1. 歌詞検索UtaTen
  2. コラム&特集
  3. J-POP
  4. 米津玄師

米津玄師「がらくた」歌詞の意味を考察!映画「ラストマイル」主題歌に込めた愛あふれるメッセージとは?

アルバム『LOST CORNER』に収録され、映画『ラストマイル』主題歌として書き下ろされた米津玄師の『がらくた』。愛する人への大切な想いを繊細な表現で綴った歌詞の意味を紐解きます。

廃品回収車がもとになった歌詞を徹底解釈

米津玄師の新曲『がらくた』は2024年8月21日リリースのアルバム『LOST CORNER』の収録曲で、映画『ラストマイル』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。

▲米津玄師-がらくた【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

『ラストマイル』は、ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』の監督・塚原あゆ子と脚本家・野木亜紀子が再タッグを組んだ作品。

舞台は両シリーズと同じ世界線で、世界最大規模のショッピングサイトの関東センターから配送された荷物の爆破が、やがて日本中を震撼させる連続爆破事件へと発展していくノンストップサスペンス映画です。

その主題歌制作に伴い、両シリーズの主題歌を担当した米津玄師に白羽の矢が立ち、『がらくた』が制作されました。

アルバムリリースのインタビューによると、子ども時代から廃品回収車から流れる「壊れていてもかまいません」という音声が気に入っており、寂しさも懐の深さも感じるそのフレーズが自分にとって重要なテーマだと感じたそう。

また、同じタイミングで友人から聞いた話にも影響を受けたともコメントしていて、それらの要素をもとに聴く人の心を温かく包み込むような楽曲が誕生しました。

MVは映像作家の渡邊哲が監督を務め、石橋静河・寛一郎が共演し恋人同士の日々を描くシネマティックな作品となっています。

どのようなメッセージが落とし込まれているのか、歌詞の意味を徹底考察していきましょう。

----------------
どうしても僕らは上手くできなくて 気がつけばからっぽになってしまった
失くしても壊しても奪われたとしても 消えないものはどこにもなかった

眠れない夜でも鳴り止まないスヌーズ 踊り場で黙ったままいる二人
何でもないと呟いて噛み締める痛みと 宙に浮かんでは消える鼻歌
30人いれば一人はいるマイノリティ いつもあなたがその一人
僕で二人
≪がらくた 歌詞より抜粋≫
----------------

1番冒頭の「どうしても僕らはうまくできなくて」という表現からは、人の不器用さが垣間見えます。

主人公は上手くやりたいという気持ちでいるのに空回りし続け、「気がつけばからっぽになってしまった」と感じています。

これには自分の心や大切な人との関係が含まれるのでしょう。

それらはどれほど大切に守っているつもりでも、失敗を続ければ消えてしまう脆いものばかりです。

続く歌詞では「眠れない夜でも鳴り止まないスヌーズ」ともあり、上手くいかなくても現実は優しくないことを示しています。

仲違いし話し合いが進まないため、「踊り場で黙ったままいる二人」。

思うところはあっても言葉にできず、「何でもないと呟いて噛み締める痛み」に耐えているようです。

「宙に浮かんでは消える鼻歌」には、楽しかった過去の記憶と寂しさを感じる今のギャップが表現されています。

次の「30人いれば一人はいるマイノリティ いつもあなたがその一人」という歌詞が、自分のことのように感じる方もいるのではないでしょうか。

この言葉で社会との違いに悩んでいる人が少なくない事実に触れていますが、「僕で二人」と付け加えることで決して独りきりではないことを伝えています。

周囲と異なる点も愛すべき個性だと認めてくれているようで、温かな気持ちになれますね。

そばで生きていてくれれば壊れていても構わない


----------------
例えばあなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても
構わないから 僕のそばで生きていてよ
どこかで失くしたものを探しにいこう どこにもなくっても
どこにもなかったねと 笑う二人はがらくた
≪がらくた 歌詞より抜粋≫
----------------

サビでは、楽曲のもととなっている“壊れていてもかまいません”という考えが反映されています。

「あなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても構わない」のフレーズに、その人そのものを受け止める懐の深さを感じます。

そして、どんな状態だとしても自分のそばで愛する人が生きていてくれることこそが重要だという大きな愛も読み取れるでしょう。

「どこかで失くしたもの」はきっとまだどこかに転がっているはず。

もし探した結果どこにも見つからなかったとしても、探したという過程が大切なのだから「どこにもなかったね」と笑えばいいだけのことです。

タイトルでもある「がらくた」は、使い道のない役に立たないもののことを指して使われます。

時間を無駄にして笑っている二人は、周囲から見れば価値がなくどうでもいいものに思えるかもしれません。

しかしがらくたも見る人が違えば、そこに価値が生まれる場合もあります

周囲がどう見るかではなく、自分にとって大切なものを愛する気持ちが何よりも重要なのではないでしょうか。

----------------
もういいかい もういいよ だけどもう少し 長い夜を歩いていきましょう
痛いの痛いの飛んでいけ飛んでいけ飛んでいけ 明かりを消して
許せなかった何もかも全てを ずっとあなたを否定してきた
その全てを
≪がらくた 歌詞より抜粋≫
----------------

