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ちあきなおみ「黄昏のビギン」歌詞の意味を考察!原曲とは異なる雰囲気を放つカバー曲の魅力に迫る

斬新なアレンジとちあきなおみの歌唱によって再発見され、日本のスタンダードソングにまでなった名曲『黄昏のビギン』。原曲とは一味違う魅力を感じさせる歌詞の意味を紐解きます。

「黄昏のビギン」に見る原曲とカバーの違い

圧倒的な歌唱力と表現力で愛される伝説の歌姫・ちあきなおみの代表曲のひとつに『黄昏のビギン』があります。

『黄昏のビギン』は、活動休止直前の1991年7月21日発売のカバーアルバム『すたんだーど・なんばー』から先行してシングルカットされた楽曲です。

▲ちあきなおみ-黄昏のビギン【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

原曲はデビュー曲の『黒い花びら』で第1回日本レコード大賞を受賞した水原弘が歌ったもので、1959年10月発売の2rdシングル『黒い落ち葉』のB面に収録されていました。

永六輔と中村八大の“六八コンビ”が作詞作曲を手がけ、ハイテンポの明るいメロディが印象的です。

しかしシングルのB面だったこともあり、当時はほかの楽曲の影に隠れてしまっていました。

そんな『黄昏のビギン』に再び光を当てたのが、ちあきなおみと編曲を担当した服部隆之です。

作曲家の服部良一を祖父に持つ若手音楽家だった服部隆之は、海外のスタンダードソングのような流麗なメロディと上品で温かみを感じさせるストリングスによるサウンドが斬新で、中村八大も彼のアレンジを手放しで褒めたのだそう。

この情感のあるスローバラード調の音楽に憂いと気品のあるちあきなおみの歌声がマッチして注目を集め、CMソングにも起用されました。

その後は様々なアーティストにカバーされ、今や日本のスタンダードソングともなっています。

タイトルの「ビギン(Beguine)」は、西インド諸島のマルティニーク島に伝わる民族舞曲に見られる4拍子のリズムを指します。

中村八大がビギンのメロディに惹かれて使用しただけでなく、男女で踊るビギンを恋模様に重ねて表現したのかもしれません

原曲とは異なるイメージが漂うちあきなおみ版の『黄昏のビギン』の歌詞の意味を考察していきましょう。

恋人との雨のデートを回顧


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雨に濡れてた たそがれの街
あなたと逢った 初めての夜
ふたりの肩に 銀色の雨
あなたの唇 濡れていたっけ
≪黄昏のビギン 歌詞より抜粋≫
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1番冒頭の歌詞には、「」と「たそがれ」という趣のあるフレーズが登場します。

黄昏時の街にしっとりと雨が降っている様子が想像できるでしょう。

そしてその夜が「あなたと逢った 初めての夜」でした。

この描写から、主人公の男性が過去の思い出を回顧していることが読み取れますね。

「ふたりの肩に 銀色の雨」のフレーズは、雨に濡れながらも共に時間を過ごす恋人たちの穏やかな幸せを垣間見せてくれます。

そこで主人公はそのときのことを、「あなたの唇 濡れていたっけ」と振り返ります。

初めての夜のデートということもあり、関係の進展を期待していたのではないでしょうか。

思わず目に止まった彼女の唇に胸の高鳴りを覚えたはずです。

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傘もささずに 僕達は
歩きつづけた 雨の中
あのネオンが ぼやけてた
雨がやんでた たそがれの街
あなたの瞳うるむ星影
≪黄昏のビギン 歌詞より抜粋≫
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雨の中を2人は「傘もささずに」歩いています。

それは単に傘を持っていなかっただけでなく、一緒に雨に濡れることすら楽しんでいるからなのかもしれません。

もしくは2人が許されない恋をしているのだとしたら、誰もが傘をさして歩いているこの瞬間だけは身を隠さず自由に歩きたかったとも考えられるでしょう。

また雨が止んだ後の「あなたの瞳うるむ星影」という描写は、瞳の中に星が映り込んでいる美しさを表現しているのか、彼女が泣きそうになっている哀しさを示しているのかは分かりません。

それでも、原曲では「うつる」となっている部分が「うるむ」に変更されているため、そこに2人の感情が込められていると思われます。

ゆったりと歌われる歌詞が、聴く人によって自由な解釈をさせてくれますね。

初めてのキスの思い出


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夕空晴れた たそがれの街
あなたの瞳 夜にうるんで
濡れたブラウス 胸元に
雨のしずくか ネックレス
こきざみに ふるえてた
≪黄昏のビギン 歌詞より抜粋≫
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2番は1番の続きのシーンで、晴れた夕空を臨む「たそがれの街」を描いています。

雨を浴び続けていたため、彼女のブラウスは濡れてしまっているようです。

その「胸元に雨のしずく」が見えます。

「ネックレス」と続けることで、単なる雨のしずくもネックレスのように美しく見えて彼女を輝かせていると感じているのでしょう。

しかししばらく雨に打たれていたので、彼女は「こきざみに ふるえてた」とも思い起こしています。

それが主人公にとって庇護欲をくすぐり、さらに彼女を愛おしく想うきっかけになったのかもしれません。

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ふたりだけの たそがれの街
並木の陰の初めてのキス
初めてのキス
≪黄昏のビギン 歌詞より抜粋≫
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場所を移動した2人は並木道を歩いています。

そして「並木の陰」で「初めてのキス」をしました

それに至るまでには勇気や覚悟が必要だったことでしょう。

お互いの気持ちを注ぐようにキスをし、2人きりの時間を楽しみます。

憂いのある歌声はこの恋がすでに終わっていることを表現しますが、主人公にとってはいつまでも忘れられないかけがえのない恋だったことが伝わってきますね。

ちあきなおみによる歌唱の素晴らしさが感じられる名曲!

ちあきなおみの歌う『黄昏のビギン』は恋に見られる幸せや緊張感、失恋の哀しみや切なさが感じられる楽曲です。

主人公の背景や心情を示す直接的な描写がなく情景だけを切り取っている歌詞だからこそ、様々な解釈ができ聴く人の心に訴えかけてくるのでしょう。

いつまでも色褪せない名曲の魅力と、伝説の歌姫・ちあきなおみの歌声の力を存分に感じてください。

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