アラスターの非公式イメージソングがTikTokで話題!
TikTokで話題を集めているBlack Gryph0n(ブラック・グリフォン)とBaasik(バーシク)による楽曲『INSANE(インセイン)』は、アメリカのインディーズアニメ『Hazbin Hotel(ハズビンホテル)』の主要キャラクター・Alastor(アラスター)をイメージして制作された、非公式ソングです。『Hazbin Hotel』は、地獄の過剰人口を平和的に減らすために悪魔を更生させようと奮闘する、地獄の王女・チャーリーの姿を描いた大人向けアニメーション・ミュージカルシリーズ。
ある時、街頭でのテレビインタビューをきっかけに、罪人の更生施設「ハッピー・ホテル」を訪れ、ホテル運営に参加するようになったのが、アラスターというキャラクターです。
常に笑みを浮かべた不気味な雰囲気が特徴で、1920年代にラジオDJをしていた彼は“ラジオ・デーモン”の異名を持ちます。
楽曲を制作したBlack Gryph0nは『Hazbin Hotel』のパイロット版で、アラスターの歌声を担当しています。
楽曲タイトルの「INSANE」は「常軌を逸した、正気とは思えない」といった意味がある単語。
海外では、驚きや感動の気持ちを表現する「ヤバイ」の意味合いで使われることが多いです。
Youtubeに投稿されている公式MVでは、「This song takes place at the moment of his death on earth and subsequent arrival in hell.(この曲は彼の地上での死とその後の地獄への到着の瞬間を歌っています)」と語られています。
このことから、アラスターの異常性と“ヤバイ奴がやって来た!”と、地獄が沸き立つような様子の両面を示すタイトルだと解釈できます。
どのようなストーリーが描かれているのか、歌詞を和訳しながら意味を考察していきましょう。
地獄にやって来たアラスター
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Dearly beloved
For your entertainment
It's my pleasure to introduce to
you hell's latest arrival
The equal-opportunity killer,
Alastor
≪INSANE 歌詞より抜粋≫
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楽曲冒頭は、司会が地獄の住人たちに向けて高らかに声を上げるシーンから始まります。
「親愛なる皆さん、大変お待たせしました」と注目を集めると、「地獄への新入りを紹介できることを嬉しく思います」と告げています。
そして紹介されたのが「The equal-opportunity killer, Alastor(無差別殺人鬼アラスター)」です。
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Hello, it's nice to meet you
Oh can you tell me where I am
I don't know how I got here
But I I think I'm starting to
understand
I don't belong among the angels
And baby,
that's just fine with me
The things
I did up there were high school
But now I'm going for my degree
≪INSANE 歌詞より抜粋≫
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アラスターは堂々と皆に挨拶しますが、「Oh, can you tell me where I am(それで、ここがどこだか教えてくれませんか?)」と尋ねます。
気がついたら今までとは違った場所にやって来ていたために、少し混乱しているようです。
しかし、皆から説明があったのか周囲の様子で察したのか、自分が死に、地獄にやって来たことを理解しました。
これまでの行いを振り返り「I don't belong to among the angels(天使たちの仲間にはなれないみたい)」だと悟りますが、気にする様子もなく「それでいい」と受け止めています。
続く部分には「high school(高校)」や「degree(学位)」といったフレーズが使われています。
おそらく、天使がするようなことはやり終えたから、これからは地獄でもっとハイレベルなことを学び習得したいという考えを示しているのでしょう。
地上での殺人を些細なことのように思っていて、自分の死すら気にも留めず、殺戮をエンターテイメントとして追求しようとする狂気的な一面が垣間見えます。
旧友との再会でも狂気が垣間見える
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Wait a minute, do I know you
Weren't you an old pal of mine
Departed from us far to early
But now we're meeting a second
time
We used to have such fun
together
And maybe you have what I need
But first
I have one tiny question
Tell me do you demons bleed
≪INSANE 歌詞より抜粋≫
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2番でアラスターはある悪魔に注目し、「以前会ったことがないか」と尋ねます。
「Weren't you an old pal of mine(もしかして私の古い友人ではないか)」と問いかけると、実際に2人はかつての知り合いだったようです。
「Departed from us far to early」を直訳すると「遠くから早くに出発した」となりますが、再会のシーンであることを考えると「早くに離れ離れになった」ということを表していると解釈できます。
再会を喜ぶアラスターが「We used to have such fun together(私たちは共に楽しんだ)」と言っているところを見ると、2人の関係は健全な友ではなかったのかもしれません。
その後、アラスターは「And maybe you have what I need(君は私が欲しいものを持っているかもしれない)」と言っています。
「do you demons bleed(君たち悪魔も血を流すのか)」と質問していることから、彼が欲しいものとは、悪魔を殺すことで得られる充足感なのではないでしょうか。
人間を殺した時のような赤い血が見られるのであれば、地獄での生活はとても楽しいものになると考えているようです。
本当の地獄へようこそ
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Hey
Sorry but you just got in my way
I promise honey
I can feel your pain
And maybe I enjoy it just a
little bit Does that make me
insane
Haven't been the same since
I expired
Doesn't mean that
I plan to retire
And now I have the power to
bathe all of you in entertaining
fire
≪INSANE 歌詞より抜粋≫
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繰り返されるこのサビの歌詞には、アラスターの飄々とした雰囲気が表れています。
「Hey, sorry, but you just got in my way(やあ、ごめんね、ちょっと邪魔だよ)」と声をかける様子は、いたって普通に見えます。
しかし「I can feel your pain(君の痛みは分かる)」と続けていることから、邪魔に感じた相手に実力行使に出たと考察しました。
強大な力を振るい、傷ついた相手に慰めるように声をかけていると想像すると、彼の狂気が伝わってきます。
さらに「And maybe I enjoy it just a little bit(そして少しだけそれを楽しんでいる)」と続けている点も、まさに悪魔らしい所業と言えるでしょう。
本人は自分を特別狂っているとは思っていないようで、「Haven't been same since I expired(死んでから色々変わったみたい)」と言います。
ただ、今の振る舞いが地獄に来てからのものだとしても、悪魔を引退するつもりはありません。
「And now I have the power to bathe all of you in entertaining fire(私には全員を愉快な炎に突き落とす力があるんだ)」と、悪魔たちに本当の地獄を見せるつもりであることを宣言しています。
「entertaining(愉快)」という表現を用いている点が、狂気的なエンターティナーである彼の人物像をよく表しています。
アラスターの魅力が詰まった歌詞を楽しもう
Black Gryph0nとBaasikによる『INSANE』は、無差別殺人鬼から悪魔の仲間入りを果たしたアラスターの姿を見事に表現した楽曲でした。アップテンポで陽気なメロディも魅力的で、アラスターのファンの方も、楽曲を聴いて初めて知った方もどんどん引き込まれていくでしょう。
アニメでのアラスターの人となりや過去と重ねながら、楽曲を楽しんでくださいね!