大ヒット曲「はいよろこんで」に続く約5ヶ月ぶりの新曲を徹底解釈!
楽曲制作から映像制作に至るまで自身でこなすマルチクリエイターとして活躍するシンガー・こっちのけんと。2024年5月リリースのダンスチューン『はいよろこんで』が大ヒットを記録し、MVは公開から5ヶ月で100億回再生を突破し、TikTokではサビに合わせて踊る“ギリギリダンス”が話題となりました。
そして10月19日、『はいよろこんで』に続く新曲としてリリースされたのが『もういいよ』です。
タイトルには目まぐるしい人生に翻弄されて自分自身に対して出る“もういいよ”、周囲から投げかけられる意見に飽き飽きして出る“もういいよ”、そして周囲に見せている殻を脱いでもいいと肯定する“もういいよ”の3つの意味が込められているそうです。
MVはかわいらしいタッチのアニメーション作品で、女の子とタヌキの姿が印象的に描かれています。
楽曲と同じくポップな雰囲気でありつつも深いメッセージを感じさせる内容となっています。
また今作は日テレ公式ショートドラマ『毎日はにかむ僕たちは。』とコラボレーションし、楽曲をテーマにしたショートドラマも公開されています。
自分自身の生き方や振る舞い方について考えさせられる歌詞の意味を考察していきましょう。
----------------
(OPEN DOOR)
『ひらけごま』から離れて!
(OPEN DOOR)
閉じるまもなく
KOKORONO DOOR
(わたし照らして)
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
冒頭に出てくる「ひらけごま」は『アリババと40人の盗賊』に登場する有名なフレーズで、この言葉を唱えると岩の扉が開いて中から盗賊が隠した宝物が出てくる呪文の言葉です。
作品の内容通りなら宝物が手に入る魅力的な呪文ですが、ここでは「『ひらけごま』から離れて!」と訴えているため、その影響力の強さを危惧していることが伝わってきます。
おそらくそれがあれば何でも手に入るという意味で、スマートフォンのことを指しているのでしょう。
「閉じるまもなくKOKORONO DOOR」は、心のドアを閉じて自己防衛しようとしてもスマートフォンの影響力が強すぎて間に合わない様子(閉じる間もなく)と、その結果心をすり減らして心のドアが閉まってしまう様子(閉じる まもなく)の両面を表していると解釈できます。
しかし本当は繕った自分自身の殻を思い切って破り、ありのままの自分でスポットライトを浴びたいという本音も垣間見えます。
----------------
愛想振り撒いて
閉じる心にねえ
TapTapTap
Give me your ClapClapClap
声をあげて堪えてんだrat-a-tat-tat…
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
皆に好かれる自分でいたくて「愛想振り撒いて」いるうちに心が閉じていき、本当の自分の感情を表に出せなくなってしまったと感じる方は少なくないでしょう。
きっと誰もがそうやって「声をあげて堪えてんだ」と、現代人の悩みを代弁しています。
自由に生きるためのキーワード「もういいよ」
----------------
学校仕事You know?
無能になんのダーウィンどういうこと?
進化してもせんの?
前には進めんの?
