「悪い人」と関わっていたときの私は?
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こんなことになるのなら
あの時各駅停車でもいいから
うちまで無理して帰ればよかった
≪悪い人 歌詞より抜粋≫
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「こんなこと」や「あのとき」と具体的な内容を歌ってはいませんが、過去の自分の行動を悔やんでいるような歌詞ですね。
具体的に書かれていないからこそ、何があったのか気になってしまってしまいます。
各駅停車はきっと終電を意味していると思うのですが、無理して帰るのなら電車以外にもタクシーなど方法はある気がします。
無理して帰らなかったのはまだその場に留まりたくて、自分を納得させるための言い訳だったのかもしれません。
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最近はうまくいかないな
挙句の果てには
ヒールまで折れちゃったりしてさ
あなただけじゃなくて
ついにあの神様にも
愛想を尽かされてしまった
≪悪い人 歌詞より抜粋≫
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後悔すると気持ちが落ち込んで、何においても悲しくなってしまいますよね。
あなたに愛想を尽かされてしまったことはもちろん、唯一自分の味方でいてくれた神様にも見放されてしまってひとりぼっちの寂しさ。
ここでも「あの神様」と具体的には歌詞になっていません。
本人も神様像は曖昧だったのかもしれませんが、きっと自分にとって唯一の心の拠り所的存在だったのだと思います。
そんな神様にも愛想を尽かされたと思ってしまうというのは、何もかも終わってしまったような喪失感があるのではないでしょうか。
誰にも頼ることができず一人ただ立ちすくんでいる姿が想像できる気がします。
「悪い人」を思い出してしまうのは季節のせい?
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だんだんと肌寒くなると
あなたのことを未だに
思い返してしまうわ
≪悪い人 歌詞より抜粋≫
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未だにという歌詞から「あなた」は過去の人になっていますが、肌寒いという気温で記憶がよみがえってくるようなまだ忘れられない存在であるようです。
恋愛に限らず季節など、ふとした瞬間に思い出がよみがえる経験をした人は少なくないと思います。
その思い出は良い思い出も、悲しい思い出もどちらも存在しますよね。
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良い人と胸張っては
言うことはできなかったが
決して悪い人ではなかった
≪悪い人 歌詞より抜粋≫
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ここでは良い思い出と断言もできないけど、悪い思い出にもしたくない葛藤が伺えるような歌詞です。
また今まで独り言のような歌詞が続いていました。
このフレーズも誰かに伝えているのではなく、自分に言い聞かせているようにも考えられますね。
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嘘をつくと頭をかく癖
全部お見通しだったわ
騙されてあげてたの
あなたは気づいてないでしょ
≪悪い人 歌詞より抜粋≫
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「騙されてあげていたの」というフレーズでも自分の過去の行動を正当化しているような印象です。
騙されていていることに気付くより前からその癖は見ていたはずですし、気付いてからも何度も見てきているのではないでしょうか。
それでも離れられなかったのは、嘘をつかれていてもそれをかき消すくらい好きな気持ちが、あなたにあったのかもしれないですね。
「悪い人」は本当に「悪い人」?
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こんなことになってまでも
あなたが離れないから今はもう悪い人だわ
≪悪い人 歌詞より抜粋≫
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昔は好きで好きでたまらなかった人だからこそ、忘れたいのに忘れられない気持ちが表現されているのではないでしょうか。
今は「悪い人」と近くにいないのにあなたに伝えているような切ない空気感が伝わってくるようです。
また、ここでも自分自身に言い聞かせているのかもしれません。
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こんなことになってまでも
あなたが嫌いになれないのだから
悪い人ではないのかもな
≪悪い人 歌詞より抜粋≫
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ここでは「悪い人ではないのかも」という心情の変化が伺えます。
悪い人ではないと思っているのが本心なんでしょうか。
それでもこんな状況を作り出した原因はあなただと責めたくなってしまう状況のようです。
あの神様にも愛想を尽かされてしまった今、別の拠り所がないからこそヤケになってしまっているのかもしれません。
誰かのせいにして、自分自身を慰めているのかもしれないですね。
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あの時最終電車は逃して
よかったのかもな
≪悪い人 歌詞より抜粋≫
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冒頭では後悔していた状況も、最後ではよかったのかもと正当化しています。
ここでは私だけではなく、あなたのことも許しているのではないでしょうか。
自分だけで怒って泣いて責めて、そんな心の変化がありましたがあなたは忘れられないし、嫌いになれない人。
あなたも自分も許すことで気持ちが軽くなっていると考えられます。
また同じことを何度も考えて気持ちが二転三転している自分がいます。
自分の行動に後悔していても、自分よりあなたのせいにしている歌詞が多い印象です。
離れてしまっても思い続けている自分自身が『悪い人』なのかもしれないですね。
「悪い人」は過去の恋愛の登場人物すべてなのかもしれない。
曲名の『悪い人』は歌詞の中ではあなたのことを歌っていますが、そんなあなたを嫌いになれない自分も『悪い人』なのではないかと考察しました。もう隣にいないあなたを責めたところで現実は変わりませんが、過去の恋愛を少し引きずってしまう気持ちを、戦慄かなのの甘い歌声が中和させている曲だと思いました。
同じように思い出してしまう恋愛経験がある人にはぜひ聞いてもらいたい1曲です。