TikTokでバズり中の話題曲を徹底解釈!
様々なジャンルの音楽をベースに、ポップでありながらノスタルジックな雰囲気を持つ音楽スタイルで注目されるMega Shinnosuke。なかでも2024年6月19日にリリースされた“愛と欲”をテーマに葛藤する若者を描いたデートソング『愛とU』が、TikTokで大きな反響を呼んでいます。
歌詞に合わせて目の前にグラスをかざしたり手でCを作ったりと、顔周りで両手を使って踊るチャレンジが流行るとともに、中毒性の高いメロディと共感性の高い恋の歌詞で人気に。
その結果、Billboard Japan TikTok Weekly Top 20にて同曲のSped Up Ver.が連続首位の記録を伸ばし、オリジナルVer.でもトップ10入りを果たしました。
また、Mega Shinnosukeが自身で監督を務めた今曲のMVにはTikTokを中心に大きな影響力を持つ韓国人モデル・インフルエンサーのらんを起用し、中華料理屋を舞台に個性あふれるキャラクターが登場するユニークな作品となっています。
この楽曲で綴られた主人公の中にある葛藤とはどのようなものなのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。
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(Can you love me...???)
バイトしてる中華店に誘われたから
はじまった 恋の予感
口下手なココロは日和らせたまま
グラス越しの君を拝む
≪愛とU 歌詞より抜粋≫
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冒頭の「Can you love me...???」の問いかけから、主人公は気になる女性がいて片思い中であることが分かります。
そのきっかけは「バイトしてる中華店に誘われ」デートをしたこと。
恋とは、そんな些細な出来事から突然始まるものです。
きっと彼女が自分を誘ったのは単なる気まぐれと理解しているため、彼女が目の前にいるのに「口下手なココロは日和らせたまま」進展させられずにいます。
彼女を真っ直ぐに見ることすらできず、グラスを見る振りをして彼女を盗み見ているようです。
彼の不器用さと2人の微妙な距離感が見えてきますね。
「愛とU」に隠された様々な想い
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愛とUが踊ってる 妄想幻想抱いてる
脳内天使と悪魔が喧騒 (lalala)
毎秒誘導計ってる 最終列車せまってる
こんな僕じゃダメかな yes no (lalala)
≪愛とU 歌詞より抜粋≫
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サビの歌詞には、タイトルでもある「愛とU」のフレーズが登場します。
このフレーズは表記を変えると、「IとYou(僕と君)」の物語であることや「Love to You(君への愛)」を伝える歌だということがイメージできるでしょう。
また、自分と彼女の気持ちが「愛と友」ですれ違っていると感じている主人公の感情も推察できます。
様々な想いが踊るように交錯し、主人公は「妄想幻想抱いてる」日々に翻弄されています。
「脳内天使と悪魔が喧騒」の歌詞は、天使が純粋な愛で彼女に向き合うべきだと主張する一方で、悪魔が欲望のままに行動すればいいのだと主張する様子を示しているのでしょう。
近いようで違う愛と欲の間で、彼女にどう振る舞うべきか迷っていることが読み取れますね。
最終電車が迫り、行動するなら今だと分かってはいても思い切って行動できないでいる主人公。
「こんな僕じゃダメかな」と見えない彼女の心に悩む切ない恋心が感じられます。
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愛情の融点はわからないまま
僕らは大人になる
好都合って不都合って濁らせたまま
僕を殺して暮らす?
博愛主義はおざなり 何円入ってる口座に
ぼくもさ一途なパパに no...
ping pong pan でさいいのか
カンパネルラ アイシテルわ
コンマ先にはbitch style γ feel 愛
考えれない 勘の冴えてない恋はdoubt
≪愛とU 歌詞より抜粋≫
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「融点」が固体が液体になり始める温度を指すことから、「愛情の融点」とは無垢な愛情が形を変えていくことを表しているのかもしれません。
それは自然と変化していくもののため、誰も理解できないまま大人になり自分自身の複雑な感情に戸惑うこともあります。
「好都合」か「不都合」かを判断基準にして、自分の本心を「殺して暮らす」人生はきっと苦しいものになるでしょう。
しかし、どうしていいか分からないからといって「博愛主義」だと語るのはおざなりで、自分とも相手ともきちんと向き合っていないように感じてしまいます。
いつかは「一途なパパ」になりたいという願いがあるものの、ここで立ち止まっていてはその未来は遠いままです。
「勘の冴えてない恋はdoubt」のフレーズは、頭で考える恋は偽物だと言っているように感じます。
愛のすぐ先には欲もついて回るものの、真っ直ぐに愛を届けたいという混じりけのない気持ちが読み取れます。
苦し紛れに愛せない
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欲望まみれの世界に
君と生きていくのはうんざりさ
なんだか今夜は恋しいけど
アイツらみたいになれない
理性任せになってしまうのも
逃げてるみたいでなんかイヤ
苦し紛れに愛してない?
愛してない? 愛せない......
苦し紛れに愛せない......
≪愛とU 歌詞より抜粋≫
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世界は欲望まみれで、衝動的な欲求のままに生きる人もいるでしょう。
主人公の身近にも「アイツら」と頭に浮かぶ人たちがいるようです。
周囲の流れに乗って似たような生き方を選ぶこともできますが、主人公はそうしません。
「欲望まみれの世界を君と生きていくのはうんざりさ」とあるため、この愛は刹那的なものではなくもっと深くて純粋なものだと伝えたいのでしょう。
その選択は時に恋しさとなって主人公を苦しめます。
とはいえ未だ欲に流されないように耐えているのは、それほどまでに彼女を心から愛しているからだといえます。
一方で、燻る欲に抗う自分に「理性任せ」になっているのではないかとも考えているようです。
今はただ理性があるから耐えられているだけなのだとしたら、自分の全てで彼女と向き合うことから「逃げてるみたいでなんかイヤ」と感じます。
それでも、自分の愛は欲求を正当化するための苦し紛れの愛なのではないかという自問に対する「苦し紛れに愛せない......」の返答に、彼の本当の想いが込められているのではないでしょうか。
自分の愛と向き合える片思いソング!
Mega Shinnosukeの『愛とU』は、愛する人を前に自分の感情に揺れる若者のもどかしい気持ちが伝わる楽曲でした。きっとこのような経験を通して、人は本当の愛について学んでいくのでしょう。
同世代の若者もすでに愛を知った大人の世代も、自分の愛と向き合いながらじっくり歌詞を味わってみてください。
Mega Shinnosuke (メガシンノスケ) 2000年生まれの20歳。本名。 東京生まれ福岡育ち。 2019年4月より東京在住。 作詞、作曲、編曲を全て自身で行う。 2017 年秋よりオリジナル楽曲の制作をスタート。 00年代生まれならではのフットワークの軽さと、時勢をキャッチするポップへの嗅覚···