「夢の宇宙旅行」は宇宙旅行=人生がテーマ
『夢の宇宙旅行』は、サザンオールスターズの10年ぶりのニューアルバム『THAN K YOU SO MUCH』の中の1曲です。2025年3月19日にリリースされました。
『夢の宇宙旅行』の歌詞の世界を紐解いてみると、宇宙旅行=人生だと考察します。
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オリオン座へのクルーズは
銀河の Highway
飛び交う光で
ハイになって Runaway
遠く冬の空に向かい
ひとり故郷を離れて
窓から見える
地球は青く Fantasy
孤独な闇と
ジェット噴射が Ecstasy
≪夢の宇宙旅行 歌詞より抜粋≫
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「オリオン座へのクルーズ」、「銀河のHighway」など、歌詞の主人公が宇宙を楽しく旅する様子が描かれています。
1人故郷から離れて窓から見る地球は青い。
この歌詞では、宇宙から地球を見る姿が描かれていますが、人々の人生と重ねあう事ができるのではないでしょうか。
故郷から離れて都会へ、または外国へ旅立つ人もいるでしょう。
宇宙旅行=人生として、人々の生活を歌詞にしたためていると考察します。
最初は楽しかった宇宙旅行=人生も、孤独や予期せぬ困難に見舞われることも。
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流れ星の群れを避けて
帰り道は霧の中へ
追いすがる
謎多かりし隕石の舞
≪夢の宇宙旅行 歌詞より抜粋≫
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しかし、トラブルや困難を「霧の中」、「隕石」に例え、それらをかわそうとする姿が描かれています。
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Looking for 火星眺めて
一億光年 Space を航海中
慣れない操縦も It's all right
ブレないスピードで無問題
御守りは Iggy Pop のサイン
≪夢の宇宙旅行 歌詞より抜粋≫
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サビの部分が秀逸。
「なれない操縦でも大丈夫、ぶれないスピードで問題ないよ」と言ってくれる桑田佳祐の声が、聴く人を安心させてくれます。
「ゆっくりでも、不器用でも、自分なりのスピードで生きて行けばいいよ」と、語りかけてくれている気がします。
歌詞に出てくる「御守りはIggy Popのサイン」のように、『夢の宇宙旅行』が、自身の御守り代わりになる人もいるでしょう。
Iggy Popはアメリカ出身のミュージシャン。
『夢の宇宙旅行』のサウンドは、桑田自身が敬愛してきたリトル・フィートやエルトン・ジョン、デヴィッド・ボウイなどへのリスペクトが込められた作品です。
敬愛するミュージシャン陣の中で、歌詞に採用されたのがIggy Pop。
とても良い響きだと感じませんか?
エルトンでも、デヴィッドでも成立しなかったセンスの良さだと思うのです。
「夢の宇宙旅行」沙羅双樹の意味

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虚しいだけの人生なんて
おサラバ!!
惨めなだけの恋愛なんて
ザケんじゃねぇ!!
≪夢の宇宙旅行 歌詞より抜粋≫
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主人公の強く生きようとする姿が描かれていて、聴くほうも奮い立たされます。
「ザケんじゃねぇ!!」という強い言葉も、桑田の歌声によりポップでマイルドになるマジック。
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Looking for 自由求めて
馬頭星雲 Space を巡航中
やる気も燃料も超満タン
報われぬ日々の総決算
あの世に咲く沙羅双樹の花
≪夢の宇宙旅行 歌詞より抜粋≫
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「報われぬ日々の総決算」という歌詞に、人生の終わりに向かっていることがうかがえます。
「あの世に咲く沙羅双樹の花」は、さまざまな世界観を持つ桑田らしいワードチョイスだと感じます。
沙羅双樹とは、寺院などに多く植えられている植物。
仏教では2本並んだ沙羅の木の下で釈尊が入滅したことから般涅槃の象徴とされています。
沙羅双樹という言葉があることで「人生の終わりまで、がんばって生きようよ、やる気も燃料も超満タンでがんばろうよ」というメッセージが込められている気がします。
「夢の宇宙旅行」大谷翔平が登場する意味

最後に登場する「大谷翔平」の歌詞の意味を考察します。
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揺り木馬で居眠りして
目覚めれば僕の小部屋
果てなき宇宙への旅は
ママの呼ぶ声と消えた
目の前に大谷翔平のサイン
≪夢の宇宙旅行 歌詞より抜粋≫
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実は、今までの歌詞の中の出来事は夢だったというオチ。
居眠りから目覚めたら目の前に飛び込んできたのが大谷翔平のサインだった。
『夢の宇宙旅行』での夢は「眠っている間に見る夢」と「現実で思い描く夢」とのダブルミーニングがあると考察します。
大谷翔平は、メジャーリーグで活躍するという、自身の大きな夢をかなえた素晴らしい野球選手。
まさしく夢の象徴のような人物です。
最後に大谷翔平を登場させることで「彼の様に自分の夢に向かってがんばろうよ、自分の人生を生きようよ」というメッセージにつながる気がします。
「夢の宇宙旅行」は聴く人に元気を与える人生の応援ソング
サザンオールスターズの『夢の宇宙旅行』は、宇宙旅行を人生になぞらえ、さらに、眠っている間に見る夢と現実で思い描く夢とをリンクさせています。言葉遊びが秀逸な桑田佳祐ならではの歌詞がとても魅力的です。
聴けば聴くほど、彼の言葉の真意が伝わるのではないでしょうか。
『夢の宇宙旅行』は、今を生きるすべての人たちに贈る人生の応援ソングと言え、聴く人に元気を与えるでしょう。
1978年6月25日にシングル『勝手にシンドバッド』でデビュー。 1979年『いとしのエリー』の大ヒットをきっかけに、日本を代表するロックグループとして名実ともに評価を受ける。 以降数々の記録と記憶に残る作品を世に送り続け、時代とともに新たなアプローチで常に音楽界をリードする国民的ロ···
