ゲームが始まったらもう戻らない
2025年9月3日リリースのなにわ男子の9thシングル『Black Nightmare』は、藤原丈一郎主演のドラマ『ロンダリング』の主題歌です。『ロンダリング』は“死者の声が聞こえる”という特殊能力を持つ売れない俳優が、社会の闇に消された人々の非業の死の真相に迫るヒューマンサスペンスドラマとなっています。
その主題歌として書き下ろされた『Black Nightmare』は、HIPHOP要素を取り入れたエレクトロニックダンスミュージックで、これまでのなにわ男子の楽曲とは一線を画すダークな世界観に引き込まれます。
今作が地上波連続ドラマで単独初主演となる藤原丈一郎が楽曲のセンターも務め、MVで見せる様々な表情に魅了されることでしょう。
タイトルは訳すと“黒い悪夢”となり、不吉で恐ろしい悪夢を意味します。
どのようなメッセージが込められているのか、MVの内容にも触れながら歌詞と意味を考察していきましょう。
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振り向けば迫るサイレン (サイレンス) 裏切りの果て (果て)
戻ろうなんてナンセンス It's all or nothing
闇の中でHigh bet 真実なんて覆って
一瞬で消して AVADADA KEDAVURA
≪Black Nightmare 歌詞より抜粋≫
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主人公は背後から危険が迫ってくるのを感じています。
「裏切りの果て」とあるように、誰かを裏切ってこの場所まで逃げてきたのでしょう。
追いかけてくる危険とは、その追っ手と考えられます。
恐ろしい状況ですが、「戻ろうなんてナンセンス」だと思っているようです。
「It's all or nothing(全てか無か)」の言葉のとおり、今の状況に足を踏み入れたからには決して妥協しないと決意していることがうかがえます。
「闇の中でHigh bet」というフレーズは、主人公が現状をゲームのように捉えていることを示しています。
MV冒頭で藤原丈一郎が空から舞い降りる様子は、現状を変えるためにこのゲームに自ら参戦したことを表していると解釈できそうです。
闇のように何もわからない状態で高い賭け金を差し出すのは、大きな自信があることや後悔したくない気持ちの表れでしょう。
「真実なんて覆って」勝利のために強気で戦う様子が、心の強さを感じさせます。
「AVADADA KEDAVURA」は相手の命を瞬時に奪う死の呪文。
他人の非業の死を背負うドラマ主人公の境遇と重なります。
ゲーム参加者は正義か悪か

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BUM BUM 増えていくDollars
DUM DUM But I want some more
BUM BUM 欲望のMonster
WANT WANT More WANT WANT More
Are you ready (Aye) 覚悟を決め Gonna get it (Aye)
一度踏み込めば 逃げ出せないGame
≪Black Nightmare 歌詞より抜粋≫
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「BUM」は浮浪者、「DUM」は馬鹿を意味するスラングです。
少しのお金でも貴重なはずの浮浪者が目の前で増えていくお金を見て、「But I want some more(でももっと欲しい)」と貪欲に要求する姿を馬鹿にしているのかもしれません。
しかし、様々な欲に負けて「欲望のMonster」になってしまう危険は誰にでもあります。
現実は「一度踏み込めば 逃げ出せないGame」のように残酷です。
だからこそ、その中で闘い抜くには欲望に負けずに理性を持って挑むことが必要だという強いメッセージを感じさせます。
MVで藤原丈一郎が無数のサイコロを手にしている様子は、ゲームを操るゲームマスターのようにも見えるでしょう。
プレイヤーでありながらゲームマスターでもあるとすれば、誰もが状況をコントロールできる潜在的な力を持っていることを示しているようにも感じます。
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キミハダレ? (SAY!) 知れば負け (STAY!)
バレるまで (PLAY!) 騙し合い笑え
誰の真似? (SAY!) 揺れる影 (SHAKE!)
嘘のパレード 踊れよ Black Nightmare
BABABABA DADADADA BABA We BAD (Wicked)
DADADADA BABABABA 隠さないで
BABABABA DADADADA BABA We BAD (Wicked)
DADADADA BABABABA So who's gonna with this game?
≪Black Nightmare 歌詞より抜粋≫
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正体を隠し、騙し合うのがこのゲームに課されたルール。
自分が何者でどんな想いを持っているのかを相手に知られることも、相手の境遇を知ることも、弱みになってしまう可能性があります。
孤独な闘いですが、このゲームから決して逃げないことを決めている主人公には関係ありません。
「騙し合い笑え」と、最後に勝利を得て笑うために自分を鼓舞します。
MVでメンバー一人ひとりが映るカットは、それぞれの立場を表しているのでしょう。
足がなく地面に倒れ込む長尾謙杜と黒いネクタイで繋がれている髙橋恭平は、どちらも動けないという共通点があり、悪に囚われている印象を受けます。
西畑大吾のカットで登場するアヒルは、警察用語で制服警官を意味するとともに幸運の象徴でもあるため、正義の存在でゲームのキーパーソンになることを示していると思われます。
また、神聖さや勝利のシンボルとして知られる白馬に跨っている大西流星も、正義側の人物と解釈できるでしょう。
大橋和也のカットに出てくる巾着と枯れた花は繁栄と衰退の両面を表し、生死の境に立つ中立の人物であることを表現しているのではないでしょうか。
道枝駿佑が顔を覆われそうになるのに抗っている様子も、悪に吞まれそうになるのに抵抗しているように見えるため、中立の立場と考えられますね。
それぞれ異なる立場でゲームに参加していることがわかります。
こんな残酷なゲームに身を投じることは、恐ろしい悪夢のようです。
それでも目的のために強気で挑む主人公の勇気と覚悟が読み取れるでしょう。
「So who's gonna with this game?(このゲームに参加するのは誰だ?)」のフレーズは、暗い現実と闘う覚悟はあるかというリスナーへの問いかけのように思えます。
汚れた手で掴み取る勝利の意味

