映画「ラーゲリより愛を込めて」の主題歌
今回考察するミセスの「Soranji」は、2022年11月9日に発売されたシングルです。
「Sojanji」は、諳んじる(そらんじる)という言葉が基になっていて、何も見ないで言えるように覚える・暗記するという意味があります。
同年12月に公開された映画「ラーゲリより愛を込めて」の主題歌に抜擢され、話題になりました。
「ラーゲリより愛を込めて」は、二宮和也演じる主人公・山本幡男がシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留され、過酷な環境を過ごす日本人捕虜の仲間たちとの絆を描いた作品です。
ミセスのメンバー・大森元貴は、月間音楽雑誌「音楽と人」のインタビューで「これが最後の作品になってもいい」という気持ちで曲作りに励んだと話しています。
『Soranji』の歌詞にどのような意味が込められているのか、早速紐解きましょう。
生きる希望と深い愛情
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貴方に会いたくて
生まれてきたんだよ
今、伝えたいんだよ
≪Soranji 歌詞より抜粋≫
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冒頭から主人公・山本にとって大切な人へのメッセージが記されています。
このフレーズの「貴方」は、妻・モミジや子どもたちなど、家族を指しているのではないでしょうか。
いつ命を落とすかわからない、まさに死と隣り合わせの状態のなか、家族への愛がひしひしと伝わってきます。
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いつの間にか すぐそばにある事を
忘れて今日も浮かんでます
思い出は歩いてきた証だと
この傷が教えてくれる
当たり前に進んでゆく皆んなに
ついて行こうと頑張っています
≪Soranji 歌詞より抜粋≫
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家族や友人、パートナーと一緒にいる時間が長いと、それを当たり前に感じてしまって、感謝の言葉をかける頻度が少なくなったことはありませんか?
しかし、その幸せだって、ある日突然なくなってしまうかもしれないのです。
だからこそ、日々感謝の心を忘れず、しっかりと相手と向き合ってほしいという思いが込められています。
「思い出は歩いてきた証」というフレーズは、生きていると楽しいことばかりではなく、辛いこともたくさんあるのだということを表現していると解釈しました。
傷ができると辛く悲しくなる反面、心も強くなっているはずです。
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有り得ない程に
キリがない本当に
無駄がない程に
我らは尊い。
≪Soranji 歌詞より抜粋≫
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「有り得ない程にキリがない本当に」
サビのフレーズでは、空腹や重労働などの過酷な状況下にいる、山本を含む日本人捕虜たちの心情を表しているのでしょう。
彼らはどんなに辛くても、決して生きのびることを諦めませんでした。
大切な人たちへの愛を胸に、たとえ可能性が低くても、希望を忘れない。
その絶対に諦めない心を「尊い」と繰り返し称えているのです。
何気ない日の幸せを噛みしめて
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まだ伝えてないよ
今日の分の「大好き」を
未来でも変わらず届けられますように
この世が終わるその日に
明日の予定を立てよう
そうやって生きて、
生きてみよう。
≪Soranji 歌詞より抜粋≫
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このフレーズでは、愛する人の存在や帰る場所に励まされ、何気ない日常の幸せについて歌っているのだと解釈しました。
生還した日本人捕虜たちは、きっとこの上ない幸せを感じたでしょう。
辛い状況であっても諦めず、楽しい未来や可能性を信じることが大切だったのです。
大切なあの人を思い浮かべながら聴いてみよう!
『Soranji』は、命の尊さや大切な人を再認識する言葉が散りばめられています。ポップなイメージが強いミセスの雰囲気とのギャップを感じられた方もいるのではないでしょうか。
自分自身の心と常に向き合い、大切な人を思い浮かべながら楽曲を楽しんでみてくださいね!
【Mrs. GREEN APPLE PROFILE】 大森元貴 (Vo/Gt) 若井滉斗 (Gt) 藤澤涼架 (Key) 2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム「Variety」でメジャーデビュー。 以来、毎年1枚のオリジナルアルバムリリースと着実なライブ活動を続け、2019年12月から行われた初の全国アリーナツアー「エデ···