1. 歌詞検索UtaTen
  2. コラム&特集
  3. ボーカロイド
  4. いよわ feat. 初音ミク

いよわ「わすれモノ」歌詞の意味を考察!アーティストとして伝えたい想いとは?

数々の名曲を生み出すボカロPとして活躍するいよわによる注目曲『わすれモノ』。忘れることや忘れられることをテーマにした、アーティストとしての切実な心情が伝わる歌詞の意味を考察します。

アーティストとして感じる苦悩

2025年4月1日に投稿された、いよわによるボカロ曲『わすれモノ』。

アップテンポのジャズ調でありながら切なさを感じるメロディが印象的な楽曲となっています。

アイドルの少女の物語が漫画風に描かれているMVも注目を集め、Billboard JAPANの「ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20」にて自身5作目の首位獲得曲となりました。

▲いよわ feat.初音ミク-わすれモノ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

今作ではタイトルにもある通り、忘れることや忘れられることがテーマとなっており、ファンの考察を呼んでいます。

数々の人気曲を生み出すボカロP・いよわの想いが垣間見える歌詞の意味を考察していきましょう。

----------------
全部忘れてしまいました

当然に熱を持ってる
光線がプリズム越し
重なり合って見えました
まぶしい!(x5)
幾千の人の前で 衣装を着て歌い踊ってる
想像がつきますか
おかしい!おかしい!おかしい!おかしい!おかしい!って
言われるような気がしました
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

冒頭から「全部忘れてしまいました」とストレートに告げられています。

MVではアイドルがステージ上で頭を下げているシーンとなっていることからも、忘れるということが他者にも影響を与える重大な出来事として表現されていることが伝わってきます。

このアイドルとファンの関係を、いよわを含めたアーティストとファンという括りに変えて考えてみましょう。

ファンは「当然に熱を持ってる光線」のような熱視線を絶えず向けています。

「プリズム越し 重なり合って見えました」という表現から、ネットを介して飛び交うファンの熱狂的なコメントを見ていることを指しているのかもしれません。

実際のステージに上がっていようとボカロ曲の動画が投稿されようと、どちらも「幾千の人の前で 衣装を着て歌い踊ってる」状態です。

注目度が上がれば上がるほど、好意的な視線だけでなく「おかしい!」と非難する攻撃的な視線も感じます。

----------------
おひとよし
さえぎった挨拶の
ゆきどまり
透けていく泣き虫と
アイデンティティ
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

それでも緊張を飲み込んで、ファンを楽しませようと励んできました

そのうち、徐々に自分がやりたかったことが何なのか、何をしようとしていたのか分からなくなったのでしょう。

「泣き虫」の弱い自分が透けて見えてくると同時に、アーティストとしての「アイデンティティ」が透けて消えていくように感じていることが読み取れます。

----------------
透明になってしまいました
全部忘れてしまいましたけど
見捨てないでくれますか
叱らないでくれますか
空になったお菓子箱みたいな
引きちぎって床にまいた折り紙みたいな光景に
ビビってしまいました
ひどく疲れてしまいましたから
何もないがありました
振り絞ってはいますが
喉まで出かかった言葉
だけどやっぱ言えないや
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

「透明」になるということは、その人の魅力ともいえる個性や信念を失ってしまった状態なのでしょう。

そのような状況でも「見捨てないでくれますか 叱らないでくれますか」と問いかけるのは、そうであってほしいと強く願い期待しているからです。

「空になったお菓子箱」は、楽しくてワクワクした気持ちの余韻と全てを失った寂しさを感じさせます。

また「引きちぎって床にまいた折り紙」は、混乱と美しさの両方を感じさせる表現です。

全部忘れてしまっても心の中にはこれまで味わった楽しい記憶や美しい思い出が残っていて、見捨てないでいてくれるファンに戸惑いつつも安堵しているような入り乱れた心情をイメージさせます。

「何もないがありました」のフレーズは、まったく何も残っていないことを意味しているのでしょう。

大きな "わすれモノ”をしたため、自信が持てず言いたい言葉を言えないでいるもどかしい様子も見えてきますね。

昔のわたし消えちゃいました


----------------
現実は小説よりも
機能的で 危機的らしいと
聞きなれておりました
だまし だまし 暮らしの端をかじって
お腹がくるっとすきました

かくしごと
冷めきった伝説の
さらしもの
閉じ込めていく恥の安全装置
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

「現実は小説より奇なり」という言葉がありますが、実際には小説のように驚くような展開と出会うことは少ないでしょう。

「聞きなれておりました」と表現されているため、1番の劇的な展開は小説の中の物語だったのか古い過去の出来事なのかもしれません。

「だまし だまし 暮らしの端をかじって」その日暮らしをしている今の主人公にとって現実はもっと味気なく、空腹を満たすことの方が重要です。

1番のシーンが過去の出来事だったとすると、かつて大失敗しても受け入れられた記憶は「冷めきった伝説」といえます。

落ちぶれた今となっては「恥」と感じていて、心を守るために過去の栄光を隠していると考えられます。

----------------
亡霊になってしまいました
昔のわたし消えちゃいましたけど
思い出してくれますか
懐かしんでくれますか
濁りきった混ざりものみたいな
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