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We gotta We gotta We gotta move
Ain't gonna Ain't gonna Ain't gonna lose
心の中燃やしたまま 番狂わせ 恐怖のRoulette
試すコイントス 答えはどこ
BIBIDEBABIDEBOOでFool you
≪Black Nightmare 歌詞より抜粋≫
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「We gotta move(俺たちは動かなきゃ)」、「Ain't gonna lose(負けるわけにはいかない)」と自分を奮い立たせている様子が読み取れます。
弱気になると体力や意欲を失ってしまい、最後まで闘えなくなるでしょう。
だから常に「心の中燃やしたまま 番狂わせ」を起こそうと真剣にゲームに挑み続けています。
運が明暗を握るルーレットに勝つために「試すコイントス」。
恐怖のせいで逃げたくなる気持ちを堪えて決断しようとする姿が垣間見えます。
そして魔法で状況を変えるように、次の一手で相手を騙し勝利しようと挑む緊迫感も感じられますね。
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BABABABA DADALIDA 終わりの来るまで
汚れたこの手で 全て勝ち取れ
笑いながら 手にしたモノ何? (Who's the winner?)
≪Black Nightmare 歌詞より抜粋≫
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過酷な状況を乗り越えるためには、一切手を汚さずに身綺麗なままでいるのは難しいでしょう。
人を騙し出し抜いた結果、自分の汚れた手に苦しむかもしれません。
しかし、始まったゲームには必ず終わりが来ます。
「汚れたこの手」でしか掴めない勝利があるのなら、全てを勝ち取るために挑むだけです。
MVでは、ゲームマスターのようだった藤原丈一郎が仮面をつけたメンバーに囲まれている様子も出てきます。
支配したかと思えば誰かに支配されている。
それは現実社会とよく似ています。
「笑いながら 手にしたモノ何?」とあるように、勝利の先にどんな未来が待っているかはわかりません。
ほとんど何も得られず、代わりに多くのものを失っているとも考えられます。
それでもいま勝利することそのものが必要だから、主人公は闘っています。
本当の勝利とは何なのか、誰が敵で誰が味方なのかを模索しながら突き進むその姿は、暗い現実の中で何もできずに苦しんでいる人に勇気を与えるのではないでしょうか。
なにわ男子の新たなチャレンジを感じるダンスナンバー!

なにわ男子の『Black Nightmare』は、悪夢のようなつらい現実や内面の弱さに真正面から挑み闘う強さが感じられる楽曲です。
グループとしても攻めた曲となっていて、歌詞に見られるチャレンジ精神に説得力を持たせる仕上がりとなっています。
ミステリアスな雰囲気とかっこいいダンスパフォーマンスが楽しめるMVも、ぜひじっくりと楽しんでくださいね!