ストリーミング1万再生を達成した「おかえり」
Tani Yuukiの『おかえり』は、1stアルバム『Memories』に収録された楽曲です。今は近くにいない大切な人を思いながら言葉を紡ぐような優しい歌詞が印象的なこの楽曲。
2022年11月9日にシングルカットされてリリースされると、ストリーミング再生1億回という偉業を達成しています。
透明感のある優しい声で歌われる『おかえり』。
日常的に使われる、身近な言葉をタイトルにしたこの楽曲が、聴く人の心に刺さる理由は何か。
歌詞を掘り下げながら考察していきます。
「おかえり」と言える場所を守り続ける理由

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あなたは今同じ空の下
遠く離れた場所で思い出を紡ぐ
抑えきれぬ想い抱き待ってるから
あなたがここへ笑顔で帰るまで
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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大切な人と離れて暮らすのは寂しいものです。
遠く離れても、その人を思いながら、いつかまた一緒に過ごせる日を夢見て願う。
そんなささやかな夢を見て、1人過ごす夜を思わせる歌詞です。
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今までの他の誰とも違う
あなたは太陽、僕が月だとするなら
その光無しじゃ輝けやしない
代わりに安らぎと癒しと静寂を
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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自分1人では輝けないけれど、その人の光を受けて輝くことならできる。
太陽は目立つ存在ではあるけれども、太陽のそばに寄り添って、陰ながら支える存在も大切なもの。
湧き上がるようなパワーを与えられない分、安らぎを与えられるような存在に。
支え、支えられる関係というのは尊いものです。
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ねぇ、なんで?あぁ、そこまで
返せるものもないのに、愛してくれる意味を
いつだって僕がそばに居たくて
今までくれた愛に応えられるように
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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大切な人がそばに居てくれる喜び。
それに対して返せるものがないもどかしさと、目の前にある幸せへの感謝が伝わってきます。

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あなたは今同じ空の下
遠く離れた場所で思い出を紡ぐ
抑えきれぬ想い抱き待ってるから
あなたがここへ笑顔で帰るまで
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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今は会えない距離でも、この空で繋がっている。
いつか帰ってきた時、安心してここへ戻って来られるように。
大切な人のために、帰れる場所を守り続けるのも愛です。
魂を分けた、運命の相手

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今までは交わることのない
新しい世界を僕に見せてくれたあなたと
いつまでも、いっそどこまでも
目を閉じるその時まで赤い糸を
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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誰かと出会って、新しい世界に出会う。
人は、そうやって自分の世界を広め、視野を広げていくのでしょう。
1人では見られなかった景色を見つけ、出会えた奇跡に感謝する。
いつか命を終えるその日まで、2人の心を赤い糸が繋いでくれるように。
ささやかな願いです。
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ねぇ、まって。まだ行かないで
あなたを想うほどに苦しくなる意味を
いつだって目を逸らさないで
どこへ行ってもお互いを見つけられるように
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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愛しい人が離れていくのは、胸が張り裂けるような思いではないでしょうか。
いつかまた2人で。
そう信じていても、1人で過ごす時間は虚しく、2人で過ごした幸せな日々を恋しく思うものです。
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あなたは今同じ空の下
遠く離れた場所で思い出を紡ぐ
抑えきれぬ想い抱き待っているから
あなたがここへ笑顔で帰るまで
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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痛みを伴うほどの思いの強さは絆になり、2人を結ぶ太い糸になります。
遠く離れている間も忘れることはなく、2人で過ごした日々を思い起こして、より思いが深まる。
会いたい人に会えない時こそ愛しさは募り、愛は深まるものですよね。

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生まれ落ちた日、半分だけ欠けた命
泣き喚いたんだ、満たされぬ何かに
記憶などなくともわかってたんだ
手繰り寄せた糸の先に答えを
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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この世に生まれ落ちた日から、運命の糸で結ばれていたような気がする。
「半分だけ欠けた命」という歌詞は、まるで運命の相手を示しているようです。
その人と出会えるまで、自分の命が欠けているような気がするほど、満たされない存在。
それが恋人でも友達でも、それ以外でも。
自分にとってかけがえのない存在と出会えることは、人生の宝です。
出会いは星の数ほどあれど、欠けた自分の魂にぴたりとハマる人には滅多に出会えないもの。
「おかえり」と言えるその日を1人で待ち続ける理由は、欠けた命の片割れだからなのでしょう。
もう1度、1つの魂になれる日を心待ちにしている。
そんな、切なくも愛しい思いがひしひしと伝わってきます。
愛しい人に「おかえり」と言える喜び

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私は今同じ空の下
遠く離れた場所で思い出を叫ぶ
抑えきれぬ想い歌いまってるから
あなたがここへ笑顔で帰るまで
また2人で笑えるその瞬間を
≪おかえり 歌詞より抜粋≫
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「あなた」は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。
同じ空は、この世に生きる人とも、去ってしまった人とも繋がっているものです。
「私」や「僕」が1人で待ち続ける未来の2人は、この世で再会できるのか。
「ねぇ、まって。まだ行かないで」という歌詞は、今生の別れのような雰囲気を感じさせます。
愛しい人に「おかえり」と言える。
たったそれだけのことが、どれほど幸せなことかを教えてくれる歌です。
忙しなく過ぎ去っていく日々に、大切なものを見落としがちな私たちだからこそ、時には立ち止まって、心を込めて「おかえり」と言ってみてはいかがでしょうか。
タニ・ユウキ/1998年11月9日生まれ、神奈川県・茅ヶ崎出身。 SNSを中心に2015年8月から活動をスタート。作詞作曲、編曲、サウンドメイクを自身で行ない、ギターのみならずピアノも弾く。 2020年5月、TikTokやYouTubeへ投稿した「Myra」がティーンから多くの支持を集め、その配信音源はストリ···
