高橋優の代表曲とも言える名曲

高橋優『明日はきっといい日になる』は、2015年6月10日にリリースされた12枚目のメジャーシングルです。
高橋優本人がMVの監督を務めた初の作品でもあり、ファンにとっては貴重な一曲と言えるのではないでしょうか。
インディーズ時代から癖の強い楽曲で存在感を出していましたが、この楽曲をきっかけに、世間に広く知られるようになったと感じます。
耳なじみがよく、聞く人の心にすっと入っていく歌詞と、優しいメロディが印象的でした。
『明日はきっといい日になる』から、高橋優を知ったという人も多いのではないでしょうか。
では、MVと照らし合わせながら、この楽曲の歌詞の意味や、そこに込められたメッセージを読み解いていきましょう。
優しさが裏目に出る冴えない日々

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くたびれた顔で 電車の中揺られてる人を見た
勇気振り絞って 席をゆずってみた
「大丈夫です」と 怪訝そうに断られたそのあと
きまり悪そうに 一人分空いたまんまのシート
≪明日はきっといい日になる 歌詞より抜粋≫
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冒頭は、疲れた顔のサラリーマンが年配の女性に席を譲るシーン。
おそらく、自分自身も疲れている朝。
できれば座っていたいと思いながら、席を譲るべきかどうか、延々と考えたのでしょう。
勇気を振り絞って、いざ席を譲ってみるも、女性には頑なに断られてしまいます。
これは、電車通勤をしている人なら見慣れた光景かもしれませんし、身に覚えのある人も少なくないでしょう。
立ち上がったものの断られてしまい、席に座り直すこともできず、気まずい空気が流れます。
誰も座ることのない空席が、何とも切ないですね。
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大好きな人と会えなくなった時から
心の中にも ポッカリ空席が出来たまんま
悲しみはいつも 突然の雨のよう
傘も持たずに 立ち尽くす日もある
≪明日はきっといい日になる 歌詞より抜粋≫
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2番では、クラスメイトにいじめを受ける少女が登場。
肩に手をかけられた時、ほんの一瞬、手助けしてくれるのではないかと期待してしまうからこそ、それが裏切られるシーンが胸に刺さります。
教室というのは、学生にとっては唯一の居場所であり、そこで誰からも助けてもらえない状況というのは、孤独を味わうには十分すぎるでしょう。
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降られて踏まれて地は固まる
そこに陽がさせば虹が出る そうだ
明日はきっといい日になる
いい日になる いい日になるのさ
≪明日はきっといい日になる 歌詞より抜粋≫
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しかし、一人で雨に打たれている中、傘を差し出してくれる人がいました。
この世界に、たった一人でも味方がいると分かるだけで、ほんの少しだけ心が救われるような気がします。
「明日はきっといい日になる」という歌詞は、エールのようであり、明日が今日より少しでもいい日でありますように、という願いでもあるのかもしれません。
目の前にある幸せを受け入れる力

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十代ほどの 手をつないだ二人が乗ってきて
一つ空いた席を譲り合い笑ってる
思い通りの 人生じゃないとしても
それも幸せと 選ぶことは出来る
≪明日はきっといい日になる 歌詞より抜粋≫
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座りたいのに座れないでいた席を、若い男女が取り合ってじゃれあう姿。
疲れたサラリーマンにとっては不本意な展開でしょう。
しかし、空席ができたからこそ、若い二人の幸せそうな姿を見ることができた、とも言えます。
ものは考えよう。
上手く行かない日々の中に、小さな喜びや、楽しみや、幸せを見つけることはできます。
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まぁいっかと割り切れなければ
とっておきの笑い話にしよう
≪明日はきっといい日になる 歌詞より抜粋≫
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冴えない毎日も、笑えないような日々も、「まぁいっか」と笑い飛ばすことができれば、明日はきっと、今日よりいい日になるのです。
MVを最後まで見ても、歌詞を最後まで読んでも、この楽曲に分かりやすい救済はありません。
冴えないサラリーマンが頑張りを認められて昇進するわけでも、いじめがきれいさっぱりなくなるわけでもないのです。
しかし、うつむきたくなるような日々の中で、そっと手を差し伸べてくれる人がいる。
雨の中で歌う曲を、立ち止まって一緒に聞く人がいる。
何より、その曲が自分の心を支えてくれる。
それだけで、明日を生きる活力が沸いてくるのだと思います。
「明日はきっといい日になる」に込められた意味

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明日はきっといい日になる
いい日になる いい日になるのさ
笑い合えたらいい日になる
いい日になる いい日になるのさ
今日よりずっといい日になる
いい日になる いい日にするのさ
君が笑えばいい日になる
いい日になる いい日になるでしょう
≪明日はきっといい日になる 歌詞より抜粋≫
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「明日はきっといい日になる」と何度も言いながら、ここで歌われている「きっと」は楽観的な意味ではなさそうです。
「笑い合えたらいい日になる」「君が笑えばいい日になる」「いい日にするのさ」という歌詞からも分かるように、明日をいい日にするのは自分自身。
だから笑えるように、前向きになれるように、気持ちを少しでもあげていこうと背中を押してくれているのではないでしょうか。
高橋優は、この楽曲で初めて、MVの監督を務めています。
シンガーソングライターでありながら初の監督作品。
一体どのような仕上がりになっているのか、監督としてのセンスも気になるところですね。
ストーリー性のあるMVには、高橋優本人をはじめ、女優の恒松祐里、千原ジュニア、劇団ひとり、バカリズムなど、錚々たるメンバーが出演。
高橋優がテーマソングを手がけていた番組『オモクリ監督』の出演者がそのままMVに登場するという、遊び心溢れる、特別感のある映像作品に仕上がっています。
誰がどの役柄で登場するかを予想しながらMVを見てみるのも楽しいかもしれません。
色々なことが上手く行かない日々の中、心折れそうになっても、誰かがそっと手を差し伸べてくれる。
この楽曲で歌われているのは、そんな小さな幸せです。
劇的に現状や明日が変わるわけではないけれど、自分は一人じゃないと思わせてくれる、ほんの少しだけ気持ちを強くしてくれる楽曲。
「まぁいっか」と割り切って、少しだけ上を向いて歩いて行けそうな、優しく背中を押してくれる歌です。
心が疲れた時、前向きになりたい時、ぜひ耳を傾けてみてくださいね。
そしてあなただけの「明日はきっといい日になる」コツを見つけてみてはいかがでしょうか。