“もうどうなってもいいや”の真意とは?
2025年2月2日にVtuberの星街すいせいが配信リリースした『もうどうなってもいいや -Movie edition-』は、1月17日公開の劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』の挿入歌です。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』は、エヴァンゲリオンシリーズのスタジオカラーとガンダムシリーズのサンライズが初めてタッグを組んで生み出す新しいガンダムシリーズの劇場先行作品。
平穏な日常を送る女子高生が、戦争難民の少女との出会いをきっかけに非合法な決闘協議に巻き込まれていくストーリーとなっています。
その挿入歌に起用されている『もうどうなってもいいや』は、大人になりきれない気持ちを歌ったデジタルダンスサウンドの楽曲です。
少女たちの心情がどのように描かれているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
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堂々巡りのファンタジー
アンソロジー混ざる有象無象
本能のままに行動不能に高まる衝動
もう どうなってもいいや
≪もうどうなってもいいや - Movie edition - 歌詞より抜粋≫
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「堂々巡りのファンタジー」という表現は、少女の混乱する頭の中を表現していると思われます。
期待する未来を空想しては、迷いや不安で思考が堂々巡りしているのでしょう。
次の「アンソロジー」は異なる作者による作品を集めた作品集のことで、「有象無象」は取るに足りない人や物のことを指します。
このことから「アンソロジー混ざる有象無象」とは、魅力的な人や良い考えを持つ人が下らない人々の中に埋もれていることを指しているのかもしれません。
「本能のままに行動」し、何もできないのに衝動ばかりが高まっていく未熟さを自分自身にも感じているようです。
とはいえ、自分の弱さを認めて受け入れることも大切です。
タイトルでもある「もうどうなってもいいや」という言葉は投げやりにも聞こえますが、未熟なら未熟なりに後先考えずやってみようとする覚悟を表しているようにも感じられます。
ハッピーエンドを迎えるために行動する

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当たり前のことが知りたいだけ
星に願う本当の気持ち
苦し紛れの言い訳は
いらない 意味ない 君はどう思う?
≪もうどうなってもいいや - Movie edition - 歌詞より抜粋≫
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彼女の願いは「当たり前のことが知りたいだけ」。
「苦し紛れの言い訳」で真実を隠す大人たちにうんざりし、知るべきことを知るために行動しようとしているのでしょう。
「君はどう思う?」という問いかけには、賛同してほしい気持ちも含まれていると解釈できます。
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行き場を失ったみたいだ
心は棘の類で eh-eh (Foo)
おんなじことばっかり繰り返して
鳥籠の中で (踊る)
≪もうどうなってもいいや - Movie edition - 歌詞より抜粋≫
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問題にぶつかりどうしていいか分からなくなるとき、誰でも「行き場を失ったみたいだ」と感じるでしょう。
「心は棘の類い」とあるため、彼女は気持ちが攻撃的になって周囲を遠ざけている状況のようです。
「おんなじことばっかり繰り返して」いる自分は、精一杯行動しているつもりでも「鳥籠の中で踊る」かのように無意味に時間を過ごしているように思えてきます。
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ふわっと 浮かんで 取り繕うまで
描いて 泣き叫んで 消えないように
魔法みたいな都合いいもの
主人公なら起承転結
最後はどうなっても happy ending
それなら好きにさせてよ
もう どうなってもいいや
≪もうどうなってもいいや - Movie edition - 歌詞より抜粋≫
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気持ちが「ふわっと浮かんで取り繕うまで」、「泣き叫んで」感情を吐き出します。
全てが一瞬でうまくいく「魔法みたいな都合いいもの」はありません。
自分が物語の主人公なら「最後はどうなってもhappy ending」を迎えられるはずだから、「それなら好きにさせてよ」と主張しています。
「もうどうなってもいいや」という気持ちで一歩踏み出す強さが見て取れます。
世界は驚きで満ちている

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真っ逆さまに落ちていった
無重力 midnight 逃避行
秘密の裏から交わって虜 (虜)
一切合切もっていって
余すことなく人生謳歌
混じり合う星に想い馳せて
≪もうどうなってもいいや - Movie edition - 歌詞より抜粋≫
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「真っ逆さまに落ちていった」のフレーズから、状況が悪化していることが分かるでしょう。
しかし、そのことに苦しんではいないようです。
「無重力 midnight 逃避行」の表現は、自由をイメージさせます。
そして、自分の中にある迷いや不安、期待や希望といった感情や考えを「一切合切持って行って余すことなく人生謳歌」してやるという熱い想いが伝わってくるでしょう。
無数の星は重なり合って見えても、一つひとつが強く輝きを放っています。
そんな星々に想いを馳せて、自分も諦めず強く輝こうと決意を新たにしている様子が読み取れます。
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月が綺麗だなんてこの世はすべて
ワンダー 愛を謳う
≪もうどうなってもいいや - Movie edition - 歌詞より抜粋≫
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どれほど困難な状況にいて目の前が真っ暗に思えても、闇夜に浮かぶ月の美しさは変わりません。
そして、月のように今の状況を照らしてくれる希望がきっとどこかにあるはずです。
「この世はすべて wonder(驚嘆すべきもの)」に満ちているから、人は期待を捨てられないのでしょう。
「愛を歌う」という言葉から、自分や人、世界への愛を持って困難に立ち向かう彼女の温かくて美しい心が見えてきます。
映画の世界観とリンクする疾走感が気持ちいい挿入歌!
星街すいせいの『もうどうなってもいいや』は、大人になりきれないもどかしさや葛藤を抱えながらも懸命に生きる少女の想いが感じられる楽曲です。映画の映像ともマッチし、疾走感のあるサウンドとクールな歌声に引き込まれます。
問題にぶつかったとき、この曲を聴いて力強く歩めるよう気持ちを高めてみてはいかがでしょうか。