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柊マグネタイト feat.重音テト「テトリス」歌詞の意味を考察!“積みゲー”の金字塔になぞらえた現実の生きにくさ

『テトリス(TETORIS)』は歌唱に重音テトを採用し、ポップなメロディと現実的な歌詞で話題を集めている柊マグネタイトの新曲です。現代人の苦悩が込められた歌詞の意味を考察します。

ポップな曲に隠された意味深な歌詞に注目!

▲柊マグネタイト feat.重音テト-テトリス(TETORIS)【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

2024年11月8日にボカロPの柊マグネタイトにより公開され、自身の4曲目となるミリオンを達成した話題のボカロ曲『テトリス(TETORIS)』。

楽曲の基となっているのは落ち物ゲームの金字塔「TETRIS」で、楽曲内ではTETRISのBGMに用いられているロシア民謡の『コロブチカ』をサンプリングしたメロディが採用されています。

また中毒性のあるリズムと重音テトの歌唱、瀬奈悠太によるイラストを使用したMVでテトがかわいらしくスピンする姿が印象的です。

しかし楽曲の楽しい雰囲気とは対照的に、歌詞には共感できる現実的な内容が込められている点にも注目が集まりました。

どのような内容を歌っているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。

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どうしてすぐ知ってしまうの
共振で苦しんでし罵倒
Q.更新で降る隕石抹消可?
悪くない
≪テトリス 歌詞より抜粋≫
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1番冒頭では巧みに韻を踏みながら、暗い現実を表現する問答が行われています。

「どうしてすぐ知ってしまうの」というフレーズは、何でもすぐに検索されたりあることないことを広められたりしてしまうネット社会を嘆いていると解釈できるでしょう。

「共振」は、振動している物体に外部刺激が加わることで振幅が大きくなっていく現象です。

この楽曲がネット社会を歌っていると考えると、誰かの悪いコメントに刺激されて人々が対象者を過剰に批判していく様子を表していると思われます。

また最初の問いはTETRISのゲームにかけたもので、棒ブロックが下りてきて一気にブロックが消える展開を指しています。

これをネット社会と結びつけると、アップデートや新しい情報の更新で古い情報が消えていくことを意味しているのでしょう。

そうして知られたくなかった情報がなかったことにできるなら「悪くない」と考えているようです。

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興味ねえ救い派手感動
常備ねえ薬食べBAD
Q.超酷えフル見た目暗号化?
金による
常識ねえ狂いっぱで乱闘
放置ゲーする陰キャでバンド
Q.送信で苦しいダメCancelは?
草生える

どうしてすぐ見てしまうの
どうしてすぐ言ってしまうの
どうしてすぐ壊れちゃうかな
≪テトリス 歌詞より抜粋≫
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続く部分では、「救い派手感動」なんて流行りの華々しいものは「興味ねえ」と語ります。

だからそれらのものから影響を受けたときに服用する常備薬の用意はなく、悪い結果を招いてしまいます。

「Q.超酷えフル見た目暗号化?」は、動画の内容とは違うサムネイルで視聴者を獲得しようとする釣りサムネのことかもしれません。

それで利益を得られるなら、そういうことも平然としてしまうモラルの低下を表現しているのではないでしょうか。

次に「常識ねえ狂いっぱで乱闘」とあるように、ネット上のコメント欄は荒れ放題です。

しかし送信しようとしてキャンセルするのは「草生える」とも言っていて、荒れるコメント欄を助長するような考えを示してもいます。

誰もが何でも知ろうとしたり考えずに言ってしまったりする現状を生きにくく感じていながらも、自らも影響を受けて壊れてしまっていることを感じさせます。

迷惑をかけてばかりの私は終わってる


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近未来しか勝たん
ショッピンモールの現代コンピュー
小窓 タヒか加担
モンティホールの経費でピンボール
オイルマッサージ100分コース足湯付き
柚子を添えて

テテテテトテト テテテテトリス
どうしてこんな目に に に
≪テトリス 歌詞より抜粋≫
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流行りはすぐに巡って廃れていくため、「近未来しか勝たん」と考えているようです。

「現代コンピュー」は、2010年代初頭にWeb上の音楽コミュニティから生まれたVaporwaveという音楽ジャンルの楽曲からきていると思われます。

80~90年代の大量生産・大量消費社会への懐古と風刺を含んだもので、今やそのジャンルすら消費されてしまった現実を示しているのでしょう。

また「小窓(ショーウィンドウ)」のような一部の情報だけを信じると、自らネット上の死を招くか誰かの悪意に加担してしまうこともあります。

「モンティホール」はアメリカのゲームショー番組から起きたゲームの確率における論争を指すモンティ・ホール問題を表現していて、直観と現実の相違を意味しているようです。

