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サカナクション「怪獣」とは何のこと?歌詞の意味を徹底考察

サカナクションの新曲『怪獣』が、アニメ『チ-地球の運動について-』の主題歌に起用されました。3年ぶりの新曲でもあるこの楽曲。タイトルになっている「怪獣」とは一体何を意味するのか、作品世界とリンクした歌詞に着目しながら深堀していきます。

サカナクション「怪獣」がアニメ「チ。」主題歌に

サカナクションの『怪獣』は3年ぶりの新曲

2025年2月20日に配信リリースされたばかりの、ファンにとって待ちに待った新曲ではないでしょうか。

さらに、この新曲が現在NHKで放送中のアニメ『チ。-地球の運動について-』の主題歌に決定

アニメの世界観とマッチする歌詞と共に、3ヶ月限定のコラボMVでは、アニメの映像と楽曲を一緒に堪能でき、非常に豪華です。

▲サカナクション「怪獣」×『チ。-地球の運動について-』コラボレーションMUSIC VIDEO-怪獣【期間限定公開】

天動説と地動説という、誰もが耳にしたことのある素材でありながら、過激な拷問シーンや、命を投げ打ってでも地動説を伝えていこうとする人々の思いなど、作品の深さが話題となりました。

今では常識である地動説

それが異端として迫害されていた時代の人々が、それでも知りたいと願う知識欲の奥深さを教えてくれる作品です。

楽曲のタイトルになっている「怪獣」とは一体何なのか、歌詞の意味を読み解きながら考察していきましょう。

命をかけても知りたいと願う知識欲の深さ


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何度でも
何度でも叫ぶ
この暗い夜の怪獣になっても
ここに残しておきたいんだよ
この秘密を
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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冒頭から「怪獣」というキーワードが登場するこの楽曲。

サカナクションが主題歌を提供しているアニメ『チ。-地球の運動について- 』は、天動説が信じられていた時代に地動説の可能性を唱えた人々の物語です。

今では考えられない事ですが、地動説を唱えるだけで異端とされ、苛烈な拷問を受けることもあった時代。

自分たちの知識を信じ、地動説を訴えることがどれほど難しいことであったか。

「この暗い夜の怪獣になっても ここに残しておきたいんだよ この秘密を」という歌詞からは、彼らが隠し続け、密かに地動説を研究し続けた執念を感じます。

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だんだん食べる
赤と青の星々
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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研究していることがバレないように、人々の頭に研究の記録を残すという展開がありましたが、知識を吸収し、新しいことを知っていくという過程はまさに、「食べる」行為に似ているかもしれません。

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何十回も噛み潰し
溶けたなら飲もう
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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新しい知識を学び、理解し、自分のものとするためには何度も噛み潰し、咀嚼して身体に取り込む必要があります。

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淡々と知る
知ればまた溢れ落ちる
昨日までの本当
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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昨日まで当たり前だった常識が嘘のように覆される。

天動説を当たり前に信じていた時代に、地動説がもたらした衝撃を物語っているような歌詞です。

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順々と知る
何十螺旋の知恵の輪
解けるまで行こう
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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誰もが真実だと信じていたことがそうではない。

知識欲とは、知れば知るほど落ちていく、深い沼のようなものなのかもしれません。

「何十螺旋の知恵の輪」とはまさに、時を経て重ねてきた研究。

『チ。-地球の運動について-』は、厳しい迫害故に命を落とす人物も多く、主人公も例外ではありません。

物語が進むごとに時代も主人公も変わりますが、その時代ごとに命をかけて地動説を解明しようとする人たちの情熱が果てることはないのです。

「解けるまで行こう」これこそ、命懸けで研究する『チ。-地球の運動について-』の登場人物たちの思いを一言で表している歌詞と言えるでしょう。

未来へと連なる果てない夢


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この世界は好都合に未完成
だから知りたいんだ
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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未完成な世界だからこそ知りたくなるし、研究する価値があるのでしょう。

隠された不都合も、まだ見ぬ未知の世界も知りたい。

それがどれほど危険なことであろうと、強烈な知識欲を前に、そんなことは歩みを止める理由にはならないのです。

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でも怪獣みたいに遠く遠く叫んでも
また消えてしまうんだ
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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必死で辿り着いた答えも、抱えた思いも、叫んでも叫んでも権力を前に握り潰される理不尽さ。

