DECO*27とは誰か?「テレパシ」制作の経緯
DECO*27 (デコ・ニーナ)は、日本の音楽プロデューサーであり、ボカロPとしても知られています。1986年に福岡県で生まれ、2008年から音楽活動を開始しました。
初音ミクやGUMIを使った楽曲で注目を集め、特に「モザイクロール」や「ゴーストルール」などのヒット曲で広く知られています。
彼の楽曲は、恋愛や感情の葛藤をテーマにしたものが多く、リスナーに強い共感を与えています。
また、クリエイティブカンパニー「OTOIRO」を設立し、音楽制作だけでなく、映像やデザインなど幅広い活動を展開しています。
今回の新曲「テレパシ」は、思春期のもどかしさや感情の伝わらなさをコミカルに描いた、ポップなダンスチューンとなっています。
歌詞や映像には、ネットミームや過去の作品へのセルフオマージュが数多く取り入れられており、独特の世界観が広がっています。
特筆すべきは、そのリリースの速さです。
映画 劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミクの挿入歌「ハローセカイ」が2月9日に配信されたわずか約10日後という異例のスピードで発表されました。
まるで本当に27人で制作しているかのような驚異的なペースです。
それでは、コミカルでポップな「テレパシ」の歌詞の一部を抜粋して、どんな感情が込められているのか解明していきましょう。
素直になれない承認欲求

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ねえもっとちょうだい?
:-b ;-b boy, :-b ;-b boy, duh
べー!
気付いてよ 履修してよ あたしのこと とんとん
もー、べー!
≪テレパシ 歌詞より抜粋≫
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いきなり、もっとちょうだい?というダイレクトなお願いから始まります。
それに続く、気付いてよ、履修してよといったフレーズには、思春期特有の学校用語が織り交ぜられています。
これらの大胆なお願いは、好奇心と承認欲求の象徴であり、その直後のべー!には、素直になれないもどかしさを巧みに表現しているかのようです。
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さあ
勘繰りダンス ブギウギ
迷子でぼっち デビデビ
感情をください ハイハイ
ぶー
配慮んダンス ブギウギ
解釈一致 ギミギミ
返答をください ハイハイ
「期待しないで」とか今更で は?
まじでSTOP 脈ナシハラスメント
待ちに待った思春期頑張んべ
≪テレパシ 歌詞より抜粋≫
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そして、勘繰りダンス、配慮んダンスといった韻を踏んだフレーズは、揺れ動く心情と複雑なコミュニケーションをリズミカルに映し出しているかのようです。
期待しないでと突き放す一方で、返答をくださいと矛盾した願いを漏らす姿は、未熟ながらも必死に自己主張する思春期のもどかしさそのものではないでしょうか。
さらに、STOP 脈ナシハラスメントという嘆きには、脈がないと分かっていながらも諦めきれない切なさが際立っていませんか。
全体を通じて、軽快なリズムに乗せた言葉遊びが、複雑な感情の揺れを鮮やかに描写しているように感じます。
ここまでは、素直な欲望と不器用な感情が交錯する思春期の葛藤が、ユーモラスかつリアルさが滲み出ているようです。
「あいうぉんちゅー」、届いてる?

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あいうぉんちゅーコールが聞こえなーい
伝播する義務ラブ マッチング
要承認ハートのリハしたい
ライブでは下手くそ やんなっちゃう
はぁ「恋愛ガールは叶えたい」
衝撃のアニメ化待っています
アンハッピーエンドじゃつまんない
"feat. きみ"を ねえもっとちょうだい?
≪テレパシ 歌詞より抜粋≫
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「あいうぉんちゅー」とコールしているここのサビでは、相手に向けた好意やサインが届かず、返答が全く聞こえてこない、もどかしい状況のようです。
その状況が、英語混じりの軽快なリズムと言葉遊びに含まれており、気持ちを伝える難しさと、それを誤魔化すような照れ隠しのニュアンスが感じられます。
一方で、要承認ハートのリハしたい、失敗を恐れながらも好意をうまく伝えたいという心情が表れているようにも感じます。
しかし、ライブでは下手くそ やんなっちゃうという言葉のように、実際のコミュニケーションではぎこちなさが目立ち、想いは空回りしている様子が目に浮かぶようです。
結局、「あいうぉんちゅー」は届いていない可能性が高いでしょう。
さらに、衝撃のアニメ化待っていますや、アンハッピーエンドじゃつまんないといったフレーズからは、理想の展開を夢見つつも、現実とのギャップに悩む姿が想像されます。
そしてその後に続く、“feat. きみ”を ねえもっとちょうだい?には、もっときみを知りたいという諦めきれない承認欲求と、もう一歩踏み出したいけれど踏み出せない臆病さが込められているのではないでしょうか。
どうやら「あいうぉんちゅー」はまだ相手に届いておらず、どう伝えればいいのか探している最中かもしれません。
衝撃!「あいうぉんちゅー」がまだ届いてない!

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あいうぉんちゅーコール伝わんない
飽和するテレパシ ザッピング
妄想継承してリベンジャー
先帝の無念晴らしてやる
はぁ「転生したらあたしだった」
大好きの壁打ちやっています
アンハッピーエンドじゃつまんない
"feat. きみ"を ねえもっとちょうだい?
≪テレパシ 歌詞より抜粋≫
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2番のサビである衝撃的な事実が明らかになってます。
まさかの「あいうぉんちゅー」がまだ届いていないのです。
先ほどの歌詞考察で既に届いていないと悩んでいたのに、ここでも変わらず伝わっていないという事実が、もどかしさと切なさを強調しているかのようです。
あいうぉんちゅーコール伝わんないは、好きという気持ちを伝えようとするたびに空振りしてしまう無力感を表しており、飽和するテレパシ ザッピングには、膨れ上がった想いや情報が空回りして、相手に届かない様子を描いているのではないでしょうか。
つまり、サインは送っているのに、相手にはノイズにしか聞こえていない状態です。
妄想継承してリベンジャー、先帝の無念晴らしてやるのには、過去の失敗(=伝わらなかった想い)をリベンジしようとする意気込みと、妄想に逃げる弱さの同居を示しているようです。
さらに、転生したらあたしだった、なんて某アニメを思い出すフレーズには、何度やり直しても結局は不器用な自分のままだという諦めと自己認識の苦さが滲んでいます。
そして、大好きの壁打ちをやっているのは、壁に向かって話しているかのようで、まるで相手に届かない愛情を一人で繰り返している、一方通行の恋心に疲れつつもやめられない切なさは辛さしか感じないでしょう。
最後のアンハッピーエンドじゃつまんないという歌詞に込められたのは理想への執着と、“feat. きみ”を ねえもっとちょうだい?というお願いを、きみ自身にしているのに何故届かないの?自分の話を聞いてよという欲望が浮き彫りになってます。
つまり、「あいうぉんちゅー」は今も届いていない、でも、その届かないもどかしさこそが、この歌詞のエモーショナルな核になっているのではないでしょうか。
「誰か」に伝えたいこの感情 どうしたらいい
「テレパシ」の歌詞で描いているのは、届かない「あいうぉんちゅー」に悩む切なさと、諦めきれない感情です。サインを送り続けているのに、相手にはノイズにしか聞こえないのでしょう。
そのもどかしさは、素直になれない自分自身への苛立ちでもあるかのようです。
「誰か」に伝えたいこの感情はどうすればいいのでしょうか。
答えは、飾らずに、下手でも不器用でも、まっすぐに伝えるしかありません。
届かないのなら、何度でも手段を考え直しながら、実際に声に出して叫ぶしかないのでしょう。