「SO BAD」はUSJ「ゾンビ・デ・ダンス」テーマ曲
King Gnuの『SO BAD』は、2025年9月5日に配信リリースされた楽曲。USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)のイベント『ゾンビ・デ・ダンス』のテーマソングとして話題になっています。
本イベントは、配信リリースと同じく9月5日からスタート。
『ゾンビ・デ・ダンス』とは、USJにて開催の『ハロウィーン・ホラー・ナイト』で行われるイベント。
超狂暴ゾンビたちが迫力のダンスを踊り狂う『ゾンビ・デ・ダンス』のテーマソングとして書き下ろされた楽曲が『SO BAD』です。
ゾンビのイベントらしく凶暴さを兼ね備え、死生観を連想させる歌詞とKing Gnuらしさ溢れるミクスチャーサウンドでイベントを盛り上げます。
本記事では『SO BAD』の歌詞の意味を考察していきます。
「SO BAD」の意味

タイトルの『SO BAD』は「とても悪い・最悪」という意味。
しかし「SO BAD」は「~したくて仕方ない」や「ヤバい」という意味でも使われます。
「ヤバい」は本来、日本ではよくない状態のことを言っていましたが「おいしい」や「最高」など、良い意味でも使われるようになりました。
同じように、英語でも「最高」という意味で使われます。
「最悪」と「最高」とダブルミーニングのある『SO BAD』。
歌詞の中でも「最悪で最高」と繰り返されます。
「SO BAD」の意味を理解した上で聴くと、より深く歌詞の意味を考察できるかと思います。
King Gnuが描く「最悪」で「最高」な人生劇場

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KING GNU IS DEAD
BUT THE KING IS NOT
BECAUSE IT'S YOU
≪SO BAD 歌詞より抜粋≫
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オープニングのフレーズは直訳すれば「King Gnuが死んでも王は死なない それはあなただから」の意味。
King Gnuがなくなったとしてもその栄光は残り、あなた(ファン)の心と共にある、というメッセージではないでしょうか。
『ゾンビ・デ・ダンス』のテーマソングということで、死生観を連想させます。
もし仮にKing Gnuがなくなったとしても(解散や活動休止など)そこからの復活も連想させるフレーズです。
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最悪で最高♡
最悪で最高♡
今世どう成ろうと
一蓮托生よ
最悪で最高♡
最悪で最高♡
≪SO BAD 歌詞より抜粋≫
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「最悪で最高」と繰り返される歌詞は「SO BAD」のダブルミーニング。
人生には良い時も悪い時もある、だから心配など無用。
この世でどうなろうと「一蓮托生」でやっていこうという覚悟。
「一蓮托生」とは仏教用語で「死後、同じ蓮の花に生まれ変わること」を指します。
現代では「運命を共にする」という意味で、善悪に関係なく使われる言葉です。
「最悪で最悪なこの人生を、一緒に乗り越えて行こうぜ」という強いメッセージを感じます。
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よそはよそ
うちはうち
メタは外
鬼は内
ロクデナシの正義は
お呼びじゃない
学ばぬ争いの歴史
サイテーの友達と
ほったらかし夜の始まり
≪SO BAD 歌詞より抜粋≫
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心の内側と外側に視点を向けた歌詞。
メタとは本来「~を越える」、「~についての」という意味。
ネット用語では、ある物事を一段階上の視点から俯瞰する「メタ認知・メタ思考」という意味で使用されます。
物事を俯瞰・客観視する姿勢を外に排除し、鬼=情熱や欲望を内に秘め戦う、という意味が込められているのではないでしょうか。
「よそはよそ」とし、他者と自分との違いを強調しています。
「ロクデナシの正義」とは、無意味な正義感に対する批判でしょう。
正義を振りかざして、ただ自分の欲望や承認欲求を満たしたいだけ。
そんな世の中に対する警告。そして繰り返される不毛な争い。
サイテーな友達とはきっと転じて最高の友達。
混沌とした世の中と対比に「SO BAD」な夜を楽しむ自分の姿が描かれています。
何もかも忘れて異常なまでのテンションで夜を楽しむ。
『ゾンビ・デ・ダンス』で踊り狂う夜は、まさに『SO BAD』の世界と通づるものがあるでしょう。
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まつくろなたいよう
かげろうゆらゆらゆれるとうきやう
かげろうゆらゆらゆれるとうきやう
いふほどわるくないわ
さあえんどろーるであいませう
≪SO BAD 歌詞より抜粋≫
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ひらがなのみ、それも「いふ」など旧仮名遣いで書かれた歌詞。
心の中の気持ちをやわらかく吐露しているからではないかと考察します。
そして、ひらがなにした時の視覚的効果。
揺らぎや幻想的な雰囲気を醸し出していると感じます。
「えんどろーる」は人生の終わりを想像させ「一蓮托生」と繋がる歌詞。
「いふほどわるくないわ」と『SO BAD』のテーマとも取れる、人生観や死生観を締めくくります。
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沈みゆくこの國
狂わせる蜘蛛の糸
蚊帳の外 常日頃
絵空事の政治
ほったらかし夜の始まり
≪SO BAD 歌詞より抜粋≫
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政治的批判と捉えられる歌詞。
日本の事とも他国の事とも捉えられそうです。
一向に収まらない争い、混沌とする世の中、頼りない政治、経済の停滞・・・主役であるはずの国民が蚊帳の外で置いてけぼりな状況を表現しているのではないでしょうか。
「沈みゆく」とすることで「死」を連想させ『ゾンビ・デ・ダンス』の世界と繋がります。
ゾンビは死者からの復活。沈みゆく国の復活にも期待したいところです。
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I WANT THIS SO BAD
(これも欲しい)
I WANT THAT SO BAD
(あれも欲しい)
I WANT THIS SO , I WANT THAT SO
何もかも SO BAD
I WANT THIS SO BAD
I WANT THAT SO BAD
I WANT THIS SO , I WANT THAT SO
綺麗事はSO BAD
≪SO BAD 歌詞より抜粋≫
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クライマックスの英語パートの歌詞。
「これも欲しい、あれも欲しい」と欲望をさらけ出す。
最悪と最高の相反する言葉を並べ「SO BAD」のダブルミーニングを成立させています。
悪い事でも最高、良い事でも最悪。
人生とは良い事も悪い事も起こるもの。
それをいかに楽しむことができるのか、それこそが人生、というメッセージを感じる部分です。
また、最悪、最高をどうとらえるかは自分次第。
最悪なものでも考え方で最高になる。その反対もしかり。
人生観や死生観をなぞらえ、ゾンビの世界とも融合させた『SO BAD』。
人生をどう生きるかは自分次第です。
「SO BAD」から感じるパワー・人生をどう生きるかは自分次第

King Gnuの『SO BAD』はUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)のイベント『ゾンビ・デ・ダンス』のテーマ曲として書き下ろされた楽曲です。
タイトルの『SO BAD』は「最悪」と「最高」の相反するダブルミーニング。
人生観や死生観を感じる歌詞は、人生をどう生きるかは自分次第なのだと受け取ることができます。
最悪なことも最高に変えてみせる、そんなパワーを『SO BAD』から感じることができます。