悩みをストレートに描く冒頭
それでは、歌詞を読み解いていきます。
冒頭では悩みや葛藤が描かれています。
少し長いですが、見てみましょう。
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負けない何かが欲しい
"私"だけの愛が欲しい
そうすればきっと僕らは
比べないで居れる
あれこれ理由が欲しい
"私"だけ独りのような
寂しい夜には
何に抱きつけばいい?
羨ましい
ただ虚しい
嫌われたくもないけど
自分を好きで居たい
≪ダーリン 歌詞より抜粋≫
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ここでは、自分に強い自信や誇りが持てるような「何か」がほしい、という気持ちがストレートに描かれています。
もはや他人と比べる必要もないほど、自分に自信を持つことができたらどれほど幸せだろう…?と考えた経験は、きっと多くの人にあるのではないでしょうか。
また、ここでは、そうした「何か」がまだないからこそ、強い「孤独」を感じてしまう様子まで描かれています。
自分に自信がないからこそ、他人と自分を比べ、羨んだり妬んだりして、さらに自信がなくなってしまう…。
そんな気持ちも、多くの人が感じたことがあるものだと思います。
「ひとり」ではないという感覚

曲はサビになり、歌詞は次のように続きます。
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darling 僕の背中に乗って泳いでて
やるせない日々の海はとても深いから
「誰かの私でありたかった」
勘違いしちゃうから
ひとりにしないでよね。
≪ダーリン 歌詞より抜粋≫
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「やるせない日々」を過ごすには、悩みや孤独とは真反対にある、自信や誰かからの愛が必要だということが描かれているのではないでしょうか。
まるで背中に大切な誰か=「ダーリン」を乗せているような、そうしたものに寄り添ってもらっている感覚があれば、きっと自分は自分なのだと胸を張って生きていけるだろう…という、切望が描かれています。
2番のサビには次のようなフレーズがあります。
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darling 私の腕の中で休んでて
悲しくて堪らない 人はとても弱いから
「誰かの私でありたかった」
彷徨ってしまうから
ひとりにしないでよね。
≪ダーリン 歌詞より抜粋≫
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ここでもやはり、「ひとり」という感覚との向き合い方が描かれています。
人は「ひとり」ではとても弱いから、生きていくためには、誰かと共にあるという感覚をもつ必要がある。
サビのフレーズで繰り返し描かれるこの普遍的なメッセージには、多くの人が共感できると思います。
自分のための自分でいい

歌詞は次のようなフレーズで締め括られます。
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darling 本当の音を聴いて
やるせない日々の膿は出切らないけど
ねぇ 私の私で居てもいいの?
あの子にはなれないし
なる必要も無いから
darling
≪ダーリン 歌詞より抜粋≫
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ここで最も印象深いフレーズは「私の私で居ていい」というもの。
これまで、他者と共にあることの必要性が描かれていました。
しかし、例えば誰かと共にいようとして、過剰に気を遣ってしまったり、自分を弱めてしまったり、近くにいるからこそその他者と自分を比較して落ち込んでしまうこともあるはずです。
誰かといるために、自分を弱める必要なんてない。
誰かのための私でいる必要なんてない。
あくまで私のための私でいていい。
そうした力強いメッセージを伝えて、『ダーリン』は終わります。
「孤独」と「自信」、「私」と「誰か」
自分に自信が持てない孤独感と、誰かといることで生まれる充足感。誰かといるからこそ生まれる劣等感や妬みと、自分のための自分でいることの大切さ。
「私」というたった1人の人間が他人と触れることで生まれる、ポジティブな感情も、ネガティブな感情も、それらを超えて生まれる自信も、あらゆる要素が歌詞の中で描かれています。
『ダーリン』は若者をはじめとして、自分のあり方に悩みがちな全ての人にとって、力強い支えになる楽曲なのではないでしょうか。
【Mrs. GREEN APPLE PROFILE】 大森元貴 (Vo/Gt) 若井滉斗 (Gt) 藤澤涼架 (Key) 2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム「Variety」でメジャーデビュー。 以来、毎年1枚のオリジナルアルバムリリースと着実なライブ活動を続け、2019年12月から行われた初の全国アリーナツアー「エデ···
