星野源「Eureka」がドラマ主題歌に起用
星野源の新曲『Eureka』は、2025年1月28日にリリースされました。現在放送中のドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』の主題歌に抜擢され、話題になっています。
ドラマ主題歌でありながら、星野源自身の歌でもあるというこの楽曲。
ドラマチックな歌詞ではなく、壮大なバラードでもない。
ささやかな日常にそっと寄り添うメロディが印象的な歌です。
タイトルにもなっている「Eureka」は、古代ギリシャ語に由来する言葉で、「発見」「見つける」というような意味だとか。
では一体、何を発見したのか?
『Eureka』の歌詞を掘り下げながら、その意味を考察していこうと思います。
息の詰まるような日常に見いだす小さな希望

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息を吹き返した
私でいる日々が
動き出していた
知らない方に
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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日々の生活に追われている内に、いつの間にか自分というものを見失っていることってありますよね。
「息を吹き返した私でいる日々」という歌詞は、忙殺され埋もれていた「自分」という存在が息を吹き返す、そんな瞬間を想像させます。
しかし、やっと息ができる安堵感とは裏腹に、動き出した日々は自分の知らない方向へと向かっていきます。
地に足を着け、どっしりと構えていたくても、転がされてしまう日々。
生きるということは、自分の気持ちのままには生きられないもどかしさと隣り合わせです。
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未知は暗くて
人はふざけ切って
馬鹿げてた
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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未知の世界は明るいばかりではなく、分からないことだらけ。
不安だらけで暗闇のように見えることもあるかもしれません。
ドラマの主人公は研修医。
医者という、人の命を救う仕事への憧れや希望が、めまぐるしい日々の中で揺らぎ、消えそうになることもあるでしょう。
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向かうほどに
呆れた 希望は
要らないまま
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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未知の世界へ切り込み、希望を見いだそうとすればするほど、現実が馬鹿らしくなる。
今、自分が頑張っていることに意味はあるのか。
一生懸命向き合うことに嫌気が差すこともあるでしょう。
思ったように生きられない不安や苛立ちなど、この世界に生きる人なら誰しも抱える思いが凝縮されたような歌詞です。
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窓から陽が射して滲む
季節が風と踊り纏い詩を歌う
くだらないだろ
妙に綺麗で 泥臭い
わからない中で
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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希望を見いだせない日々でも、光は射します。
窓から差し込む光が美しく見えたり、風が踊っているように感じられたり。
ふとした心の変化で、色のない日々が鮮やかに見える瞬間はあります。
明日になったらまた、いつもの景色かもしれないけれど。
ほんの一瞬だとしても、世界が美しく思える瞬間があるのなら、それは素晴らしいことではないでしょうか。
「くだらない」と言いながら、「妙に綺麗で泥臭い」と表現された日常は、その泥臭さこそが懸命に生きている証拠のように思えます。
淡々と紡がれる歌詞から漂うさりげない優しさ

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悲しみに勝った
息をするそれだけで
その証拠なんだった
織りなす様に
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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ふとした瞬間に歩みを止めそうになる日々。
息をすることも諦めそうになる瞬間もあるかもしれません。
それでも、今この瞬間に息をしていることが「悲しみに勝った」証拠です。
生きていれば、迷うことも、道を間違えて戻ることもあるでしょう。
順調でなくてもいい。
大切なものを手に入れたり失ったり、取り戻したりしながら、少しずつ進むのが人生です。
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歩いて 止まって
失くして 取り戻して
それだけだ
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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淡々と紡ぎ出される歌詞には、不必要な優しさはありません。
ただそこにあって、そっと心に寄り添ってくれます。
’’生きて、息をすることをやめなければいいんだよ’’というシンプルなメッセージが、かえって心の支えになっているのかもしれません。
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舞うほどに
もらった 寂しいは
分け合えるから
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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「寂しいは分け合える」というのは、人が一人では生きていけない理由であり、強さでもあります。
一人では抱えきれないことも、誰かとなら分け合える。
乗り越えられる。
隣に誰かがいてくれると思えば、人は強くなれます。
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明ける夜空ここで話そう
"今"は過去と未来の先にあるんだ
君は うまくいくだろう
無責任な言葉でも
わからないもので
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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手の届かない過去でも未来でもなく、何よりも先にある「今」に目を向けよう。
そっと背中を押してくれるような歌詞が印象的です。
「君はうまくいくだろう」なんて、無責任な言葉ですが、無責任な言葉が心の支えになることもあるでしょう。
この歌の中に何度も出てくる「わからない」という言葉。
人生、何があるか分からないからこそ、確実なものにばかり目を向けるのではなく、不確かでも心に刺さるものを信じて進むのも悪くありません。
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窓から陽が射して滲む
季節が風と踊り纏い詩を歌う
くだらないだろ
妙に綺麗で 泥臭い
わからない中で
≪Eureka 歌詞より抜粋≫
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明日がどうなるか分からないからこそ、今、隣にいる人と共に前を向いて歩けたら素敵ですよね。
「Eureka」に込められた意味とは
タイトルにもなっている「Eureka」には、「見つけた」「分かった」というような意味があるとお伝えしましたが、ではこの歌で一体、何を見つけたのでしょうか?目まぐるしく変わる日々の中で、一瞬一瞬の心の動きや気づきを大切にするのは難しいことです。
ドラマの主人公は研修医ですが、そうでなくとも、目の前の出来事に対処するのに精一杯で、一日一日を大切に過ごすというのは簡単ではありません。
『Eureka』は、なんとなく流れて行ってしまう日々の小さな気づきに目を向けて、その一瞬を捉えた歌のように思えます。
希望なんてないように思える日々にも、小さな喜びがあり、幸せが隠れている。
狭い視野で見ていると気づけないことも、ほんの少し顔を上げて、広い視野で見れば発見できることがたくさんあるでしょう。
『Eureka』で歌われていることは、世界を激変させるような大きな発見ではありませんが、小さな気づきが日々に彩りを与え、安らぎをくれることを教えてくれます。
たまには深呼吸をして、日々に埋もれた幸せな気づきを探してみるのもいいかもしれませんね。