夢を無我夢中で追いかける日々
不穏かつスタイリッシュなサウンドと感情を注ぎ出すような歌詞で若者を中心に絶大な支持を集める、「THE ORAL CIGARETTES(ジ・オーラル・シガレッツ)」。2025年7月11日リリースのデジタルシングル『OVERNIGHT』が、TVアニメ『桃源暗鬼』のオープニング主題歌として書き下ろされました。
『桃源暗鬼』は、週刊少年チャンピオンで連載中の漆原侑来による人気漫画作品が原作で、昔話の桃太郎を題材に鬼の血を引く者たちと桃太郎の血を引く者たちの争いを描く新世代ダークヒーロー鬼譚。
そのオープニングを飾る『OVERNIGHT』は、抑えを効かせながらもダークさや滾る熱をしっかりと感じられる疾走感あふれるロックナンバーです。
フロントマンの山中拓也はこの楽曲について、「理想の自分とは懸け離れてしまっても、それでも正義を全うしようとする主人公の姿」を表現したとコメントしています。
その点がどのように表現されているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
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In the 24, Alive here
血みどろの日々焦燥感と
覗き込むその合図に
芽生える夢 無我夢中で
so far so far
In the 24, Alive here
御伽話喰らう銃声音
向けたその先 What's dream?
飼い慣らす絶望と栄光
≪OVERNIGHT 歌詞より抜粋≫
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「In the 24」のフレーズは24時や24時間、24歳や2024年など様々な解釈ができます。
アニメの主人公・一ノ瀬四季の誕生日が2月4日であることや「Alive here(ここで生きている)」と続くことからも、毎日一瞬一瞬を懸命に生きていることを主張するフレーズのように感じます。
その日々は「血みどろ」で、「焦燥感」を抱えながら多くの傷を負ってきたことがうかがえるでしょう。
しかし、それでも「芽生える夢」を「無我夢中で」追いかけてきました。
現実は「御伽話」のように“めでたしめでたし”で終わるようなものではありません。
理想を壊すような出来事に見舞われて、夢が何か分からなくなることもあるでしょう。
「絶望と栄光」を飼い慣らすくらいでないと、状況に振り回されて気が狂ってしまいそうなほど厳しい現実の中にいます。
現実が過酷でも使命を全うしたい

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Just something you prayed to God
願いは無情に消えて
正しさも時に喰らい尽くしてやれ
≪OVERNIGHT 歌詞より抜粋≫
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「Just something you prayed to God(ただ神に祈ったこと)」とあるように、あまりの苦しさに救いを求めて祈ったのでしょう。
しかし「願いは無情に消えて」しまいます。
それほど状況が過酷なのかもしれません。
「正しさも時に喰らい尽くしてやれ」というフレーズから、世間一般の正しさではなく自分が信じる正義を貫こうとする強い意志が垣間見えます。
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So far from who I was
未完成な方が
誰かを思いやれるんだって
無差別に僕らきっと
与えられた使命を全うすんだ
So far from who I was
So far from who you were
I'm afraid
悲しさも非情なほど
痛みを増していく
In the dreaming overnight
≪OVERNIGHT 歌詞より抜粋≫
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様々な経験をし、「So far from who I was(これまでの私とはかけ離れた)」存在になっていくのを感じます。
どれほど変化し成長しても完璧とは程遠いものです。
しかしそれは悪いことではなく、むしろ「未完成な方が 誰かを思いやれる」と思っています。
未完成なありのままの自分で誰かを思いやることこそ自分に与えられた「使命」であり、「全うするんだ」と決意していることがうかがえるでしょう。
その過程で親しい人が知っている自分とは異なる者になってしまうとしても、使命を遂げることの方が大切です。
タイトルでもある「overnight」には「一夜にして」「夜通し」という意味があります。
そのため「In the dreaming overnight」は一夜にしてその使命という夢が生まれたのか、夜通し夢を見ているかのように使命を果たすのが難しい様子を示していると解釈できそうです。
また、一ノ瀬四季と師弟関係にある教官の名前が無陀野無人(むだのないと)であることから、無人を超えたいと夢見る気持ちもこの言葉にかけているのかもしれません。
決意を胸に夢に向かって進む

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In the 24, Alive here
砕け散る肉片の継承
鬼の住む街likes me
掻き鳴らす爆音の警報
just like kid's war
≪OVERNIGHT 歌詞より抜粋≫
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桃太郎機関から討伐のために命を狙われる鬼の血を引く主人公。
ある日までは自分が鬼の血を引いていることを少しも知らなかったものの、今では「鬼の住む街」が自分の存在を求めているのが分かります。
ぶつかり合う感情は「just like kid's war(子どもの戦争のよう)」にヒートアップします。
「爆音の警報」を掻き鳴らすのは守りたい存在がいるからでしょう。
大切な人を失いたくないという想いが主人公を突き動かします。
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So far from who I was
不恰好でいいさ
描いた夢が枯れないように
幼き頃に託した答えをずっと
守っていけますように
So far from who I was
So far from who you were
I'm afraid
朝焼けが照らした
この心を抱いていく
In the dreaming overnight
≪OVERNIGHT 歌詞より抜粋≫
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「描いた夢」が叶わないまま大人になると、いずれ風化して叶えることすら諦めてしまうでしょう。
しかし、本当に叶えたい夢なら枯らしたくはありません。
だから、不恰好でもいいから「幼き頃に託した答えをずっと 守って」いきたいと願っています。
ここに出てくる「朝焼け」は、大切な人の存在やその影響を表現しているのではないでしょうか。
その人がいてくれたから成長できた心を抱いて、夢の実現のために闘おうとする決意の気持ちが垣間見えます。
アニメとリンクする世界観を堪能しよう!

THE ORAL CIGARETTESの『OVERNIGHT』は、自分が信じるものを目指す強い意志が表れた楽曲です。
アニメとリンクするフレーズも多く、アニメファンもしっかりと世界観を感じられるでしょう。
夢や大切な人への想いがあふれる歌詞に注目しながら、楽曲を楽しんでくださいね。
2010年奈良にて結成。人間の闇の部分に目を背けずに音と言葉を巧みに操る唯一無二のロックバンド。 メンバーのキャラクターが映えるライブパフォーマンスを武器に全国の野外フェスに軒並み出演。 2017年6月には初の日本武道館公演、2018年2月には地元関西にて大阪城ホール公演を開催し両日と···