「小窓」と同様に、パッと見たものだけで物事を決定する危険を指しているように思えます。

後半の歌詞ではマッサージや良い香りで心身ともにリラックスして、現実のつらさを忘れたい気持ちが見て取れます。

なぜ自分がこんなに苦しい目に遭わなければいけないのかと嘆いている点に、共感を覚える方もいるでしょう。

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興味がないこと本気じゃないもの全部後回しで
知ってることは知らんぷり 私は終わってる
恥ずかしい過去知ってるやつらの記憶消させて
迷惑かけてごめんってば ねえ誰か助けて
≪テトリス 歌詞より抜粋≫
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サビでは、自分自身の中にある闇を吐露しています。

自分がしたいようにして他人に迷惑ばかりかけている自分を「私は終わっている」と感じているのが分かります。

「ねえ誰か助けて」とあることから、そんな自分を変えたいと思っていることも分かるでしょう。

また、この部分はTETRISのゲーム性とも関連しています。

「興味がないこと本気じゃないもの全部後回し」は、すぐに使えないブロックを後回しにするホールド機能のこと。

「恥ずかしい過去知ってるやつらの記憶消させて」は、積み重ね方に失敗するとブロックが消せないまま歪な形で残ってしまうことを表しているようです。

現実ではどう足掻いても恥ずかしい過去を一掃できないため、自分の愚かさへの嘆きが読み取れます。

追い込まれ絶望的な気持ちになっていく主人公


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妄信で すぐ惹かれちゃうの
狂信で すぐ引かれちゃうの
知りたくない 知りたくない 知りたくない
(タタラタラタラ)

もう見ねえ すぐ引かれSAD
常勤で狂いたてMAD
行きたくない 行きたくない 生きたくない
ばーいばい
≪テトリス 歌詞より抜粋≫
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好きになったら深く考えもせず「妄信で すぐ惹かれちゃう」人たち。

想いが強くなるあまり理性を失って「狂信」的になると、周囲から「すぐ引かれちゃう」ことすらあります。

そして引かれて感じる「SAD(悲しみ)」や、働き過ぎで湧いてくる「MAD(怒り)」の感情により心の中が混沌としているのでしょう。

できることなら見たいものだけ見て現実を「知りたくない」し、もう仕事に「行きたくない」と感じ、いっそつらい人生を「生きたくない」と自暴自棄になっているようです。

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臨時休業 洗濯ボール
ナイチンゲールの配信ゲーム
名刺交換の名シーン
借金ボウルでチンチロハイボール
温泉旅行3泊4日食事付き
早く行きてえ

テテテテトテト
テテテテトリス
共感性羞恥 恥 恥
≪テトリス 歌詞より抜粋≫
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この部分は、主人公の精神状態が追い詰められていることを表しているのではないでしょうか。

仕事は「臨時休業」として逃げて、家事は手抜きで済ませます。

続く部分では韻を踏みながら、あるべき現実と矛盾した状況を示しているのかもしれません。

何にせよ現実逃避したくて、予定を立てている温泉旅行を待ち遠しく思っている様子が見受けられます。

そんな恥ずかしい状況にいる自分の様子を見て、リスナーも「共感性羞恥」を感じるだろうという自虐的な気持ちが伝わってきます。

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鬱とか躁とか忙しくて眠れないわ今日も
誰か早く殴って気絶させてくれよ

人生キャンセルキャンセル界隈
ぼんやりとした不安
私のせい 私が悪いよそうだよ
≪テトリス 歌詞より抜粋≫
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躁鬱状態で感情が「忙しくて眠れないわ今日も」とあり、毎日苦しんでいることは明らかです。

「誰か早く殴って気絶させてくれよ」とぼやき、自分ではどうにもできない状況を他人の力で何とかしてもらおうとしています。

やがて追い詰められてしまい、人生を諦めようとさえしているようです。

明確な答えの出ない「ぼんやりとした不安」が心の中を占め、「私のせい 私が悪いよそうだよ」とどんどん気持ちが落ち込んでいるのが感じられます。

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興味が出ても本気でやっても全部空回りで
知らないくせに嘘つき 私は終わってる
恥ずかしい過去知ってるやつらの記憶消させて
迷惑かけてごめんってば
ねえ誰か助けて
迷惑かけてごめんってば
ねえ誰か許して
≪テトリス 歌詞より抜粋≫
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最後の歌詞からは、何もかもうまくいかない主人公の心の叫びが伝わってきます。

「興味が出ても本気でやっても全部空回りで 知らないくせに嘘つき」な自分の情けなさに頭を抱え、助けと許しを請う様子に主人公の絶望的な状況が見えてきますね

人生の苦悩と絶望を詰め込んだ“詰みゲー”ソング

柊マグネタイトの『テトリス』は“積みゲー”のTETRISと“詰みゲー”の人生を掛け合わせ、問題をきれいに一掃したい現代人の悩みが反映されています。

ポップなメロディと歌唱だからこそ歌詞に込められている暗い感情が引き立てられていて、精神状態の不安定さが感じられるのではないでしょうか。

ネタ曲のようでありながら、細部まで考え抜かれた『テトリス』の中毒性を味わってください。

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