「もういいかい もういいよ」はかくれんぼをイメージさせる言葉です。

喧嘩をして相手と距離を置いている時も、かくれんぼと似た状況といえるでしょう。

すれ違う期間が長くなるほど「もういいよ」と諦めたくなることもあります。

それでも「もう少し長い夜を歩いていきましょう」と、明るい朝に向けて解決策を探ろうとしているようにも思えます。

また誰もが生活のあらゆる場面で心が傷つき、痛みを覚える経験をするでしょう。

ここで「飛んでいけ」と繰り返していることからも、その痛みが度々生じていることが窺えますね。

主人公が許せなかったのは「ずっとあなたを否定してきたその全て」。

マイノリティとして周囲から受け入れられず傷つく恋人を見て共に傷つき憤りを感じている主人公に、優しい思いやりが感じられます

がらくたのまま一緒に生きていこう


----------------
例えばあなたが僕を忘れていても 決して思い出せなくても
初めてまた会おう そして恋をしようよ
あなたは僕を照らした月の明かりだ 笑わせるもんか
遠回りして帰ろう 迷い込んだっていいから
≪がらくた 歌詞より抜粋≫
----------------

この先の未来で愛する人が自分のことを忘れたり、思い出せなくなったりする時が来るかもしれません。

それはあまりにつらい出来事ですが、もしそうなったら「初めてまた会おう そして恋をしようよ」とゼロから始めたい気持ちを言い表しています。

自分の悲しみは脇に置いて、その人と生きていくことを重視している主人公の深い愛が心に響くでしょう。

これほどまでに愛せる理由は、「あなたは僕を照らした月の明かりだ」というフレーズに込められています。

その人と出会ったことで人生や未来に明るい希望を見い出せたから、決して離さないと強く心に決めているのでしょう。

「月の明かり」と表現している点が穏やかで優しい光をイメージさせ、主人公が恋人をどのような存在と見ているかが想像できます。

そして、これだけ大切な人だから周囲を笑わせてはおけないという気持ちも伝わってきます。

「迷い込んだっていいから」遠回りをして二人の時間を持とうとする様子にも温かな心が示されていますね。

----------------
唇を噛んで滲んだ血が流れていく
嫌いだ全部 嫌いだ

例えばあなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても
構わないから 僕のそばで生きていてよ
どこかで失くしたものを探しにいこうか どこにもなくっても
どこにもなかったねと また笑ってくれよ
上手くできないままで 歌う二人はがらくた
≪がらくた 歌詞より抜粋≫
----------------

血が流れるほどに唇を噛んでいるのは、つらい現実に必死に耐えているからでしょう。

これは主人公自身のことであり、恋人の姿でもあるのかもしれません。

「全部嫌いだ」と感じて、全てを投げ出して捨ててしまいたくなることもあるはずです。

しかし、この人のそばで生きたいと思えるかけがえのない人を見つけた時、その人は人生の支えになります。

この歌詞では相手が壊れてしまうことを想定していますが、主人公自身も同じで愛する人がいてくれるからこそ生きてこられたのでしょう。

とはいえ不器用なので、どんなに大切に思っていてもぶつかり合いすれ違ってしまいます

MVでは今にも別れそうな二人が描かれ、歌詞でも「また笑ってくれよ」と離れた場所から願っている様子が示されています。

やがて、その苦しい時間を乗り越えて「上手くできないままで歌う二人」。

仲直りしても上手くできるようになるわけではありませんが、それでいいのです。

あなたも僕もどこかが壊れたがらくただから、壊れていることなんて気にせず一緒に生きていこうよと語りかけるような優しさが感じられます。

自分の価値に気づかせてくれる愛の歌

米津玄師の『がらくた』の歌詞からは、どんな人も愛すべき存在であり、ありのままの自分で生きていてほしいというメッセージが伝わってきました。

美しい音楽と感情のこもった歌声により、一層歌詞に込められた想いが聴く人の心に沁み込み力を与えてくれる楽曲になっているように思えます。

生きるのがつらいと感じる時、また上手くいかない人生に嫌気が差しそうな時には、『がらくた』を聴いて自分という存在の素晴らしさを見つめ直してみてはいかがでしょうか。

ハチ名義でボカロシーンを席巻し、2012年本名の米津玄師としての活動を開始。 2018年、TBS金曜ドラマ「アンナチュラル」の主題歌として「Lemon」を書き下ろし“ミリオン”セールスを記録。 「第96回ドラマアカデミー賞」にて最優秀ドラマソング賞を受賞。日本レコード協会にて史上最速の300万DL···

この特集へのレビュー

この特集へのレビューを書いてみませんか?

この特集へのレビューを投稿

  • ※レビューは全角500文字以内で入力してください。
  • ※誹謗中傷はご遠慮ください。
  • ※ひとつの特集に1回のみ投稿できます。
  • ※投稿の編集・削除はできません。
UtaTenはreCAPTCHAで保護されています
プライバシー - 利用契約