実は賛美歌だった童謡
日本では小さいころから様々な童謡を歌ったり、その歌を用いた遊びをすることが多いです。
しかし、その中には『かごめかごめ』や『はないちもんめ』など、都市伝説として怖い意味をもつ曲も少なくはありません。
原曲の作曲者はフランスの思想家ジャン=ジャック・ルソーがオペラの中でパントマイム劇のシーンのために手がけたそうです。
その後、キリスト教の賛美歌として改編され、時代の流れと共に唱歌、そして『戦闘歌』となり、私たちのよく知っている童謡に至ったそうです。
日本では賛美歌集に掲載されたこともあるそうですが、その頃既に唱歌や『戦闘歌』の方が有名で人気があったため、その後賛美歌集から外したそうです。
日本国外では賛美歌として歌われ続けています。
戦闘歌としての名残
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むすんで ひらいて
てをうって むすんで
またひらいて てをうって
そのてを うえに
むすんで ひらいて
てをうって むすんで
≪むすんでひらいて 歌詞より抜粋≫
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歌詞をみると同じ動作を繰り返します。
ただ、これが現代の手遊びと違うやり方があったのではないか、と感じました。
例えば「むすんで」は両手を組み合わせる=キリスト教、そしてその状態から「ひらいて」手を合わせたまま=仏教、「手を打って」は2回手を拍手する=神社などの神道、このように各宗教のお祈りの所作が入っている歌なのではないでしょうか。
そしてこの所作が入ったのはなぜか。
それはこの歌詞の前に作られた『戦闘歌』に理由があるのではないでしょうか。
『むすんでひらいて』は1947年頃、『戦闘歌』は1895年頃に作詞されたそうです。
『戦闘歌』はメロディは同じで、歌詞が戦争を促す内容になっており、当時はこの歌で日本国民を奮起させていたようです。
同じ曲を使って戦争を促していたのに、終戦後には歌詞を変え、戦争で亡くなった方々を弔うような祈りの動作をつけたのはなんだか不謹慎を超えて、不気味さを感じますね。
子どもの行儀を促す歌
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むすんで ひらいて
てをうって むすんで
またひらいて てをうって
そのてを したに
むすんで ひらいて
てをうって むすんで
≪むすんでひらいて 歌詞より抜粋≫
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この歌は1番から3番の構成で成り立っていますが、歌詞の箇所が異なるのは、むすんだりひらいたりした手をどこにもっていくか、だけなのです。
1番では手を上に、2番では手を下に、3番では手を膝にもっていきます。
この箇所は子どもの行儀を促す歌としても使われています。
それ以外は同じ歌詞なので子供たちは同じ動きをします。
そして異なる箇所では言われた通りの場所に手をもっていきます。
そして最後の手を膝の上にしたときに、先生のお話がはじまる形なのだそうです。
こうすると「きちんとした姿勢」になり、行儀良くなるそうです。
戦後、子供たちの教育のために作られた歌詞というのは一理あるかもしれません。
歌のもつ力
曲のみだったものが、時代の流れで人から人によって伝われ続ける中で歌詞がつき、その歌詞も時代背景が変わると共に内容が変わる。現代でいう替え歌のような感覚なのでしょうか。
歌詞がついた初期の頃は神を讃えるための賛美歌として起用された曲が、日本では途中で戦争を促す曲になってしまうとはなんとも皮肉に思えます。
当時から歌はそれだけ人々の心に影響力のあるものだったのでしょう。
一歩使い方を間違えると人の心さえ支配・洗脳し、戦争を煽るようなものになってしまう。
令和の世の中では、歌をそのような使い方はしないようにしていきたいですね。