人気アニメ「血界戦線」EDも担当
テレビアニメ「血界戦線」でエンディングテーマを担当し、7月24日には日本武道館での単独ライブが決定しているなど右肩上がりにセールスと動員を伸ばし続ける、UNISON SQUEARE GERDEN。耳に残るメロディラインに乗るトゲのある声と共に、アンバランスな3人が織り成すライヴパフォーマンスに定評がある彼らが、自主製作でもなくインディーズで初めてアルバムを発表したのは、2006年1月16日のこと。ミニアルバム『新世界ノート』と『流星前夜』である。
従来のリズムに囚われない楽曲
『水と雨について』という楽曲は、この『流星前夜』に収録されたナンバーで、従来のAメロ・Bメロ・サビのリズムに囚われない不思議な楽曲となっている。----------------
いつか君が街道に立ちつくして言った事には
「海岸沿いは今日も歴史的な大雨です」
カーテンレールを並べていくような足跡を
そしてそれを重そうに貧相に走る最終列車を ただ眺めている
予想をはるかに上回るフルスロットルを見てみたいだけだよ
そうやって世界の常識がひっくり返るのを待っている
末期性の記憶喪失 ところで君は誰だ?
≪水と雨について 歌詞より抜粋≫
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魅力的すぎる世界感
この曲に惹かれてやまないのは、現実を一切排除した世界感だ。歌詞の中に“君”と語り手しか登場しないのに加え、雨や水槽と言った水は輪郭を曖昧にするので、それらによって構成された世界は、驚くほど現実感がない。
その自分を傷付けない世界で、常識がひっくり返るのを待っている語り手に感情移入はし難い感じがするが、誰でも一度は思うようにならない現実を語り手のように憎んだことはないだろうか。
思うに、水と雨は自らを現実から覆い隠してくれる繭のようなものだ。
安全な繭の中で高らかに歌っているように感じるこの楽曲。
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見出すことの面白さ
しかし、“君は誰だ?”“其処は何処だ?”と自身に問うあたりから、語り手が徐々に現実に目を向け初め自身の中で葛藤していることがわかる。まるで、「このままでいいのか?」というように。終盤、現実にはない変わらない信号が存在する矛盾、そして“君”が幻だということに語り手は気付く。揺らぎに揺らいだ水槽世界に最後、語り手が落ちた時、蛹から蝶へ羽化する瞬間をみたような心地がする。水槽世界から浮上した時、語り手は生まれ変わっていることだろう。
意図せずにメッセージが生まれている彼らの音楽。しかしそれは、彼らが歌詞で「こんな想いを伝えたい」という書き方をしていないから。独特な世界感と言えるかもしれないが、『水と雨について』のように、自分だけのメッセージを見出す面白さもまた彼らの魅力の一つなのかもしれない。
TEXT:空屋まひろ
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