Aoooが手がける爽やかで切ないラブソング
男女4人組ロックバンド・Aoooが2025年4月16日にリリースした1st EP『Fooocus』は、メンバー全員が作詞作曲を行った全4曲が収録されています。『フラジャイル・ナイト』は収録曲の1つで、ボーカルの石野理子が作詞、ベースのやまもとひかるが作曲した楽曲です。
乃木坂46の賀喜遥香と筒井あやめがW主演を務める木ドラ24『量産型ルカ -プラモ部員の青き逆襲-』のオープニングテーマに起用されています。
『量産型ルカ -プラモ部員の青き逆襲-』は、高校のプラモデル部が舞台で、性格も好みも違う2人のルカによる、高校生活最後の青春を描くホビー・ヒューマンドラマ。
そのオープニングを飾る『フラジャイル・ナイト』ついて、Aoooは「過ぎ去った輝かしい日々や、忘れられない大切な人への切ない思いを歌った曲」とコメントしています。
青春と恋に共通する胸が締め付けられるような感情が垣間見える、疾走感あふれるラブソングとなっています。
どのような内容になっているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
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届かないほど確かめるほど
密かに溶けるように
揺れる心がこの夜に包まれていく
≪フラジャイル・ナイト 歌詞より抜粋≫
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主人公は片思いをしていて、愛する人に想いが届かないことを憂いているようです。
希望を捨てきれずに確かめてみますが、結局片思いでしかないと痛感するばかりなのでしょう。
諦めたくはないのに想い続けるのはつらく、心が揺れます。
「密かに溶けるように 揺れる心がこの夜に包まれていく」という表現から、心が夜の闇に溶けてしまうように暗く落ち込んでいる様子をイメージできますね。
春の訪れに叶わない恋を想う

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胸騒ぎする真夜中
春が舞い込む窓辺に
静かに変わっていく温度
消せない印
夢で描いた2人は
初めて会った頃と変わらないのに
何処か褪せたようで
≪フラジャイル・ナイト 歌詞より抜粋≫
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冬から春へと季節が変わる頃、主人公は真夜中の窓辺に佇んでいます。
暖かくなってきた風を感じながら、胸騒ぎを覚えているようです。
「消せない印」という言葉から、かつての恋が心に強く残っていることを感じさせます。
夢に出てくる2人の姿は「初めて会った頃と変わらない」ほど鮮明ですが、「何処か褪せたよう」に思えるのは時間が経ってしまったからでしょう。
季節が変わり、大切な思い出が遠のいていくように感じたために、変化や忘れる怖さから心が騒めくのだと思われます。
タイトルの「フラジャイル・ナイト(fragile night)」は、訳すと「壊れやすい夜」となります。
ずっと夜であれと願っても朝が来るように、どうにもならない時間の流れの中で生きる人の儚さを表現しているのかもしれません。
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閉じた瞼の裏側で広がる
思い出はまだ熱を帯びたままで
あぁ 痛いくらい 君が好きだった
最初からきっと叶わないこと
気付いていたはずなのに
臆病な恋が春風に攫われていく
≪フラジャイル・ナイト 歌詞より抜粋≫
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瞼を閉じれば、今も「思い出はまだ熱を帯びたまま」。
「あぁ 痛いくらい 君が好きだった」という言葉から、主人公の切実な愛情が伝わってきます。
それでもその恋が「最初からきっと叶わないこと 気付いていたはず」とも歌われています。
どれほど深く愛していてもその想いが通じるとは限らないのに、人は誰かを愛さずにはいられません。
届けることもできず心の中で燻っているだけの「臆病な恋」を抱える主人公の肌を、春風が撫でていきます。
移り変わる季節と取り残された恋心への切ない想いが垣間見えるでしょう。
美しい記憶が胸を締め付ける

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傷が深くならないように
弱さが見透かされないように
蓋をするように無口になる
≪フラジャイル・ナイト 歌詞より抜粋≫
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人生の様々な場面で人は傷付きます。
それは逃れられないことなので、それ以上「傷が深くならないように」身を守りたいと思うでしょう。
また傷はその人の弱さのため、「弱さが見透かされないように」傷を隠したいとも思います。
それで主人公は「無口になる」ことで自分を守っているようです。
誰の心にもある弱さや脆さが表現されているように感じます。
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夢を見過ぎていたようで
美しさだけを残して
過ごした時が胸を締め付ける
≪フラジャイル・ナイト 歌詞より抜粋≫
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この部分では、主人公がかつての恋の相手と再会した様子を描いているのかもしれません。
過去の記憶は大抵、美化されるものです。
詳細に思い返してみると何でもないようなことも「美しさだけを残して」心に残ります。
もう取り戻せないから「過ごした時が胸を締め付ける」のでしょう。
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そっと触れた手のひらは冷たくて
2人の間に隙間風が吹き込む
あぁ 知らない姿を見た
≪フラジャイル・ナイト 歌詞より抜粋≫
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「そっと触れた手のひらは冷たくて」、記憶の中にある温かさや思い出の熱とは異なります。
「2人の間に隙間風が吹き込む」というフレーズは、決して埋まらない溝を示していると解釈できるでしょう。
こうしてまた最初から叶わない恋だったことを思い知らされます。
「知らない姿を見た」ときの寂しさや憧れが混ざった気持ちが伝わってきますね。
「フラジャイル・ナイト」で春の風を感じよう
Aoooの『フラジャイル・ナイト』は、過ぎ去った大切な時間を想う切ない気持ちが表現された楽曲です。この歌詞から、時間は有限だからこそ目の前にある貴重な時間や出会いをもっと大切にしようと思えるのではないでしょうか。
ぜひドラマのストーリーや自分自身の人生と重ね合わせながら、この春の風を感じるラブソングをじっくりと聴いてみてくださいね。