「銀魂」のエンディングテーマとしても知られるSPYAIR「サムライハート(Some Like It Hot!!)」
SPYAIR『サムライハート(Some Like It Hot!!)』は、2011年6月8日に発売された楽曲です。『銀魂』の四天王編エンディングテーマにも起用されているので、アニソンとしての認知度も高い楽曲といえるでしょう。
古い曲ですが、今でもSPYAIRといえばこの楽曲を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
四天王編は、ギャグアニメとして人気の高い『銀魂』の中で、シリアスな展開が大きな見所となるエピソード。
個性の強すぎる人たちが集まる歌舞伎町を舞台にした『銀魂』は、賑やかなイメージが強いですが、『サムライハート(Some Like It Hot!!)』は孤独感漂う楽曲です。
テンポのいいメロディと切ない歌詞。
サビの疾走感と心の叫びが印象的な『サムライハート(Some Like It Hot!!)』。
『銀魂』の世界観にも目を向けながら、歌詞の意味を徹底考察していきます。
「一人」よりも孤独な「二人」

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どっか上の空で さっぱり聞いてないんだろう?
わざとこぼすサイン 見逃す君
ほら いつだって 同じで 分かり合ってる? ・・とんだ勘違いだよ
ここに居る僕に気付けないんだろう
≪サムライハート(Some Like It Hot!!) 歌詞より抜粋≫
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一緒にいるはずなのに、どこかズレてしまう空気感。
分かり合えているという安心感は、時に相手の気持ちを見逃すきっかけになってしまうのかもしれません。
隣にいるのに、見えていない。
そんな「君」との心の距離が、「ここに居る僕に気付けないんだろう」という歌詞に表れています。
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人込みにまぎれて ひとり
虚しくって 見上げる空
届かない会話キャッチボール
孤独は増してく
≪サムライハート(Some Like It Hot!!) 歌詞より抜粋≫
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近くにいるはずの「君」に声が届かない、会話のキャッチボールが続かない寂しさに耐えかねて人混みに紛れても、孤独は消えません。
群衆というのは、人が多いようでいて一人です。
心の繋がりがないのなら、かえって虚しくなるだけ。
孤独を際立たせるだけの人混みが「僕」の抱える闇の深さをくっきりと浮かび上がらせます。
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Hey!! Hey!! 応えて 誰かいませんか?
ずっと探しても 答えないや
Hey!! Hey!! 僕だけが僕を作るから
泣いたって、笑って 憎んだって愛して 生きていこう
Hey! Hey! サムライハート (some like it hot)
≪サムライハート(Some Like It Hot!!) 歌詞より抜粋≫
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街中溢れる人たちに語りかけても、返事はありません。
人が多ければ多いほど、答える人のいない虚しさは重くのしかかるもの。
たった一人で立ち尽くしている現実に嫌気がさしても、「僕だけが僕を作る」と言い聞かせ、熱い気持ちを忘れない。
人と人の心の繋がりが希薄な時代にこそ刺さる歌詞です。
弱い自分を奮い立たせる「サムライハート」というタイトルの意味

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のっぺりとした Day by Day まったく今日も同じだろう?
とけ込めない人に 慣れない街
Ah 人波に 立ち止まり 振り返り 確かめた足跡
前より ほんの少しは歩けてるかも
≪サムライハート(Some Like It Hot!!) 歌詞より抜粋≫
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行き交う人たちに溶け込めなくても、歩んできた自分の足跡を振り返れば、しっかりと足取りは残っている。
迷いながら付けた足跡だとしても「前よりほんの少しは歩けてるかも」と思えるのなら、それは大きな前進です。
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すれ違った街のガラスに
寂しげに映った自分
ムカつくんだ そんな自分も
無関心な世界も
≪サムライハート(Some Like It Hot!!) 歌詞より抜粋≫
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自信を持って前を向けない自分に「ムカつく」。
そして、その腹立たしさは、関心を持とうとしない世間にも向けられています。
自分で動こうとしない。
誰かの心の動きに見向きもしない世界。
それはまさに現代社会ではないでしょうか。
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Hey!! Hey!! 応えて 誰かいませんか?
ずっと探しても 答えないや
Hey!! Hey!! 僕だけが僕を作るなら
「どうだっていい」なんて 思わないで 本当の声を・・
Hey!! Hey!! ひとりじゃ 生きれないだろ?
ハート捨ててまで とけ込めない
Hey!! Hey!! 諦める理由はいらない
君だって 踏ん張って この街で 生きていくんだ
≪サムライハート(Some Like It Hot!!) 歌詞より抜粋≫
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誰も答える人がいなくても、他人に無関心な群衆の人になりたくない。
心をなくしてまで溶け込みたくはないという思いは、自分というものを見失いたくないという強い意志の表れでしょう。
生きにくくても、傷ついても、熱い心を持って生きていきたい。
「サムライハート」というタイトルには、そんな切実な願いが込められているのだと思います。
「侍」のように熱い魂を歌った「サムライハート」が「銀魂」にハマる理由

歌舞伎町の人たちは自由でバラバラで、好き放題やっているように見えますが、実は強い絆で結ばれています。
無責任でヘラヘラ生きているように見える坂田銀時が、お登勢のために立ち上がるシーンは、まさにそれです。
おしゃべりでなんでも軽率に口にしてしまう銀時が、この時ばかりは一人で抱え込み、神楽にも新八にも相談しようとしない。
いざとなった時には自己犠牲を払ってしまう銀時の悪い所を万事屋の二人に責め立てられるシーンは、三人の絆の深さがよく伝わるシーンです。
孤独と戦う歌でありながら、孤独ではない万事屋が活躍する『銀魂』の主題歌に起用しているところにセンスを感じます。
タイトルにもなっている「サムライハート」という言葉には「侍」という言葉が含まれていて、『銀魂』はまさに侍たちが主人公。
侍が活躍する『銀魂』と相性がいいのは当然のことなのです。
さらに、現代を生きながら、侍のように熱い心を抱えて生きる「僕」。
熱いハートを『サムライハート』というタイトルで表現した意味の深さを感じます。
隣にいる「君」とも会話のキャッチボールがままならず、一人ではないのに孤独を感じてしまう「僕」。
溢れかえる群衆に語りかけても、応えてくれる人はいない。
広い世界にたった一人立っているような孤独と戦いながら、自分でいることを諦めないという強い決意を歌い上げる楽曲は、聞く人に勇気を与えます。
『サムライハート』は、「Some Like It Hot!!」という表記と並列されています。
これは「お熱いのがお好き」という、有名な映画のタイトルと同じ意味になるようですが、どれだけ冷めた時代でも、熱い気持ちだけは見失わないように、という誓いが込められているのかもしれません。
人より目立つことを嫌い、努力や熱さが敬遠されがちな時代。
だからこそ、自分というものを見失わない強さが大切なのでしょう。
この曲が何年経っても色あせない理由が分かる気がします。