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ヨルシカ「忘れてください」歌詞の意味を考察!願いの言葉に込められた本当の気持ちは?

小芝風花主演ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』主題歌としてヨルシカが書き下ろした楽曲『忘れてください』。言葉の裏に隠された愛にあふれる心を綴る歌詞の意味を考察します。

枇杷の木に託した思い

2024年7月13日にリリースされたヨルシカの新曲『忘れてください』は、小芝風花主演ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。

▲ヨルシカ-忘れてください【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

歌唱を務めるsuisは、正直な言葉の裏に全く逆の想いが込められていることがあるという「人間の愛から成る撞着」が好きだと明かし、今曲ではその両方が込められているとコメントしています。

穏やかな優しい音楽とsuisの透明感あふれる歌声が、楽曲に表現された愛情をひしひしと伝えてきます。

どのような作品なのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。

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箱の中の小さい家の、
二人で並んだキッチンの小窓のカーテンの先の思い出の庭に、
春の日差しを一つ埋めて、たまには少しの水をやって、
小さな枇杷が生ったとき忘れてください
≪忘れてください 歌詞より抜粋≫
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1番では、小さい家に住む2人の終わりを描き出しています。

「思い出の庭」に植えた木に「小さな枇杷が生ったとき忘れてください」という真っ直ぐな言葉が心に刺さりますね。

コンポーザーのn-bunaは、北原白秋の歌集『桐の花』の「枇杷の木に黄なる枇杷の実かがやくとわれ驚きて飛びくつがへる」という歌を題材にしたと語っています。

枇杷は元々身代わりの木とされていて、家族が命を落としかねない病気を患った際に枇杷の木を切ることで身代わりにできると考えられていました

幼少期にチフスに罹った北原白秋は、病気をうつしてしまった乳母が他界したために彼女が自分の身がわりになったと感じ、枇杷の木を見るたびにそのことを思い出したのでしょう。

また、枇杷は実が生るまでに8〜10年ほどかかるため、当時は健康なうちから先を見越して植えておく家庭も多かったようです。

それは家族への愛であると同時に、大切な人との別れを意識しているようでもあります。

楽曲の主人公は愛する人の元を去っていく側で、いつか自分のことは忘れるようにと伝えています。

それでも実がなるまでの長い期間、水をやりながら枇杷の木を見る度に自分のことを思い出してほしいという気持ちも垣間見えるでしょう。

矛盾する気持ちに相手への愛情が詰まっています。

愛に満ちた日々もやがては終わる


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僕に 僕に 僕に
僕に心を
君に花束を
揺れる髪だけ靡くままにして
僕に言葉を
君の鼻歌を
長い長い迷路の先に置いて
≪忘れてください 歌詞より抜粋≫
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冒頭でも歌われる「僕に心を 君に花束を」という描写は、2人の違いについて歌っているように感じます。

恋人は「僕に心を」くれ、主人公は「君に花束を」贈る。

同じく愛情を表現するためであっても、その示し方は人によって異なります。

そうして積み重ねたかけがえのない日々を、風に吹かれながら思い出しているようです。

「揺れる髪だけ靡くままに」する情景を想像すると、何にも縛られない自然体な雰囲気と儚げな様子が感じ取れます。

また「僕に言葉を 君の鼻歌を」という歌詞は、「僕に言葉をくれた君の鼻歌」と言い換えられるかもしれません。

言葉はその人の心からあふれるものです。

何気ない鼻歌にさえ心を動かされるような、深い愛情の絆が見えてくるでしょう。

それでも人は心理的か肉体的かに関わらず、いずれ別れが訪れることを避けられません。

「長い長い迷路の先に置いて」という言葉は、大切なものが手の届かないところに行ってしまう切なさを感じさせますね。

君の未来のために忘れてほしい


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一つ一つ数えてみて。あなた自身の人生のあなたが愛したいものを。
……何もないのかい?
海の側の小さい駅を歩いて五分の海岸の、僕と見た翡翠の色も忘れてください
≪忘れてください 歌詞より抜粋≫
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これまでは2人の人生を歩いてきましたが、これから恋人は「あなた自身の人生」を歩むことになります。

だから、そこで「あなたが愛したいもの」を愛していってほしいと思っています。

しかし、恋人は愛したいものが「何もない」ようです。

今身の回りにあるものは全て2人でいたからこそ愛していたものなのでしょう。

この描写に、抱き続ける愛情と愛する人を失う喪失感の大きさが示されているように思えます。

続く部分では、いつか行った思い出の場所のことが記されています。

「海の側の小さい駅を歩いて五分の海岸」で見た「翡翠の色」をした海の記憶です。

そのようなかけがえのない美しい思い出も忘れてほしいと願っています。

過去に愛したものを手放すことで、恋人に前に進んでほしいという想いもあると解釈できるでしょう。

また、宝石の翡翠には繁栄・長寿・幸福といった意味があります。

それらを忘れてほしいとの願いは、この先一緒に未来を築いていけないことへの悲しみも表現しているのではないでしょうか。

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箱の中の小さい家の、
朝の日に揺れるカーテンを開けた静かな休日の、
寝起きの君が寝ぼけ眼で座ったその朝のダイニングテーブルに
僕の心があったこと、忘れてください
≪忘れてください 歌詞より抜粋≫
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2人で暮らした家には親密で穏やかな、何気ない日々の記憶が詰まっています。

そこには確かに「僕の心」があり、強く息づいていました。

しかし別れを迎えた今、その記憶を持ち続けるのは愛する人に悲しみを背負わせるようなものです。

だから本当は忘れてほしくないものの、愛しているからこそ「忘れてください」と伝えています。

MVの切ないストーリーにも注目!

ヨルシカの『忘れてください』は、大切な人との別れの中に見られる愛情の絆が表現された楽曲でした。

MVの映像制作は今回が初タッグとなる擬態するメタが担当しており、1つの家で暮らす男女の姿を実写とアニメーションを融合させて魅力的に描いています。

合掌で一つひとつ持ち物を消していく描写は、終わりに向けてのカウントダウンのようで切なくなりますが、手の中に思い出を閉じ込めているようにも見えて感動的でもあります

ぜひMVやドラマのストーリーと重ねながら、歌詞に込められた想いを感じ取ってください。

<n-buna(ヨルシカ) profile> 2012年から活動を開始したサウンドクリエイター。 「透明エレジー」「ウミユリ海底譚」「夜明けと蛍」「メリュー」「アイラ」「白ゆき」と多数のミリオンヒット曲を投稿し、2015年「花と水飴、最終電車」、2016年「月を歩いてる」の2枚のボーカロイドオリジ···

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