輝きを失った自分はまるで「亡霊」のようです。

「昔のわたし消えちゃいました」とも語っていて、失ったものの大きさに呆然としているような雰囲気も感じられます。

そして、表舞台から姿を消した自分を「思い出してくれますか 懐かしんでくれますか」と問いかけています。

もっと多くのものを過去に置き忘れてきた今の自分を思い出してくれる人がいるのだろうかと考えているのでしょう。

これはアイドルなら引退した後の様子と捉えられます。

また、アーティストなら人気が出た当初の作風やスタイル、考え方が変わってしまった状況とも解釈できますね。

多くの人に受け入れられていたときとは変わった自分でも、変わらず認めてもらえるだろうかと不安になるのは当然のことでしょう。

----------------
堰を切ってあふれだした吐しゃ物みたいな感傷に
浸ってしまいました
ひどく疲れてしまいましたから
何もないがありました
悔しがってはいますが
舌の上くつろいだ言葉 味がなくて飲み込んだ
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

「濁りきった混ざりもの」や「堰を切ってあふれだした吐しゃ物みたいな感傷」という表現は、自分の新しいスタイルを貫きたいもののファンの反応が気になる複雑な感情を表していると思われます。

「何もない」と言いながらも、多くのものを心に抱えていることを感じさせます。

「舌の上くつろいだ言葉」のフレーズは、1番で言えなかった言葉をいつ言おうかとタイミングを見計らっているうちに言えずにいる時間が長くなっていることを示していると解釈できそうです。

言えないことを悔しく思う気持ちは本当ですが、それを乗り越えられるほど強くはなれずにいます

自分を受け入れることで前に進める


----------------
きれいなものばっか見てたな
あの人達みたいに生きられたらなあ
情けないや
涙でいっぱいの視界に
色がついてた
風が吹いてった
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

全てを失くしたと感じて「きれいなものばっか見て」過ごしていると、「あの人達みたいに生きられたらなあ」と羨望の気持ちが湧き出してきます。

それと同時に自分の情けなさも痛感し、視界が涙であふれているようです。

しかし、それは悪いことばかりではありません。

自分の弱さを認めたときに周囲は色づいて見え、何かの始まりをもたらすような風が吹き抜けるのを感じます。

それは新たなスタートを切るのに大切な時間でした。

----------------
透明になってしまいました
ついに隠れてしまいました
けど居なくなってくれないんだ
「これで全部やめですか?」
空になった頭にアンコールが
鳴り響いてた
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

忘れているということは、いつか思い出せる状況にあるということでもあります。

自分の個性を見失って初心を忘れてしまっても、心の隅にはきっと夢を抱いたときの気持ちや未来への前向きな想いがまだ残っているはずです。

「居なくなってくれないんだ」というフレーズからも、そのことを自覚していることが読み取れます。

「これで全部やめですか?」と問いかけるのは、おそらく輝いていたときの自分自身。

紙吹雪が舞うステージで沸き立つ「アンコール」を思い出し、心が駆り立てられます。

----------------
透明になってしまいました
ヤケクソになってしまいました
わたしのことが見えますか
はじめまして徒桜
空になったお菓子箱みたいな
何もなくて夢があった
あの頃みたいな冒険に
ビビってしまいました
だけど惹かれてしまいましたから
何もない、も自分でした
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

何もかも吹っ切れた後には「ヤケクソ」で思い切った行動が取れるでしょう。

「徒桜」とは散りやすい桜の花のことで、儚いもののたとえとして用いられます。

そのため、「はじめまして徒桜」は反応が変わりやすいファンへの挨拶と考えられるでしょう。

透明になって新しい自分をさらけ出した「わたしのことが見えますか」と、リスナーに語りかけています。

続く部分では、「空になったお菓子箱」は「何もなくて夢があった」と表現されています。

目の前には空の箱しかありませんが、その箱が魅力的なお菓子が詰まっていた記憶やまた満たされる期待などの夢を感じさせるものです。

透明になった今の自分も同じで、「何もない」ことも自分らしさだと気づいたらこれから何でもできそうな気がします。

----------------
オチはまだ先ですが
喉まで出かかった言葉

友達になってくれ…、ま、…すか。
≪わすれモノ 歌詞より抜粋≫
----------------

「オチ」は引退を示唆したものと解釈できるでしょう。

まだ先の長いアーティスト人生の途中で今まで飲み込んできた言葉を吐き出すことをどう見られるかは分かりませんが、今は正直に言いたくなります。

ついに出た「友達になってくれ…、ま、…すか。」という言葉は、自分を受け入れてほしい気持ちの表れです。

力を振り絞るように途切れ途切れに伝える様子から、元々の弱さを抱えながらも前進しようとする気持ちが読み取れます。

新たなステージへと背中を押してくれる!

いよわの『わすれモノ』は、過去を見つめ未来に向けて進もうとする気持ちが感じられる楽曲です。

初心を忘れてしまうことも、自分を愛してくれていた人たちから忘れられることも怖いものですが、自分の心の声を聞いてその怖さを認めた先に輝ける新たなステージが待っているのかもしれません。

新生活で不安が多い方や現実が思い描いた通りにならず苦しんでいる方は、ぜひこの曲を自分のことと捉えて前に進む力にしてください。

この特集へのレビュー

この特集へのレビューを書いてみませんか?

この特集へのレビューを投稿

  • ※レビューは全角500文字以内で入力してください。
  • ※誹謗中傷はご遠慮ください。
  • ※ひとつの特集に1回のみ投稿できます。
  • ※投稿の編集・削除はできません。
UtaTenはreCAPTCHAで保護されています
プライバシー - 利用契約