自分の不器用さに落胆する毎日
力強く温かみのある歌声と圧倒的歌唱力でリスナーを魅了し続けているJUJUが、2025年9月10日にCDシングル『小さな歌』をリリース。
7月7日に先行配信された表題曲は、児童相談所を舞台にした福原遥主演の月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』の主題歌として書き下ろされました。
プロデュースに小林武史を迎え、美しいメロディと歌声が織り成す穏やかで心が洗われるような感動的なミディアムバラードとなっています。
どのような内容なのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。
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あの日投げていた 言葉のかけらに
自分が一番 傷ついてたんだ
ほどけた靴ひも 結び直しながら
縮んだ心 隠していた
誰かの正しさを 抱えすぎて
誰より自分に 不器用だったから
≪小さな歌 歌詞より抜粋≫
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誰かに向けた言葉には、様々な想いが込められています。
例えば誰かを助けたくて言う言葉もあれば、自分自身を守ろうとして言う言葉もあります。
そのような悪意のない言葉が誰かを傷つけたり不快にしたりするのを感じると、言った本人が一番傷つくものです。
本当は誰も傷つけたくないのに、無意識に傷つけてしまう自分の不器用さに落胆することがきっと誰にでもあるでしょう。
そうした弱さを知られたくないから、ほどけた靴紐を結び直すように再び気を引き締めて前に進もうとします。
しかし、それは簡単なことではありません。
「誰かの正しさを 抱えすぎて」とあるように、誰かが作った正しさの基準に縛られて自分自身に対して人一倍厳しい見方をしてしまう主人公の生きづらさが読み取れますね。
「ごめんね」よりも「ありがとう」

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ごめんねよりも ただありがとうって
悲しみより 小さな歌を歌うよ
すれ違いさえ あの泣き顔でさえ
灯りに変わると いつの日か知ってきたから
そのメロディ纏まとって
≪小さな歌 歌詞より抜粋≫
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サビには、この楽曲で最も重要なメッセージが綴られています。
失敗して人を傷つけると「ごめんね」と謝罪するのは当然のことです。
しかし、優しい人ほど周囲に気を使いすぎて小さなことでも謝ってしまいます。
それは悪いことではありませんが、自分の心に負担をかけてしまうでしょう。
だから謝るよりも「ありがとう」と感謝の気持ちを言葉にする方が心は明るくなるはずです。
そして世の中のつらい現実を悲しむよりも、大それたことはできなくても自分や誰かがほんの少しでも笑顔になれるような「小さな歌」を歌う方がよいでしょう。
そういう前向きな想いと行動が人の心を癒します。
「すれ違い」や「泣き顔」といった悲しい出来事も、いつかは顔を上げて前進するための「灯り」になります。
自分が誰かのために歌った歌で、自分自身が希望を見出すこともあるものです。
決して無駄なことなどないのだと優しく肯定するようなフレーズが心に沁みますね。
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比べるたびに 置いてきたもの
本当は いちばん欲しかったよ
真新しい日々の 沈黙でさえも
繋がっていた その向こうに
間違えた記憶も 抱きしめてしまう
涙の痕だけは 越えて行きたいから
≪小さな歌 歌詞より抜粋≫
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自分と他人を「比べるたびに 置いてきたもの」とは、自尊心かもしれません。
自分に認められるところがあればポジティブな気持ちになって意欲が湧いてきますが、他人と比べて自分の欠点にばかり目が向くと自分自身を責めるような気持ちになってしまいます。
しかし誰もが様々な欠点や苦悩を抱えていると同時に、あふれるほどの魅力を持っています。
何もできず足踏みする日も間違った行動を取ってしまう日もありますが、その先にはきっと素晴らしい日が待っているはずです。
だから今の「涙の痕だけは 越えて行きたい」という前向きなマインドで、失敗も糧にして諦めず進む大切さを教えてくれます。
心の鍵を開けば素晴らしい歌が生まれる

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知らなかったよ そうやって笑うこと
心の鍵 自分が かけていたんだ
普通の言葉が 少しずつメロディに変わってく
想いが 毎日に繋がってゆく
優しい気持ち 生まれてきた時に
その小さな歌が 聞こえてきたのかな
≪小さな歌 歌詞より抜粋≫
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主人公はふと自分が心から笑えていることに気づいたとき、これまで「心の鍵」を自らがかけていたことを知りました。
日々の忙しさに圧倒されると、自分の心と向き合うことすら後回しにしてしまうことがあるかもしれません。
しかし本当の自分を見つめ直すなら、今まで見落としていた魅力に気づけるでしょう。
単純に思える「普通の言葉」も、込める想いや用い方によって意味合いが大きく変わってきます。
自分に対しても他人に対しても「優しい気持ち」が生まれれば、その言葉は誰かにとっての大切な歌になるはずです。
現実は変わらなくても、考え方次第で毎日はよりよいものになっていくでしょう。
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ごめんねよりも ただありがとうって
悲しみより 小さな歌を歌うよ
希望の言葉が 少しずつメロディに変わってた
想いは その先に繋がっていた
そのハーモニーに溶けていた
≪小さな歌 歌詞より抜粋≫
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主人公は自分が口にした「希望の言葉」がいつの間にか「少しずつメロディに変わってた」ことに気づきます。
それは周囲を力づけると同時に、不器用でネガティブだった自分自身を癒やすものともなったのでしょう。
自分の心に生まれた「想い」は、未来の自分と周囲の人に繋がっているのを感じます。
美しいハーモニーの裏には、あらゆる想いが溶け込んでいます。
美しいという結果だけでなく、そこにある想いに目を向ければ感動はさらに増すはずです。
同じように、自分の想いを大切にすれば失敗も受け止めて前向きに進んでいけるでしょう。
厳しい現実を生きていく上で心に留めておきたい見方を伝えてくれる歌詞ですね。
現代人の心を癒すエールソング!

JUJUの『小さな歌』は、自分自身に対して優しくポジティブな気持ちを持てるよう温かく寄り添ってくれる楽曲でした。
つい自分に厳しくなりがちな現代人を包み込む、穏やかなエールのように感じます。
ドラマのストーリーとも重ね合わせながら、『小さな歌』から疲れた心の癒しを得てくださいね。