「夏の影」は「キリン午後の紅茶」CMソング
Mrs.GREEN APPLEの『夏の影』は、2025年8月11日にリリースされたデジタルシングルです。「キリン 午後の紅茶」夏の新CMに起用されており、目黒連、中条あやみの出演と共に話題に。
夏の情景と共に描かれるCMは、青春の甘酸っぱさ、儚さを感じ、誰もがあの夏の記憶が蘇り、ノスタルジックな気持ちになるでしょう。
大人になって振り返るあの夏。
青春のきらめきとせつなさが感じられます。
「夏の影」ノスタルジックなMVにも注目
Mrs.GREEN APPLEのメンバーが出演するMVは、日本の原風景を感じさせる場所で撮影されています。
田んぼに囲まれた道、古民家、風になびく風鈴。
虫捕り、水遊びをする子どもたち。
青い空に白い雲、花火。
そうめん、水で冷やしたスイカと夏野菜。
日本の夏を象徴する場面の数々が『夏の影』の世界とピッタリで、涙が溢れそうになります。
ノスタルジックな記憶を呼び起こさせ、せつない気持ちになりますが、それは、悲しいのではなく、なぜか温かさを感じるのです。
それはきっと、記憶の残像と共に、夏の思い出が明日への希望につながっているからです。
なぜ、そう感じるのか『夏の影』の歌詞を詳しく考察していきます。
夏の記憶と共に描かれる明日への希望

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吹いた
そよ風が
夏を揺らすの
伸びた
影が
限りを知らせるの
≪夏の影 歌詞より抜粋≫
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そよ風が心地よく吹く夏の1シーン。
ここの部分ではバックに蝉の鳴き声が使われており、より夏らしさを感じます。
時間の経過と共に伸びていく影。
時間に限りがあること、すなわち時は永遠ではないことを意味し、せつなさを感じさせます。
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汗ばんだ
シャツで
未来を語るの
ゆっくりと
ゆっくりと
見えない速さで
進んでゆく
≪夏の影 歌詞より抜粋≫
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語り合っているのはきっと中高生ぐらいの子。
笑いあい、未来を語っているシーンが浮かびます。
聴く人にとって、自分の「あの頃」の情景が呼び起こされるのではないでしょうか。
子どもの頃、時間は永遠に続くと思っていた。
気づかぬうちに見えない速さで時間は進んでいる。
青春の儚さを感じ、せつなくなります。

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夏の暑さのせいにして
ただ 所為にして
火照った心を隠してる
夏の影のせいにして
また 所為にして
溶けた氷と時間を紡ぐの
≪夏の影 歌詞より抜粋≫
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火照った心は夏のせいだけではないはず。
それは恋をしているから。
火照った頬や気持ちを夏のせいにする、甘酸っぱい恋の記憶が蘇ります。
溶けた氷は時間の経過。
「まだ一緒にいたい」という気持ちを、時間を紡ぐという言葉で表現しているのではないでしょうか。
夏の暑さ、夏の影のせいにすることで、揺れる心を繊細に描いているのだと感じます。
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日に焼けた
肌が
雲を動かすの
無垢な笑顔は
どこまで続いていけるの?
ゆっくりと
ゆっくりと
見えない速さで
大人になってゆく
≪夏の影 歌詞より抜粋≫
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夏の持つエネルギーを感じる歌詞です。
日に焼けた肌と夏の白く大きな雲。
2つが重なることで、夏の陽の強さ、そして情熱を感じることができます。
『夏の影』で描かれるのは、きっと誰の心にもある「あの頃の夏」。
あの頃のように、純粋な気持ちをいつまで保てるのか、そしてそれへの憧れ。
大人の階段を上ることへの不安。
1フレーズでさまざまな感情を感じさせる歌詞です。
時間は流れ、誰もが大人になっていく。
だからこそ、もう2度と戻らない、子どもの頃へのノスタルジーを感じてしまうのでしょう。
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夏の蝉のせいにして
ただ 所為にして
胸につかえた言葉は隠れる
夏の影のせいにして
また 所為にして
まだまだ溶けないで
コップの氷よ
≪夏の影 歌詞より抜粋≫
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蝉の声に隠れた言葉は、きっと恋の告白。
言いたくて言えない言葉を口にして、でも大きな声で言えなくて、蝉の声に掻き消されてしまう。
相手が「えっ?」と聞き返すような甘酸っぱいシーンが浮かびます。
1番で描かれた溶けていく氷は、まだコップの中に残っている。
どうかいつまでもこの氷が溶けないでと願う。
それは、ずっともっと一緒にいたいということの意味。
そして、君と過ごす夏よ終わらないで、という意味もあるのでしょう。

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過ごしていた
あの夏の思い出は
今でも瞼の裏で生きてる
≪夏の影 歌詞より抜粋≫
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大人になって思い返すあの頃の夏。
それは今でも自分を支えている。
さまざまな夏のシーンが今の自分の糧となり、生きる力となっている。
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恋をした
その夏に恋をしていた
あの風はどこかで
あなたに吹いていればいいな
そうだといいな
≪夏の影 歌詞より抜粋≫
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『夏の影』で描かれていたのは、あの夏の恋。
きっと初恋かも知れない。
聴く人の多くが自分と重ね合わせて、甘酸っぱくせつない気持ちになることでしょう。
夏が来るたびに主人公は「あの夏」を思い起こすでしょう。
その恋は叶わなかった。
でも、今でもたいせつな人。
あの頃、自分たちに吹いていたそよ風。
どこかにいるあなたに吹いていればいいな、そうであってほしいという、やさしい歌詞。
このフレーズで、とてもいい恋だったということがわかります。
もう会えなくても、どこにいるのかわからなくても相手の幸せを願っている。
そんなやさしさを感じます。
大人になって振り返るあの夏、あの恋。
それはきっと優しく自分を包んでくれる、あの頃感じた夏のそよ風のような存在ではないでしょうか。
記憶のスクリーンを呼びおこす夏歌「夏の影」

Mrs.GREEN APPLEの『夏の影』は、誰の心にもある「あの頃の夏」へのノスタルジーを思い起こさせる楽曲です。
歌詞で描かれる恋は、せつなさと甘酸っぱさが混在し、聴く人の共感を呼ぶでしょう。
誰もが持つ、夏の記憶のスクリーンを呼び起こす力を持っている楽曲だと思います。
「あの頃の夏」を、自分の糧として生きることができる。『夏の影』は、せつなさの中に強さと希望を感じる夏歌です。
【Mrs. GREEN APPLE PROFILE】 大森元貴 (Vo/Gt) 若井滉斗 (Gt) 藤澤涼架 (Key) 2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム「Variety」でメジャーデビュー。 以来、毎年1枚のオリジナルアルバムリリースと着実なライブ活動を続け、2019年12月から行われた初の全国アリーナツアー「エデ···
