TikTokで弾き語りを投稿していたAogumo
TikTokで弾き語りを投稿して人気を博し、2024年11月4日に自身初の楽曲をリリースしたAogumo。2024年11月現在TikTokのフォロワー数は11万人を超えており、これからの活躍が注目されるアーティストと言えるでしょう。
15歳という若さでありながら、作詞・作曲も自身でこなしています。
繊細で儚い高音と優しさの中に芯のある歌声が、多くの人を魅了している理由ではないでしょうか。
今回、歌詞の意味を考察する『曲名はまだないです』は、タイトルからどんな音楽がこれから展開されるのか想像を掻き立てますね。
そして「才能なんてないよ」から始まる歌詞は、何か夢を諦めた人を描写しているように感じられます。
ここから『曲名はまだないです』の歌詞の意味を詳しく見ていきましょう。
自分の頑張りに酔いながらも才能のなさに落ち込んでいる

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才能なんてないよ
そんなのとっくに気づいていた。
気づかないふりして、頑張っている自分に
たぶん、酔っていた。
自分より下の奴が讃えられて無性に腹が立った。
でも、いつか報われるって、信じてる
自分が好きだった。
≪曲名はまだないです 歌詞より抜粋≫
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主人公は自分に才能がないと感じながらも、その現実から目を背けて頑張る自分を肯定することで、自分を保っていたのでしょう。
自分より下だと思っている人が讃えられているところを見ると腹が立ち、そんな状況でもまだ努力を続ける自分を支えるのは「自分が好き」という感情なのかもしれません。
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どうせ、この曲も売れません。
褒められることもなく、叩かれることもなく、明日には忘れられます。
でも、もし、この曲が売れて、僕は、
一食分だけでいいから音楽でご飯を食べたい。
そのご飯は、たぶん、
宇宙一おいしいだろうね。
≪曲名はまだないです 歌詞より抜粋≫
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自分は音楽を続けているけれど、「結局これも誰にも見つけてもらえない」と悲観することで自分を守っているように思えます。
ただ、主人公はもし自分の曲が売れることがあるならば、それでご飯を食べることが幸せだと信じて疑っていないようにも見えます。
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誰にも聴かれぬ音楽なんてただの音でしかないのよ。
他人の評価ばっか気にしてんだ。レッテル貼り付けて生きてる。
どれだけ頑張ったって結果がないなら誰も見向きはしないだろ?
曲名なんかあったって知られなきゃただの文字で終わる。
この曲に曲名はない。僕に才能はない。
≪曲名はまだないです 歌詞より抜粋≫
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音楽は誰かに届いて初めて「音楽」になり、聴いてもらえなければただの「音」でしかないと主人公は言っています。
そう捉えてしまうのは自身が他人の評価を気にしているからで、結局は「結果」でしかないのだと心から訴えかけているようです。
曲名があったところで誰にも伝わらなければただの「文字」になってしまうと考えるのは、やはり評価を受けることで成り立つ世界だと主人公が感じているからではないでしょうか。
人間の欲と自分の本音を叫ぶ

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普通なんだよな。
多分この生活が続くだろう
特別な何かになりたいけど、
特別な何かがなかった。
少し褒められた時の喜びがまだ消えないで痕に残った。
もう一回もう一度、をずっと求めてる。
≪曲名はまだないです 歌詞より抜粋≫
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自分はどこまで行っても普通で、特別になりたかったけれど、自分の中には特別なものがなかった。
主人公は、自分に才能がないと否定的になってしまっています。
ただ、過去に褒められた時に味わった喜びは簡単には消えず、それをまた求めるうちに、いつの間にか音楽を辞められないままでいたのでしょう。
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あー私、本当欲張りだな。
一食分が満たされたら、二食三食ってどんどん欲しくなっちゃって。
でも、まだ、全然足りなくて、
このままずっとずっと腹を満たしていたいの。
なんて、思っちゃうのは、私が、
人間だからかな。
≪曲名はまだないです 歌詞より抜粋≫
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最初は一食分の価値を生み出せたらいいと思っていたものの、それが上手くいけば次々と欲が現れるところに人間らしさが出ているように思います。
自分が人間であるがために、欲をずっと満たしていたいと感じてしまうことに、主人公は気づいているようです。
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誰かに聴かれた音楽だって忘れちゃ音でしかないんだよ。
どうせ、聴き飽きたら捨てるんだ。
所詮その程度の音楽だ。
誰かにってなんだよ。誰に歌ってんだよ。
何を伝えたいんだ!
わかんない。
全部やめよう。
もう好きなことさえ嫌いになりそうだ。
≪曲名はまだないです 歌詞より抜粋≫
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主人公は自分の曲を聴かれた先のことまで考えるようになります。
そして聴かれたところで、忘れられたらそれもただの「音」でしかなくなってしまうのだと感じているようです。
「所詮その程度」なのだから、歌い続けても誰に何を伝えたいのか分からなくなって、自分自身を見失っているように感じられます。
好きで続けてきた音楽さえ嫌いになりそうだと嘆く様子から、主人公が本当に音楽に苦しめられているようで、聴く側にも響いてきますよね。
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単純な歌詞にリズムに音程。
薄っぺらい声で創った音は、ありきたりだ。
こんな音楽。忘れられて、当然だ。
消耗品でした。
私も音楽も全部ぜんぶ。
忘れられるさ。
忘れないで。
≪曲名はまだないです 歌詞より抜粋≫
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自分の音楽はありきたりで、忘れられて当然の消耗品だと考えながらも、「忘れないで」という言葉に全ての本音が隠れているように思いました。
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誰にも聴かれぬ音楽なんてただの音でしかないのよ。
他人の評価ばっか気にしてんだ。レッテル貼り付けて生きてる。
どれだけ頑張ったって結果がないなら誰も見向きはしないだろ?
それでもこの曲に曲名を、誰か聴いてくれ、私の音楽を。
この曲に曲名はない。僕に才能はない。
≪曲名はまだないです 歌詞より抜粋≫
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最後になって「誰か聴いてくれ、私の音楽を」という言葉があるのは、主人公の本当の心の叫びを伝えたいからなのではないでしょうか。
何かを創り続ける人の傷に寄り添ってくれる曲
今回はAogumoの『曲名はまだないです』について歌詞の意味を考察しました。自分に悲観的になっているようで、音楽を諦めたくない主人公の熱い想いが表れている曲でしたね。
今回の考察を参考にしながら、ぜひあなたなりの解釈を広げてみてください。