僕ら知らずの皆様の見方が
少し怖いだけです
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
人は学校や仕事で学び成長するものなのに、うまく立ち回れずに無能になっていくように感じることもあるでしょう。
進化しているはずが進歩はしていないように思い、自分の不甲斐なさに苦しむこともあります。
「僕ら知らずの皆様の見方が少し怖いだけです」のフレーズは、自分のことを知らない誰かが表面上の弱い自分だけを見て出す評価が怖いという意味があると解釈できますね。
----------------
分かってんの
自分の「どうしたい」も
でも笑ってんの
これがいいんですよ
踊りたいね自由な空の下で
きみは大抵あの名の下で
腫れぼったいな
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
本当は自分がどうしたいかを自覚していますが、思う通りに行動してしまうと周囲から受け入れてもらえないことも分かっています。
だから愛想笑いで誤魔化して、受け入れられやすい自分を繕ってしまっているようです。
「踊りたいね自由な空の下で」と、心の中では自由を求めています。
「きみは大抵あの名の下で」という表現は、自分に貼られたレッテルに忠実に生きている人がいることを指しているのでしょう。
そうしながらもきっと誰もが自分自身を解放してありのまま突き進みたいと願っているはずです。
「腫れぼったいな」というフレーズからも、理想と現実の狭間で苦しみ泣き腫らしている様子が伝わってきます。
----------------
「もういいよ」
きみの尺・匙・価値観
「もういいよ」
だから言ってしまいなよ
「もういいよ」
わがままに
わがままに
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
ここではタイトルでもある「もういいよ」のフレーズが繰り返されています。
人はそれぞれ様々な尺度・匙加減・価値観を持っているものです。
しかしそれを他人に押し付けて評価するのも、そのせいで本当の自分を閉じ込めてしまうのも間違いでしょう。
「わがままに」と聞くと傍若無人な振る舞いを想像してしまいがちですが、おそらくこの言葉には自分の思いのままに行動してもいいという考えが込められていると思われます。
また「もういいよ」の言葉は、かくれんぼも連想させます。
かくれんぼで“もういいかい”という問いかけに対し“もういいよ”と答えるのと同じく、そろそろ本当の自分を見つけてくれてもいいんじゃないかと人々に語りかけているかのようです。
この世を敵にしてもわたしらしく
----------------
あーTEL MAIL止めて
あの手この手で
誰かを気に留めて
(わたし照らして)
あーTEL MAIL止めて
あの手この手で
誰がため、人のため
(わたし照らして)
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
ここでは「TEL MAIL止めて」と訴えかけています。
スマートフォンにばかり気を取られず、顔を上げて自分を見てほしいという思いが垣間見えますね。
また反対に、他人と繋がることに固執して偽りの自分で居続けるのはやめて自分自身を認めてくれる人がいることに気づいてと、周囲を気に留めてみるよう促しているようにも感じます。
そして、ありのままの自分を表現するためには「あの手この手で」躊躇わず行動することも必要だとも教えてくれている気がします。
----------------
楽しいこと、本能、苦悩になるのね
「Good morning」と怖くなるんでしょ?
目が覚めちゃうの
僕ら知らずの皆様の見方が
少し怖いだけです
(どうしたいの)
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
「楽しいこと」や「本能」を重視して行動した結果、他人に受け入れられなかったり思い通りにいかなかったりして「苦悩」を感じる場合があるでしょう。
朝目覚めると、また周囲の目を気にして行動しなくてはならない現状に怖くなり、うんざりしてしまいます。
自分でもどうしたいのか分からない状況で、圧倒されている様子が見て取れます。
----------------
あーTEL MAIL止めて
あの手この手で
「わたしらしく」魅せて
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
そんなとき、きっと一度周囲のことを忘れて「わたしらしく」行動することが大切です。
偽りの自分で評価されても、いずれ息苦しくなってしまいます。
必ずある自分の魅力的な部分をさらけ出せば、大きく前進できるでしょう。
----------------
(あーやいやいやいやい
言いつけちゃえ
この世を敵にして)
≪もういいよ 歌詞より抜粋≫
----------------
自分の感情を表に出して行動するとき、結果的に「この世を敵にして」しまう可能性もあります。
それでも偽りの自分でしか輝けない世の中なら、その世の中すら無駄なものです。
だからもっと大胆にありのままの自分で立ち上がれと背中を押してくれているように感じます。
生きづらさを感じる時は“もういいよ”と言ってみよう!
こっちのけんとの『もういいよ』は、様々な形で周囲から評価される現代の生きづらさと殻を破って本当の自分を表現することの大切さを訴えかけてきます。他人に認められたいという気持ちは誰しも持っているものですが、自分を偽ってまで得た評価は本当の評価とは言えません。
周囲との関係や自分自身の在り方に悩んで気持ちが沈みそうなとき、ポジティブに力をくれる楽曲です。