されており、監督のダンス指導に対して星街すいせいはピンヒールのガラスの靴では無理だと主張しています。
しかし監督は少しも理解を示してくれず撮影は始まり、案の定ダンス中に転んでしまいます。
自分の気持ちに正直に行動したい
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DANCE!ラリラリホ
どんな問題も解は一つ
白紙も正解も間違いも愛す
本当のあたしの理想
何だか世界は限界の気配がして
ただただ安心じゃあ心配
今すぐJUMPIN OUT
CHITTY CHITTY BANG BANG
CHITTY BANG BANG
唯唯諾諾に危機感抱く日々に
ぎりぎり爆発気味
たった今発散してしまおうか
まだまだビイビイ弾巧みに乱射
一発じゃあ撃ち足りないわ
ついに導き出した君にアンサー
灰に成る迄踊って居よう
≪ビビデバ 歌詞より抜粋≫
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「どんな問題も解は一つ」で、正解だけが正義だと考えるのが一般的かもしれません。
しかし、ここの歌詞では「白紙も正解も間違いも愛す 本当のあたしの理想」と語っています。
正解だけでなく、間違えてしまっても答えが出せなくても全てを受け入れるのが理想だということです。
正解ばかりを求める生き方ではなく「今すぐJUMPIN OUT(飛び出す)」と、その瞬間に抱いた自分の思いのままに行動したいというポジティブな気持ちが垣間見えます。
MVでは演者の意見を聞かずに押し通した監督が、自分のことは棚に上げて彼女のマネージャーに詰め寄ります。
星街すいせいの姿はシンデレラのままですが、カメラの前にいない彼女は黙って成り行きを見ているだけのプリンセスではありません。
マネージャーが暴力を振るわれたのを見て、ついに真っ向から非難します。
「唯唯諾諾」と相手の言うことを受け入れて従う日々に危機感を抱いて「ぎりぎり爆発気味」だった彼女が、その不満を爆発させた瞬間です。
「一発じゃあ撃ち足りないわ」と、ここぞとばかりに思い切って言葉を重ねたのでしょう。
そして台本を投げつけた監督に向けて、シンデレラの象徴ともいえるガラスの靴を投げつけます。
監督は盾突く彼女に怒りを露わにし、掴みかかろうとさえしました。
倒れて逆さになったカメラに映る様子が、2人の対立の激しさを物語っていますね。
それでも「灰に成る迄踊って居よう」と歌います。
灰かぶりの意味を持つシンデレラのように灰をかぶるどころか、自分自身が燃え尽きて灰になるまで本心に正直に行動したいという気持ちが表れているように思えます。
Vtuberとしての揺るぎない想い
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おしゃまな馬車 飛び乗ってDRIVIN'
あたしは大変身メイクアップ!
我儘のまにまに 燦きに注意
洒落な街でDANCIN'
左様なら グッバイ劣等感
何時かは 喝采クラップオウデエンス
皆皆 御唱和あれ!
BIBBIDI BOBBIDI BOOWA
混絡がっても仕様が無い
ガラスシューズで踊るTONIGHT
BIBBIDI BOBBIDI BOOWA
今夜に明日など無い
ならば自由に踊った者勝ちでしょう?
≪ビビデバ 歌詞より抜粋≫
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カメラを拾い上げた彼女は監督のことは放っておき、近くにあった衣装に着替えました。
先程のドレス姿とは全く印象が異なるファッションですが、彼女にとってはこれが「大変身メイクアップ」した姿です。
これは自分が輝くのに服装なんて関係ないという意思の表れなのかもしれません。
夜景の中、残った片方のガラスの靴を投げ捨てて踊る姿は確かに煌めいています。
ここまで2次元と3次元が融合する映像が印象的でしたが、このシーンでは実写の人間の動きにアニメーションの顔をつけるロトスコープという手法が使われています。
全体的に不自然さが際立っていただけに、さらに独特な奇妙さや気持ち悪さを感じてしまう表現です。
あえてこのような表現を取り入れているのは、Vtuberに対して似たような意見を持つ人がいるからだと推察できます。
Vtuber人気が高まっていく中で、アニメーションの姿を用いて活動している彼らを未だに気持ち悪いと頭ごなしに否定する人たちがいます。
監督として描かれ対立していた人物も、そのような人たちを表現しているのかもしれません。
この楽曲はそうした確執をさらけ出しながらも、受け入れない人を悪く言うことも媚びを売ることもせず、あくまで自分らしくいることにスポットを当てています。
つまり受け入れない人のことなんて関係なく、自分は自分のしたいことをしたいようにするだけだというあっけらかんとした考えを示しているのではないでしょうか。
そうやって「洒落な街でDANCIN'」すれば、自分自身の心の中にくすぶっていた劣等感は消えていきます。
そして心のままに踊っていれば、いつかは周囲の人々も認め称賛することでしょう。
大切なのは人から称賛を受けるために自分を合わせることではなく、自分の心に従うこと。
「ガラスシューズで踊るTONIGHT」は状況が悪いのだから足が「混絡がっても仕様がない」と受け入れ、そんなものは脱ぎ捨ててしまえと語りかけてきます。
「今夜」はいまこの時にしかなく、次でいいと思っている内に機会を逃していくでしょう。
それなら誰が何と言おうと「自由に踊った者勝ち」です。
「BIBBIDI BOBBIDI BOOWA(ビビディ・バビディ・ブーワ)」は魔法の言葉として「夢が叶う」という意味で使われていますが、実際はこの言葉そのものに特別な意味はありません。
同じように、夢を叶えるのに魔法のように劇的な奇蹟は必要ありません。
ただ自分がどのような気持ちでどう行動するかが重要なのだという前向きなメッセージが伝わってきます。
ポジティブなメッセージが力をくれる！
星街すいせいの『ビビデバ』は、明るくポップなサウンドとポジティブなマインドが詰まった歌詞が力をくれる楽曲です。MVでの相手に物怖じせず意見を言う姿や、歌詞に綴られている思い切って行動しようとする姿勢に、星街すいせいらしさを感じた方は多いのではないでしょうか。
彼女の圧倒的な歌唱力で心に訴えかけてくるメッセージをしっかりと受け取ってくださいね！
