プロセカファンに衝撃を与えた瑞希ストーリーの行き着く先とは
人気リズムゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」のゲーム内ユニット・25時、ナイトコードで。のためにkeenoが書き下ろした楽曲『余花にみとれて』。ゲーム内イベント「傷だらけの手で、私達は」に合わせて登場しました。
前回のイベント「荊棘の道は何処へ」ですれ違ってしまった暁山瑞希と東雲絵名のその後にスポットを当てたストーリーとなっています。
『余花にみとれて』は優しく儚いメロディに乗せて、絵名から瑞希への真っ直ぐな想いが歌われます。
タイトルにある「余花」とは、立春後に遅れて咲く桜のことです。
どのような意味が込められているタイトルなのか、歌詞を考察していきましょう。
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私たちが思うよりも
この世界は優しくないから
せめて私くらいはあなたの
そばにいたかったんだ
≪余花にみとれて 歌詞より抜粋≫
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「私たちが思うよりもこの世界は優しくない」というフレーズは、残酷な現実を示しています。
この人なら信じてもいいのではないか、新しい場所でなら自分を理解してくれる人がいるのではないかと期待しては裏切られてきた苦しい気持ちが伝わってきますね。
これまで瑞希が抱えてきたつらさが想像できた絵名は、優しくない世界の中で「せめてわたしくらいはあなたのそばにいたかったんだ」と打ち明けています。
大切な友達だから支えになりたいと思うのは自然なことで、彼女の優しい人柄が見えてくるでしょう。
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ザラついた 手触りの言葉で
あなたのこと 汚した私は
妙に目にしみる 茜色に
縫い付けられたままで
動けないままで
きつく抱きしめて
くしゃくしゃになった
あなたの孤独を見つけたのに
≪余花にみとれて 歌詞より抜粋≫
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しかしこの部分では、絵名の苦悩が綴られています。
文化祭の日に思いがけず瑞希の秘密を知ったとき、うまく言葉が出せずに瑞希を傷つけたことを「ザラついた手触りの言葉であなたのこと汚した」と表現しています。
時間が経っても茜色に染まるあの瞬間の光景が目に焼き付き、まるで「縫い付けられたまま」でいるかのように身動きができないでいるようです。
あのとき、瑞希が抱え続けてきた孤独をはっきりと感じることができたのに、そばにいたいと言いながら何もできなかった自分を責める気持ちが読み取れます。
傷ついた心に沁みる友の温かさ

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もう傷つける場所もない あなたの心臓が
切なくなるくらい 柔らかく音を立てて
酷く膿んだ 傷を押さえながら
それでもあなたは 笑っていたのでしょう
それがどうしようもなく 嫌なのです
せめて私の前では 泣いて欲しいのに
≪余花にみとれて 歌詞より抜粋≫
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「もう傷つける場所もない」ほど、いくつもの傷を受けてきた瑞希の心。
治る間もなく放置され「酷く膿んだ傷」があるのに、瑞希はそれを隠しながら平気なふりをして笑っていました。
全てを知った後では、痛みを見せないその健気さに切なさも感じるのでしょう。
絵名は、瑞希が自分の心を偽って明るく振る舞うのが「どうしようもなく嫌なのです」と語っています。
悩みを分かち合ってきた友達なのだから、せめて自分の前でだけは本当の気持ちを隠さずに「泣いて欲しい」と願っています。
これは、瑞希が安心して泣ける場所に自分自身がなれていないことへの歯痒さや寂しさも表しているのかもしれません。
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ボクたちが息をする世界は
もうとっくに壊れていたけど
それでもあなたと見たその色は
ただあまりにも美しかったんだ
≪余花にみとれて 歌詞より抜粋≫
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この部分は一人称が「ボク」に変わっていて、瑞希目線の歌詞となっているようです。
自分たちが生きる世界は偏見や差別が横行し、それによって苦しんできた瑞希にとっては「もうとっくに壊れていた」と感じるほど生きにくいものです。
続く「あなたと見たその色」とは、イベント「シークレット・ディスタンス」内で絵名と見た桜のことを表しているのでしょう。
壊れた世界の中でも美しい色があること、美しいと感じられる心が自分の中にまだあること、そして美しい景色を共に見られる友達がいることの感動や喜びが込められているように思えます。
あなたはあなたのままで待っていて

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歩き方を 忘れた私たちは
どこまで行けるのかな
どこにも行きたくないのなら
それでもいいよ
ここで話をしようか 何も話したくないなら
ここから見える景色を見ていよう
何も見たくないのなら ずっとこのまま
ふたり目を閉じていようよ
あなたがいればいいよ
≪余花にみとれて 歌詞より抜粋≫
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他人の目を気にして自分らしい「歩き方を忘れた私たち」は、どのように進んでいけばいいか悩み壁にぶつかることばかりです。
ここでは「どこにも行きたくないのならそれでもいいよ」と、苦しむ気持ちを受け止めています。
そんな時には立ち止まって、話をするだけで十分です。
何も話したくないなら景色を眺めているだけでもいいし、何も見たくないなら一緒に目を閉じていてもいい。
「あなたがいればいいよ」のフレーズから、何ができるかに関係なく瑞希の存在そのものが大切なんだという温かな想いがストレートに伝わってきます。
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その躰の真ん中で 軋んで割れそうな
噛み殺した声が 聞こえて 走り出した
私が今すぐそばに行くから
あなたはあなたのままで 待っていて
≪余花にみとれて 歌詞より抜粋≫
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つらい過去によって瑞希の心は「軋んで割れそう」になっていて、それでも叫びたくなる声を必死に噛み殺して耐えてきました。
しかし瑞希を気遣い続けていた絵名はその小さく漏れ出た声を聞き取り、瑞希のために走り出します。
「あなたはあなたのままで待っていて」という言葉は、ありのままの瑞希を受け止める覚悟があることを示しています。
誰かに受け入れてもらうために変わろうとしなくても自分自身のために行動してくれる人と出会えたことは、瑞希にとって大きな救いとなったのではないでしょうか。
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その指先が体温が触れた ボクの心臓は
隠せないくらいに あなたへと音を立てて
酷く爛れて 濁っていた 空さえ
切なくなるくらい 透き通って見えた
私たちの心臓が 音を立てて
重なるくらい 近づいたなら
壊れたままで 進んで行く 世界の中
それでもふたりで 息をしている
≪余花にみとれて 歌詞より抜粋≫
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手を繋ぎ指先から絵名の温もりを感じたとき、瑞希は離れたくないという本心を隠せなくなりました。
「酷く爛れて濁っていた空」とあるように、世界自体が変わったわけではありません。
それでも自分を大切に思ってくれる人がいるだけで、そんな世界でさえ美しく見えてきます。
一度は離れそうになってしまったものの、再び一緒にいれば「壊れたままで進んで行く世界の中」でも生きていけるでしょう。
この世界で生きている限りでこれからも傷は増えていくかもしれませんが、小さくても確かな希望が手の届く場所にあることの素晴らしさを実感しているように思えます。
瑞希ストーリーを飾る温かな友情の歌
25時、ナイトコードで。とMEIKOが歌う『余花にみとれて』は、大切な人への真っ直ぐな気持ちが伝わってくる楽曲です。タイトルは瑞希と絵名の友情が改めて花開いたことや、やっと包み隠さず自分を曝け出せるようになった瑞希を喜ぶ絵名の気持ちが反映されているのではないでしょうか。
瑞希の物語の結末にふさわしい、心を包み込むような歌詞を堪能してください。