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だからきっと
何度でも見る
この暗い夜の空を
何千回も
君に話しておきたいんだよ
この知識を
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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この歌詞には、自分が死んでも他の誰かに意志を引き継いで欲しいという強い願いがこもっているように思います。

自分が生きている間に地動説が認められずとも、他の誰かが引き継ぎ、時を経ていつか正しいことが証明される。

そんな遠い未来に思いを馳せ、希望の光を見出しているのではないでしょうか。

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淡々と散る
散ればまた次の実
花びらは過去
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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生きるこそすら淡々と散る花びらのように、連綿と続く生命の営みの一部だと考える。

大切なのは自分の「生」ではなく、知識が遠い未来まで受け継がれていくことなのでしょう。

大きな目標の前に、人ひとりの生命など些末なもの。

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点と線の延長線上を辿るこの淋しさも
暗がりで目が慣れる頃にはもう忘れてるんだ
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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異端だと呼ばれても、親しい人と別れても、信念の元に一人歩む世界には壮大な夢が詰まっています。

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この世界は好都合に未完成
僕は知りたいんだ
だから怪獣みたいに遠くへ遠くへ叫んで
ただ消えていくんだ
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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怪獣のように一人ぼっちで消えていく人生だとしても、その声に応えてくれる人がどこかの時代にいる。

決して交わることがないとしても、時を超えて同じ信念を掲げた者同士が通じ合えることは奇跡と言えるのではないでしょうか。

何億光年先の未来だとしても、その声が届くのなら、一人では無いのです。

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この未来は好都合に光ってる
だから進むんだ
今何光年も遠く 遠く 遠く叫んで
また怪獣になるんだ
≪怪獣 歌詞より抜粋≫
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「また怪獣になるんだ」という歌詞には、身体は朽ちても遠い未来まで紡がれる信念、思いに永遠を見る、希望を感じますね。

今戦っているのはひとりだとしても、仲間はいる。

だから負けないという強い意志を感じます。

「怪獣」とは人の心に棲む知識欲


ここまで、サカナクション『怪獣』の歌詞を考察してきましたが、何度も登場する「怪獣」というキーワードの意味は何でしょうか。

苛烈な拷問に耐え、命を絶たれても信念を曲げなかった人たち。

そして時を超え、連綿と受け継がれていく天体への思い。

ここで歌われている「怪獣」とは、人々の心を支配する知識欲ではないでしょうか。

地球のこと、宇宙のことをもっと知りたい。

誰もが信じ、進行する天動説を鵜呑みにするのではなく、異端と呼ばれようとも地動説を信じ、真実を捜し求めた人たち。

命を投げ打ってまで知ることに没頭する様は、狂気の沙汰とも言えます。

それほどまでに、彼らの知識欲は底なしに深かったのでしょう。

誰にも理解されない、一人ぼっちの怪獣。

それでも、その遠吠えは時を超え、誰かの心に届くのです。

そうやって「知りたい」という思いは受け継がれ、少しずつ研究が進み、地動説が正しいと言わしめるまでになった

気の遠くなるほどの時を経て、彼らの願いは叶ったのです。

知識欲は、低俗な欲ではありませんが、人を狂わせる欲の一つ。

チ。-地球の運動について-』で命を落とした人々のように、場合によっては人生を狂わせ、命を失わせるほどの狂気を孕んでいるのです。

だからこそ「怪獣」という言葉で、この楽曲では歌われているのではないでしょうか。

ただの天体アニメと侮ることなかれ。

宇宙の謎と知識欲、人の業の深さと信じることの強さ。

そのすべてを描いた、非常に奥行きの深い、味わい深い作品です。

期間限定で楽曲とアニメ映像がコラボしたMVが公開されているので、この機会にぜひ、作品と楽曲の奇跡的なコラボを味わってみてはいかがでしょうか。

2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。 日本の文学性を巧みに内包させる歌詞やフォーキーなメロディ、ロックバンドフォーマットからクラブミュージックアプローチまでこなす変容性。 様々な表現方法を持つ5人組のバンド。全国ツアーは常にチケットソールドアウト、出演するほとん···

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