離婚伝説「紫陽花」がドラマ主題歌に起用
離婚伝説『紫陽花』はTBS系ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』主題歌です。2025年4月9日に配信リリースされました。
専業主婦の村上詩穂(多部未華子)が、子供と2人きりの日々に奮闘したり孤独を感じたりする姿がリアルで印象的なドラマ。
専業主婦への偏見や周りの声、男性の育休や、働きながら子育てをする女性の孤独や負担など、現代社会の問題を正面から描いています。
楽曲タイトルにもなっている紫陽花は、ドラマにも登場する印象的な花。
ドラマで描かれる孤独だけでなく、現代社会を生きる人々が抱える生きづらさを、ふっと楽にしてくれるような歌詞です。
この曲の魅力を、歌詞を掘り下げながら分析していきましょう。
紫陽花がすくい上げる詩穂の孤独

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気付けば
いつの間にか大人になって
探してたものも見つからないまま
ぼんやりと空を見てたんだ
≪紫陽花 歌詞より抜粋≫
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大人になると、子供の頃見えていた景色とは違って見えて、なんだか遠くまで来てしまったような気持ちになりますよね。
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困ったな
今日からしばらく雨だって
傘も差さずにどこへ行くの?
ってさ、話しかけてくれたんだ
≪紫陽花 歌詞より抜粋≫
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紫陽花は、ドラマの中でも象徴的な存在です。
ワンオペ育児に追い詰められていた詩穂が、同じ団地に住む専業主婦・坂上知美に声をかけてもらい、心を救われるシーンがありますが、そのシーンにも紫陽花が登場しました。
紫陽花は主婦に似ている。
というセリフが印象的なシーンです。
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繋いだ手を離さずに
ぎゅっと握って笑ってくれた
いつかきっと巡り逢う
誰かに返せるように
≪紫陽花 歌詞より抜粋≫
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苦しい時間も、時が経てば幸せな時間の一部として振り返れる。
そんな風に思えるには、心の余裕が必要です。
張り詰めた心にふっと余裕を与えてくれる人がそばにいるだけで、辛い日々も乗り切ることができるのでしょう。
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同じ空を見上げているんだ
僕らは雨に打たれながら
それでも明日を照らしてる
七色に咲く花のように
≪紫陽花 歌詞より抜粋≫
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自分一人で頑張っているように感じても、一人ぼっちじゃない。
周りを見渡せば、助けてくれる人は意外と近くにいるのかもしれません。
ドラマでは、一人で育児に向き合い、追い詰められていく人たちが描かれています。
人知れず咲く紫陽花に力をもらう詩穂のように、自分の頑張りは無駄ではないと信じて、前を向いて歩けるように。
そっと背中を押してくれる歌詞です。
優しさの連鎖で少しだけ優しい世界に

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気付けば
いつの間にか雨は上がって
日差しを浴びた花たちもまた
鮮やかに見えたんだ
なんだか
背中を押してくれた気がして
歩き続けたこの日々も
大切に思えたんだ
≪紫陽花 歌詞より抜粋≫
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辛い日々は続かないし、努力は報われる。
そんなことに気づけた日は、これまでの孤独が無駄ではなかったと思えますよね。
苦しみの中にいる時には気づきもしなかった小さな幸せや愛おしさがそこにはあったと、振り返った時に初めて気づけるのでしょう。
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ずっと探していた
幸せはいつでも側にあって
繋いだ手を離さずに
ぎゅっと握って笑ってくれた
いつかきっと巡り逢う
誰かに返せるように
≪紫陽花 歌詞より抜粋≫
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自分が人からもらった優しさを、他の誰かに渡せるように。
心が満たされた時に初めて、人は人を思いやることができます。
目の前のことでいっぱいいっぱいの時には目を向けられなかった他人。
優しさのバトンを繋ぐ。
そんな人と人との繋がりの大切さを教えてくれる歌ですね。
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同じ空を見上げているんだ
僕らは風に吹かれながら
それでも明日を照らしてる
どれだけ遠く離れても
心は繋がってるんだって
あなたがいつも教えてくれたこと
大事にしまってたんだ
気付けばいつの間にか大人になって
こうして会えたから
≪紫陽花 歌詞より抜粋≫
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大切な言葉をくれた人。
心の支えになってくれた人。
人が生きていくためには、目に見えないたくさんの支えが必要です。
長年会えていなくても、毎日会えていても。
特別でもさり気なくても。
誰かの支えによって今日まで歩いて来られた。
そんな、忘れがちな大切な気持ちを思い出させてくれますね。
「紫陽花」が意味するもの

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昨日までの自分とは
そっとさよなら
上手くは言えないけど
これからもずっと側にいて
七色に咲く花のように
≪紫陽花 歌詞より抜粋≫
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傷ついた日々も、誰かを傷つけた日々も。
素直になれない自分も。
昨日までの自分とさよならをして、今日からは新しい自分に。
目の前にある幸せを大切に。
目の前に居てくれる人を大切にできる自分でありたい。
『紫陽花』は、専業主婦や専業主夫、ワーママなど、ドラマで奮闘する一人一人を応援すると共に、現実世界で生きる私たち一人一人の背中をそっと押してくれているような歌です。
「七色に咲く花のように」という歌詞は、それぞれの悩みを抱えて生きる人たちとも重なります。
十人十色。
「紫陽花」というタイトルには、違う個性を持った人たち、それぞれの人生を照らす意味もあるのかもしれません。
結婚していてもいなくても。
子供がいてもいなくても。
毎日を生きるということは、ある種の戦いでもあります。
嬉しくなったり落ち込んだりしながら、一歩一歩進むしかない日々。
そんな日々にため息をつくのではなく、紫陽花のように優しい心で、日々を過ごせたら。
聞いていると、ほんの少しだけ心が丸くなれるような気がします。
まさに紫陽花の時期。
時にはじっくりと花を愛で、この歌に耳を傾けて、心を休ませてあげるのもいいかもしれません。