大切な人のためなら悪魔にでもなれる
中毒性の高さが持ち味の神戸発ロックバンド・フレデリックが2025年7月2日にリリースした『悪魔』は、TBSの深夜ドラマ枠「ドラマストリーム」にて放送の尾碕真花と松本怜生W主演ドラマ『シンデレラ クロゼット』のために書き下ろされた楽曲です。柳井わかなによる同名漫画原作の『シンデレラ クロゼット』は、地方から上京してきた女子大生が美しい女装男子と出会い、メイクやファッションで自信をつけていく新感覚青春ラブストーリー。
主人公たちが好きな人のために変わってみようと努力する姿から、主題歌の『悪魔』は“大切な人のためならなんにでもなれる”をテーマにしているそうです。
フレデリックらしい軽快でキャッチーなダンスナンバーとなっていて、タイトルのイメージとは裏腹にポジティブな気持ちが伝わってきます。
タイトルがどのように関連するのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。
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春の風に咲くやさしさが
たとえ偽物と嗤われても
君が真実というならば
私悪魔にでもなれそうだ
≪悪魔 歌詞より抜粋≫
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「春の風に咲くやさしさ」という表現から温かく穏やかなイメージが伝わってきます。
これは他人からの好意を表現しているのかもしれません。
主人公はある人と新しい恋が始まりそうな心地よい関係を築いていますが、周囲はそれを「偽物」と言って嗤うような反応を見せています。
そのような反応をされると、臆病になってしまう人の方が多いでしょう。
しかし主人公は「君が真実というならば 私悪魔にでもなれそうだ」と語っています。
相手のことを本当に信頼し愛しているため、道を踏み外したっていいとさえ思っているようです。
周囲の言葉なんて関係なく、自分の想いを大切にする気持ちが読み取れます。
ささやかな花束が自信をくれた

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心を引っ掻いた 心を引っ掻いた
無神経な痛みが夜空を彷徨っていた
人と違ったって 人と違ったって
≪悪魔 歌詞より抜粋≫
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主人公は元々愛の深い人であったわけではないのでしょう。
「心を引っ掻いた 無神経な痛み」を負い、苦しんだ過去があるようです。
「人と違ったって」というフレーズから、人と違うことで否定されたり傷つけられたりしたと解釈できます。
「未完成な自分だって愛せると思っていた」とあるように、その経験のせいでありのままの自分を受け入れ愛したいと願いながらもうまくいかずに悩んできたことが見て取れます。
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一層 飛び交う銃声 まるで侘しさの流星
孤独に付き纏う 自己顕示欲と劣等感か
なぁそれより聞いて ささやかな花束なんです
君とならばなんにでもなれるわ
≪悪魔 歌詞より抜粋≫
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「一層 飛び交う銃声」とは、周囲から投げかけられる否定的な言葉だと考察できるでしょう。
主人公はそれを「侘しさ」や「孤独に付き纏う 自己顕示欲と劣等感」によるものと考えているようです。
満たされない孤独を抱えているから、自分とは異なる人を批判し自分のプライドを保とうとするのかもしれません。
その中で与えてもらった優しさという「ささやかな花束」が、主人公に変わる勇気をくれたのでしょう。
だから「君とならばなんにでもなれるわ」と自信を持って言えます。
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颯爽と突っかかって光よ
夜の果てに咲く悪魔で候
≪悪魔 歌詞より抜粋≫
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世間から認められないのなら、常識に「颯爽と突っかかって」いく覚悟があります。
「夜の果てに咲く悪魔」のように、自分の意思を気高く貫こうとする想いが伝わってくるようです。
自分らしくこの想いを貫きたい

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軽快に掻っ攫ってしまえよ 自由を
侃侃諤諤 変幻自在に
全部違って光っていたいよ
≪悪魔 歌詞より抜粋≫
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「侃侃諤諤」とは、多くの人が集まって自分の正しいと思うことを遠慮なく堂々と主張し議論することを表す言葉です。
周囲にどう見られるかを気にして自分の意見ややりたいことを隠すよりも、他人と違う自分を受け入れ、輝くために努力する方が人生は楽しいでしょう。
「軽快に掻っ攫ってしまえよ 自由を」のフレーズも、自分らしくいられる自由を手にするために闘えと鼓舞してくれるように感じます。
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未開を掻っ捌いてしまえよ 理想郷へ
年年歳歳 明暗 歌いたい
全部奪って踊っていたいよ
≪悪魔 歌詞より抜粋≫
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まだ知らない「未開を掻っ捌いて」進んでいけば、自分の「理想郷」に近づけるはずです。
そのために、来る年も来る年も思いのままに歌い踊りたいと思っています。
明暗も善悪も関係なく、全てを欲しいままに奪い人生を謳歌しようとする力強い想いが垣間見えます。
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きっと ふたりの関係 荒地に咲く新たな文明
新夜にしけこむ 砂を噛む日々の窃盗犯だ
なぁ隣で舞って 幾度なく光放って
何が悪か天国か地獄か
≪悪魔 歌詞より抜粋≫
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好きな人ために悪魔にすらなってもいいと思えるほどのふたりの関係は「荒地に咲く新たな文明」のように革新的で、きっと人生を揺るがすものになるでしょう。
砂を噛むような味気ない日々を抜け出すため、手にしたこの恋を貫くつもりです。
愛する人にはいつも隣で自由に輝いていてほしいと願っているのでしょう。
「何が悪か天国か地獄か」は分からないものの、一緒にいられること以上に大切なことはありません。
その結末がどうなるとしても真っ直ぐに注がれる純粋すぎるほどの恋心に、愛の力を感じます。
爽やかなラブソングで恋を楽しもう!

フレデリックの『悪魔』には、好きな人のために変化することを厭わない実直な愛が綴られています。
爽やかなメロディと温かみのある歌声が歌詞を柔らかく包み込んでいて、恋の高揚感が感じられるのではないでしょうか。
ドラマと一緒に楽しんだり自分の恋の糧にしたりしながら、楽曲を楽しんでくださいね。