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柏原芳恵「春なのに」歌詞の意味を考察!卒業を軸に別れを描く意味を徹底解説

柏原芳恵『春なのに』は、1983年にリリースされました。中島みゆきが作詞作曲を手がけた春の名曲は、時を経ても色褪せることはありません。シンプルなのに聞いた人の心に残り続ける理由を、歌詞の意味から読み解いていきます。

シンプルなのに心に刺さる「春なのに」の魅力を考察

柏原芳恵『春なのに』は、1983年1月11日にリリースされた12枚目のシングルです。

何度もカバーされているため、原曲を知らずとも、カバー楽曲を耳にしたことのある人は多いかもしれません。
▲柏原芳恵-春なのに【YouTube Topic】

中島みゆきが作詞作曲を手がけたこの曲は、春の歌の代表とも言えるのではないでしょうか。

卒業シーズンを迎えるこの時期になると思い出される名曲です。

学生同士の淡い恋。

好きな人と一緒に過ごす時間を、卒業というイベントが終わらせてしまう。

2人の恋が卒業しても続いていくのかどうか、期待と不安が入り交じる空気感が、若い恋の危うさと瑞々しさを感じさせます。

春に別れる好きな人への思いを歌ったこの楽曲。

タイトルも歌詞も非常にシンプルですが、シンプル故に揺るぎない、普遍的な魅力を放っています。

では、この曲の魅力は一体どこにあるのか。

歌詞を深堀しながら考察していきましょう。

季節と裏腹に訪れる別れの物悲しさ


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卒業だけが
理由でしょうか
会えなくなるねと
右手を出して
さみしくなるよ
それだけですか
むこうで友だち
呼んでますね
≪春なのに 歌詞より抜粋≫
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春は卒業シーズンであり、入学シーズンでもあります。

出会いと別れが混在する季節だからこそ、春の歌にしかない物悲しさがあるのかもしれません。

柏原芳恵『春なのに』は言わずと知れた春の名曲。

なのに」と言っているように、春という季節が持つ希望を打ち消すような歌詞が胸に迫ります。

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流れる季節たちを
微笑みで送りたいけれど
≪春なのに 歌詞より抜粋≫
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卒業して友達と会えなくなるということなら、よくある話。

春という季節がもたらす別れを素直に受け入れようとしてできないもどかしさが溢れています。

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春なのに お別れですか
春なのに 涙がこぼれます
春なのに 春なのに
ため息 またひとつ
≪春なのに 歌詞より抜粋≫
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春は温かく、希望溢れ、出会いの季節でもあります。

また、恋愛における春は、ポジティブな関係を想像させるもの。

しかし、この2人に春は訪れないようです。

やっと春という暖かい季節がやってきたのに、2人の心は離れていく。

春という季節が眩しすぎて、理想と現実の狭間で、ため息が止まらないのでしょう。

卒業を軸に別れを描く意味


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卒業しても
白い喫茶店
今までどおりに
会えますねと
君の話は
なんだったのと
きかれるまでは
言う気でした
≪春なのに 歌詞より抜粋≫
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卒業しても会えると思っていた相手に、「会えなくなるね」と言われる気持ちはいかほどでしょうか。

自分は、会えると思っていたのに、相手はそうではなかった事実。

その気持ちのすれ違いこそ、この曲の持つ物悲しさなのです。

伝わっていると思っていた気持ちが一方通行だとわかった時、彼女の恋は終わったのでしょう。

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記念にください
ボタンをひとつ
青い空に 捨てます
≪春なのに 歌詞より抜粋≫
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卒業の記念に好きな人から第2ボタンを貰うというのはよくある風景ですが、そのボタンを「捨てます」というところに、別れへの覚悟が滲んでいるようです。

晴れやかな青い空と、ボタンを捨てるという行為が、春の明るいイメージと真逆を行く別れをより印象付けますね

卒業を軸に別れを描くことで、学生生活との別れと恋の終わりという、2つの別れを描いているところが秀逸です。

シンプルな歌詞が生み出す「春なのに」の圧倒的な透明感

『春なのに』は、卒業という節目をきっかけに別れを告げる歌です。

卒業後も2人の時間が続くと思っていた彼女から告げるさようならは、とても切なく、重たいもの。

ボタンをもらって捨てるという別れの儀式を行わなければ思いを断ち切れないところも、切なさが込み上げます。

未練があるのは彼女の方で、相手は彼女の悩みにすら気づいていないことでしょう。

この曲に漂う哀愁は、「春」という季節の明るさと相反する「別れ」という出来事はもちろん、自分の思いが伝わらない虚しさにあるのかもしれません。

好きな人と同じ心の温度で、同じ方を向けない悲しさは、繊細な恋心には致命傷となるでしょう。

いつもの喫茶店で伝えた「君の話」を、彼女がどのくらいの勇気と覚悟で伝えたのか。

それに対する相手の答えが「君の話はなんだったの」という見当違いなものであったことは、別れを選択するのに十分な理由になります。

淡い恋が春という始まりの季節に散っていく。

儚くも美しい恋の終わりを「春」「卒業」という分かりやすいキーワードで描いたことが、この楽曲の最大の魅力であり、長年愛される秘訣なのではないでしょうか。

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