ドラマ「放課後カルテ」の主題歌
wacciはボーカル兼ギターの橋口洋平を中心に、2009年に結成された5人組バンド。ドラマやアニメの主題歌や挿入歌に曲が起用され、2022年にリリースした「恋だろ」はストリーミング累計1億回再生を超えています。
素直な歌詞を柔らかく歌い上げるところが、人気の秘訣と言えるのではないでしょうか。
今回考察する『どんな小さな』は、ドラマ「放課後カルテ」の主題歌になっている曲です。
ドラマの制作スタッフの想いを聞いて書き下ろされた楽曲とのこと。
人間の弱さを描写しながらも、頑張る人に寄り添ってくれるあたたかい応援ソングとなっています。
ここから『どんな小さな』の歌詞の意味を見ていきましょう。
陰で頑張る人を見守る歌詞
----------------
誰かにとっては君が立ち止まって見えても
君の中ではきっと高い壁を登ってる
わかっていてもやっぱり 比べてしまう日々
悔しさがこぼれ落ちないように 見上げた窓の向こう
≪どんな小さな 歌詞より抜粋≫
----------------
周りの人から見て立ち止まって見えている時というのは、自分が成長したり変化したりしていないように見える時期ではないでしょうか。
ただ、周りからそう見える時こそ、高い壁に立ち向かっている時だと教えてくれているようです。
悔しさで涙がこぼれないように見上げた窓の向こうで、私たちは何を見るのかと想像させられますね。
----------------
認めたくない自分と 僕ら戦いながら
強くなりたいと願って 懸命に生きている
≪どんな小さな 歌詞より抜粋≫
----------------
強くなりたいからこそ戦っているのだと、思い出す一節と言えます。
----------------
君のどんな小さな一歩にも 君のどんな小さな勇気にも
昨日と少し違う自分を誇れるように
君が選び歩いた道にしか 咲くことのない花があるんだ
ずっと ずっと 見守ってるから 笑っていて欲しい
≪どんな小さな 歌詞より抜粋≫
----------------
どんなに小さなことでも、昨日からほんの少し進んでいることを誇っていいのかもしれません。
道を「人生」、花を「夢」だとすると、「君が選び進んだ人生にしか叶えられない夢がある」とエールをもらった気持ちになれます。
人間の弱い部分に寄り添ってくれる歌詞
----------------
仲良しが辛かったり 優しさが痛かったり
正しさに苛立ってしまったり 僕にもよくあるよ
誰も悪くはないのに 心がひとりでに
人を嫌いになってくのがこわくて 閉じ込めた
≪どんな小さな 歌詞より抜粋≫
----------------
本来であれば「仲良し」や「優しさ」は、あたたかく感じるものですよね。
しかし、人生が上手くいっていない時などにそれが「辛さ」や「痛み」に変わる時があると歌われています。
正しいと分かっていることにさえも苛立ってしまう状況に対して、「僕にもよくあるよ」と言ってもらうことで、それが良いことでなくとも隣に座って話を聞いてくれているような安心感が芽生えます。
それと同時に、誰も悪くない中で上手くいかない人生を悔やんでいると、だんだん心が閉じこもっていくということも書かれています。
----------------
知られたくない自分を 僕ら潜ませながら
愛されたいと願って 懸命に生きている
≪どんな小さな 歌詞より抜粋≫
----------------
「知られたくない自分」を身体のどこかに抱えながらも、他人から「愛されたい」という気持ちも同時に持って生きているというリアルが描かれていますね。
----------------
君のどんな小さな涙にも 君のどんな小さな痛みにも
居場所があり一人じゃないこと 伝わるように
君が好きになれない君にしか 見つけられない愛もあるんだ
ずっと ずっと 味方でいるから そのまんまの君でいて
≪どんな小さな 歌詞より抜粋≫
----------------
「小さな涙」や「小さな痛み」にも居場所があるというのは、それらも放っておいてはならない大切な要素なのだと思えます。
自分で好きになることのできない自分がいたとしても、その状態でしか見つけられない愛がある。
それは、「自分を丸ごと愛して欲しい」という想いの表れではないでしょうか。
----------------
君のどんな小さなプライドも 君のどんな小さな強がりも
そうすることで守りたいもの 気づけるように
君の抱え続けた苦しみも 君の拭いきれない悲しみも
無駄なものなんてなかったんだと 笑えるように
≪どんな小さな 歌詞より抜粋≫
----------------
「プライド」や「強がり」を良くないものと捉えるのではなく、それで守れるものがあると考えるのは、自分の芯に気づけるメッセージだと思います。
人生の中の「苦しみ」や「悲しみ」も無駄ではなく、「後になって笑えるような日々が来る」と信じ続けることが大切なのだと伝わってきます。
隣で見守ってくれる人がいるような安心感のある曲
今回は、wacci『どんな小さな』の歌詞の意味を考察しました。応援歌でありながらも、その優しさにホッとするような歌詞でしたね。
今回の考察を参考にしてぜひもう一度聴き、あなたなりの解釈を楽しんでみてください。